クラスのちょっと気になる女子と一緒に誘拐された件
外国人の僕が全力で伝いたい!
この物語を、日本の読者の皆さんに届けたいと思っています。
もし言葉遣いや表現に間違いがありましたら、どうかご容赦くださいませ……。
【クラスのちょっと気になる女子と一緒に誘拐された件】
俺は今学校にいる。
今日は土曜日で、本来は休みの日なのだが、授業がある。
何故ならテストだからだ。
来週から中間試験が始まるため、その前段階として今日と明日の二日間を使って小テストが行われるのだ。
「……」
まあ正直言って家に戻りたい。
昨日の件があったせいか、まだ心が落ち着かない。
あの後、何とか家に帰ってきたのだが、寝ることができなかった。
結局あれから色々と考えてしまったからだ。
でもまあ仕方がないと思う。
だってあんなことがあれば誰だって考えてしまうだろう
「ねぇ、周くん」
隣の席に座っているいろはちゃんに話しかけられる。
「ん? なに?」
「大丈夫か? 顔色があまり良くないよ」
「ああ……ちょっと眠れなくてね」
「そうか……何かあったのか?」
心配そうな顔をして聞いてくる
そうだ、彼女は何にも覚えていないんだ!なぜなら、記憶にすら残っていないからだ。
つまり、僕が悩んでも意味はない。
だから何も気にせずいつも通りに接しよう。
「いや別に大したことじゃないよ。ただちょっと怖い夢を見ただけさ」
「ふーん、どんな夢なんだ?」
「それは言えないかなぁ、言ったらいろはは俺と絶交かもしれない」
「そっか……まあ、言いたくないなら言わなくていいけどさ」
そう言っていろはが俺の頭を撫でる。いつもなら恥ずかしくて振り払うところだが今だけはされるがままにしておくことにした。
「……ありがとな」
「どういたしまして…」
いろはは私の顔を覗き込むようにしながら微笑む。
その笑顔に思わずドキッとする。
放課後、僕は図書室に向かう。せっかく学校にきただから、調べたいことがあったのだ。
「……あった」
図書室の本棚で見つけたのは、『夢の世界』について書かれた一冊だった。『夢とはなにか?』という章にはこう書かれていた。
『人は夜眠っている間に記憶を整理するために夢を見ると言われていますが、それは本当にそうなのでしょうか? もしそれが正しいなら、私たちは無意識のうちに夢を見てそれを忘れてしまうことになります。しかし、私たちが夢を忘れることはない、ある夢は逆に私たちの生活に影響を与えてくるほど鮮明に覚えているのです。ではなぜ人は夢を覚えていないのか? そしてなぜ私たちはそんな夢に悩まされているのか? その理由を探るべく我々は研究を進めていきました……』
僕はそこまで読むと本を閉じた。この本を読む限りだとどうやら僕の見ている夢はただの夢ではないらしい。
昨日の朝の出来事だ。
俺「眞霜 周」と「夢野いろは」は人生初めて誘拐された。
いつも通り登校していたのだが、その時ふいに誰かから呼ばれたような気がしたんだ。だが周りを見渡しても誰もいない。
気のせいかと思いまた歩き出すと今度は後ろの方で微かに声が聞こえた。
「……て」
俺はその瞬間全身の血が凍りついたかのような感覚に襲われた。もしかするとさっきの声は自分の勘違いかもしれない。そう思いつつも振り向いてみるとやはりそこには人の姿はなかった。
「はやく逃げて...」ふっとした瞬間いろはがそんなことを言ったような気がしたが、それが誰なのかもわからないまま、俺は意識を失ってしまったのだ……
目が覚めるとそこはどこかの倉庫だった。薄暗い部屋の中、俺の隣にはいろはがいる。彼女もまた同じように目を覚ましたようだ。どうやら俺たちはロープのような物で縛られているらしい。身動きが取れず口も塞がれているので話すこともできない。、ただ床に転がされているだけなのだ。しばらくそのままの状態で倉庫の外側に男の声が聞こえてきた。どうやら彼らは俺たちを拉致した犯人たちのようである。
「おーい、こっちだ!早く来てくれ!」
その声に反応するように複数の足音がこっちに近づいてくる。
そして扉を隔てて老人の声が聞こえた。
「我らの王よ、この形でお運び頂いて大変申し訳ございません。ですが、あの男に勘付かれてしまいまして……どうかお許しを」
あの男? 誰のことだろう? いやそれよりも今はこの状況をどうにかしないと。
しかしどうにもならない。
暫くすると部屋の中に光が差し込んだかと思うと外から白い煙が入ってきたのだ。それはあっという間に部屋を満たして視界を奪う。
まずい! 俺は慌てて目を閉じる。だがその時だ。いろはは俺の隣に必死に身体を寄せてくる。
これは……まさか……! その瞬間、彼女は俺の顔を思い切り頭で突き飛ばしてきた。
俺は勢いよく転倒する。そしてその直後、彼女の悲鳴が聞こえた。
しかしまぶたは開かないし身体も動かない。
くそっ、せめて顔だけでも動ければ……。
そう思っているうちに段々と意識が遠のき始めた。
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