表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ほとんど異世界転生  作者: マウスノート
13/28

ヘッドスパ

頭がかゆくなってきたので頭髪を洗うことにする。

円輪型施設の中にヘッドスパ専門店があった。

5分で300円だった。


窓は無いものの、15畳もある部屋の家賃が月額550円であることを考えると少々割高だったが、それでも外の世界と比べると圧倒的に安いと言わざるを得ない。


座席にあおむけになって座り、髪と頭皮を天然素材由来のシャンプーとリンスでマッサージするように洗われた後、温かいお湯で泡を洗い流してくれ、その後にはドライヤーで手早く髪を乾かしてもらえた。

よくよく考えてみれば、この方法が最も水道料金やガス代が節約できる方法だった。

全身を洗うためには大量のお湯とガス、そして体に付着した水滴を除去するための大きなバスタオルが必要になって、さらにそれを洗濯する水と電力と洗剤が必要になる。

しかし洗うのが頭だけで、しかもプロの手際よさでそれが行われると、最低限度のお湯とタオルとドライヤーの使用で完璧に綺麗にしてもらえるのだ。


さっぱりした私は、午後の河川敷を軽く散歩してみることにした。


この川は都市側にのみ堤防が敷かれていて、増水時には反対岸側の水田が広がる方面に向かって水があふれる流域治水の手法が採用されていた。

これで堤防を定期的に作り替える手間も9割省くことができるらしかった。

歩いてみると、確かに反対岸のほうが4mほど堤防の高さが低くなっている。

片側堤防という名前が検索で出てきて分かりやすいなと思った。


橋の上まで移動して、そこからしばらく周囲の景色を眺めてみることにした。


川の水は非常に綺麗で、水着姿で泳いでいる人たちが何人かいた。

今日は暖かい日だったので、気持ちがよさそうに見えた。


下流方面に振り返れば景色の先にはうっすらと海がある。

見上げれば青空。

左側には水田が遠くのほうまで広がっていて、右手側にはライン型幾何学都市が並んでいる。

山も近く、山際には牧場がこれまたライン状に配置されていて、堤防の土手では十数頭の山羊たちがのんびりと草を食んでいた。


「……綺麗な街ね」


もっとも、旧市街のごちゃごちゃした感じも嫌いではないが。


と言うか、あれはあれで、どちらかというと好きだったのだが。


でも、このように整った幾何学都市も良い感じがする。

旧市街には旧市街の魅力があり、こちらにはこちらの、未来感のある魅力がある。

ただ、それだけのことだった。


日傘が欲しいなと思いつつ、私は休息のために自室に戻ることにした。

091番の塔に到着し、一人乗りエレベーターで最上階へと上った。

部屋に入って鍵を閉め、フローリングの上に寝転がって、少し暑かったのでサーキュレーターを回すことにした。


「たしかに、エアコンは必要ないわね……。ほんと、良くできているわ……」


厚さ1メートルの対・核兵器用の強化コンクリート製外壁は、ギラギラと眩しい真夏の直射日光もほとんど通さないらしい。

断熱性を極限まで高め、部屋のサイズを比較的大きく設計することでエアコンと室外機、そして空調ダクトの設置スペースを省略しているのだった。

もちろんその分、家賃が安くなる。

これは優れたアイデアであると言わざるをえなった。


私はそのまましばらくゴロゴロすることにした。


18時の夕食まではまだ数時間の時間があった。

ちなみに今日の夕食メニューは【お茶漬けと漬物】だった。


電光掲示板のメニューを見て、あからさまに嫌そうな顔で舌打ちしているオッサンが一人いたが、私はお茶漬けが好きだったので、なぜそんなに嫌そうにするのか理解ができなかった。


いや、普通においしいと思うのだが……お茶漬け。



挿絵(By みてみん)






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ