交通網の刷新
従来の都市をライン型幾何学都市に変更することで得られるメリットは他にもいくつかあるようだった。
たとえば、上下水道管と電線、光ファイバー、電波、それにガス管の長さを最小化できるということはもちろんのこととして、
それに加えて道路の長さも最短化できるうえに、すべての道路を地面に密着させて高架を無くすことができるようになるらしい。
これの何がすごいかというと、高速道路などの高架は耐用年数が60年ほどとなっていることが多いため、要するに定期的に作り変える手間と財源と資源が必要になってくる。
しかしすべての道路を地面にベタ付けすることができれば、永遠に作り変える必要が無くなるのである。
さらに対向車線との間に中央分離帯を広くとることができるようになり、それは安全性を格段に高めることにつながる。
ここまでくると、長距離トラックドライバーの働き方もリレー制度に変更することが可能となり、
要するに150キロ走って、そこで反対方向へ戻るトラックに乗り換えて再度150キロ走ることで自宅へ戻ることが可能となり、過酷な長距離ドライバーの負担も圧倒的に下げることが可能になるらしい。
ついでに信号機も白線も最小限度しか不要になり、ガードレールやミラーや一方通行や駐車禁止区画や電光掲示板は全て無くすことも可能になり、高速道路も不要になるため、料金所も無くなるという。
「これは便利ね……今の道路は短期間で作り直さなければならないパーツが多すぎる上に、危険すぎるものね」
現在の道路は国民に土地の所有を認めたうえで、その土地の間に無理やりに道路を通したために、一方通行だらけのミラーや信号や標識だらけの迷路のようなものに仕上がってしまっている。
燃料効率と国家1000年の大計を考えるならば、なるべく早いうちに一新させてしまったほうが良いのかもしれない。
翌朝、布団の中で目を覚ました私は、消毒液の匂いがかすかにする濡れタオルで顔をふき、軽いストレッチの後にスポーツ・アルバイトを3時間こなしていつもと同じように3000円ほど稼いだ。
パジャマを脱いで全裸になり、全身を清拭する。
家から郵送してもらった下着と支給されている無料の洋服(ベージュの長袖シャツとカーキ色の長めスカート)に着替えるころにはお昼になっていた。
レストランへ移動する。
今日のメニューはキツネうどんだった。
今日も普通においしかった。
午後からは自分の将来について少し考えてみることにした。
高校に戻るか、大学へ進学するか、就職するか、このままフリーターでいるか。
考えた結果として、私はこれから数か月の間はフリーターとして、主にスポーツアルバイトで賃金を稼いで身なりを整えた後、正式にどこかの企業に就職しようと結論付けた。
無料の大学というものは存在するものの、10000人中の上位50番以内の成績でなければならず、私の学力ではとても無理だった。
22歳にもなって高校に戻るというのは絶対に嫌だったし、もう少しこの都市の中で、あと半年くらいは暮らしてみたいという欲求と、就職して社会人になりたいという欲求、それらをすべて合算した結果の判断だった。
半年間で可能な限り見聞を広げ、自分のなりたい職を探し出して就職する。
それがいいと思った。




