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ほとんど異世界転生  作者: マウスノート
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大都会東京

電車を乗り継いで、海洋プラスチックごみ回収船クルー募集の面接地まで来た。

しかし結論から言うと、私はこの仕事を辞退することに決めた。

理由は、業務内容が単純作業だったからだった。

ゴミ処理船の内部では分業が徹底されていたのだ。

ベルトコンベアの上を流れるごみを大きさ別に分ける係、付着した海藻やエビなどの小動物を回収する係、運搬する係、乾燥圧縮したごみをテーピングする係、それを再度搬送する係、小舟に移し替える係……。

唯一面白そうなのはクレーン操作の部署くらいだったが、もう埋まっているとのことだった。

私は仕事を辞退し、面接所を後にした。


今日の気温は4度だったが、3日前にバーゲンで買った定価14万円のダウンジャケットの効果は抜群で、まったく寒さを感じなかった。

1月の関東地区くらいなら、これで問題なく無く過ごせる自信があった。


電車に乗ったのは久しぶりだったが、これといって感動は無かった。

私は乗り物系統があまり好きではないらしい。

東京の街は、相変わらず人が多かった。

歩道を行き来する人たちの人口密度は、ライン都市の10倍以上だった。


毎度のごとく暇だったので、今日はビジネスホテルに泊まって、1日中かけて東京の街をぶらつくことにした。

見るだけのウィンドウショッピングを楽しみ、おしゃれなカフェでクレープを食べながら休憩し、再度ぶらぶらした後に落ち着いた喫茶店に入って、置かれていた雑誌に目を通しながらコーヒーを飲んだ。

本来ならこの後に家に帰り、炊事、洗濯、掃除をしなければならないことを考えると、ライン都市での暮らしは楽だった。

やるべきことと言えば、濡れタオルで体をふくことと、着替えることしかないのだから。


ちなみにけっこうぶらぶら歩いていたのだが、特にナンパされることもなかった。

別に期待などはしていないが。


16時頃にスカイツリーに上ることにした。

展望台からは地上を埋め尽くす市街地が一望できた。


たしかに。


地上の建造物群だけでもすごいのに、地下には上下水道ガス管や地下道、地下鉄が張り巡らされているなんて……。


「……すごいわね」


同時に、なんとなく、もったいないような気分にもなった。

贅沢すぎるのにもかかわらず意外と不便なことや危険なことが多いこの都市に対して。


スカイツリーを降りて、夕焼けに染まった市街地を歩いた。

ほぼ満室のファミリーレストランに寄り、二人掛けの席についてマカロニグラタンとミニサラダを食べた。


そのあとは予約していたビジネスホテルに行き、個室に入ってしばらく夜景を楽しんだ後、服を脱いでシャワーを浴びた。

浴衣に着替えてセミダブルベッドの上に寝転がり、テレビをつける。


ニュースを流し見ながら、さて、これからどうしようかと考えた。

就職のことである。

このままライン都市に住んで、スポーツアルバイトだけをしながら暮らしていくのも悪くはなかったが、少し寂しい気がした。

少々、物足らない気分にもなる。

しかし、これと言って自分に合う国家資格なども見つからなかったし、学歴では7年間のブランクがあるのでいまさらどうにもならない。


「……………………ふむ」


スーパー・エコな暮らしができるライン都市での暮らしは気に入っていた。

部屋が大きくてミニマリストな部分も非常に好感が持てた。


ライン都市で暮らしつつ、スポーツアルバイトと他の仕事を掛け持ちしながら、質素に暮らすか……。


たとえば濡れタオルの配達係とか。

空いていれば調理師になるのも悪くなかった。

最悪、清掃員でも特に問題は無いような気がする。

それで平和に暮らせるのなら、なんだっていい。


それから私は1階下の廊下まで歩いて行って、自動販売機で500mlの缶ビールを3本買って飲むことにした。

そして酔いとまどろみの中で眠りについた。










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