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春の女王の誕生会と精霊の愛し子

作者: 七夜砕

「そうだ、良い事を思いつきました」


冬の女王から神殿の管理を交代して一月程した頃

春の女王は子供がイタズラを思いついたような顔をして

こんなことを言い出しました。


「愛し子は今月が誕生月よね

 なら神殿に招待して誕生会を行いましょう」


また何か言いだしたと精霊たちは


「どうやって招待するんですか?」


と問いました。


女王はあっけらかんと


「あら、簡単よ手紙を出してこちらから馬車を出せば

 来てくれるでしょう」


そう答えるが精霊たちはさらに問う


「愛し子の都合はどうするんですか?」


それに対しても


「私が招待してこれないなんてことあるはずないじゃない」


と自信満々に答える。

精霊たちもあきらめたのか愛し子の不運を嘆くのだった。



私はゼナ今年の4月で七歳になりました。

今夜はそんな私のために夕食は父が狩ってきた猪を

母がうでによりをかけて好物のシチューを作ってくれると

約束してくれた朝だったのですが精霊たちから急に手紙を

もらったのです。


(なんだろう、急に何も言わずに押し付けるのは失礼では?)


そんなことを考えながら手紙を開いてみると


『あなたのお誕生会を神殿にて行いますお昼頃来なさい。

                      春の女王より』


・・・


「お母さん、春の女王様からお手紙もらったんだけど」


即母に報告した

母ミリアは


「お手紙ってゼナは精霊語読めるの?」


「うん、普通に読めたけど精霊語ってなに?」


「精霊たちが使う言葉で普通の人はわからないのよ」


そうなんだぁと思っていると母が


「さすがは愛し子ね、でなんて書いてあったの?」


と聞いてきたので


「なんか私のお誕生会するから神殿に昼頃来なさいって」


と伝えると


「さすがに森の奥まで一人で行かせるのは危ないから

 ダメって言いたいんだけど返事が書けないから

 どうしましょうか?」


と母と話していると表の方は騒がしくなりました。

なんだろうと見に行ってみると家の前に天馬にひかれた

きれいな馬車がとまっていた。

私は若干引きながら


「もしかしてこれに乗って神殿に来いってことかな?」


馬車の周りの精霊たちがうなずいていた。


「あ母さん、これなら行ってもいい?」


と聞いてみると


「ここまでされたら行くしかないわね」


と母もため息交じりに言った。

ということで迎えの馬車に乗って森の奥にある

精霊の神殿へと向かってみると

精霊たちから歓迎を受けた。


「いらっしゃい、よく来てくれましたね」


(しらじらしい、逃げられないようにしたくせに)


と思わないこともないが女王からは悪意を感じられなかったこともあり

素直に答えることにした。


「今日はお招きいただきありがとうございます春の女王

 ですがなぜ私のためにお誕生会を?」


私のために色とりどりのケーキやおかしが用意され

精霊たちもせわしなく働いているのを見ると

申し訳なくなってくるのも確かなので女王に聞いてみた。

すると女王は


「だってフリージアがいるときには一度訪れているのでしょう

 なら私がいるときにも来てもらわないとずるいじゃない」


ケーキを食べながら言う女王だが聞きなれない名前に戸惑ったので

聞いてみることにした。


「あのフリージアって誰のことですか?」


すると女王は


「あら、あの娘愛し子に真名言い忘れたのかしら

 あ、愛し子じゃなくてゼナって呼ぶわね

 私のことも真名のフローレンスと呼んで頂戴で

 フリージアは冬の女王の真名のことだけど

 彼女から聞くまでは聞かなかったことにしてね」


いたずらっ子のような笑顔を見せながら春の女王こと

フローレンスは言った。


「真名って何です」


フローレンスに聞くと


「同じ精霊王か愛し子にしか教えない本当の名前のことよ

 他の人が聞いてもわからないように精霊語で付けられるから

 私たちだけの呼び名って感じかな」


あっけらかんというフローレンス


「じゃあ、遠慮なくフローレンスって呼ぶね」


というと


「あっ、でもあなたが人の言葉で他の人に言うのはマナー違反よ

 あくまで私たちだけの呼び名なのだから」


とフローレンスから言われ


「わかったわ、他の人には内緒ね」


と答えて微笑みあった。

ケーキなどをたくさん堪能したころ日暮れも近くなったころ

フローレンスがこういった。


「あなたにプレゼントを用意したから受け取って」


と何か言う前に額にキスをされた。


「まずは私の加護と祝福をそれとこの指輪を差し上げますわ」


その指輪は私に今の指には入らなかったのでチェーンで

指輪を通してネックレスのようにつけてもらったのだが

指輪には五つの宝石がついており

桃色で中央に桜の花があしらわれた石と

白色で中央に雪の結晶があしらわれた石が

両端にあり他の三つの石は暗い色をしていて

アンバランスな感じがした。

不思議そうに見ているとフローレンスが


「それは五冠の指輪私たち四季の女王と夜の王から

加護か祝福を対応した石に色があらわれるの

今は私とフリージアの加護と祝福しかないから

二つだけだけど他の娘達や夜の王から貰えれば

全部に色があらわれるわ」


と簡単そうに言ってくるのですがそれって他の女王たちも

何かしらアプローチをかけてくるのではと少し頭が痛くなった

するとフローレンスが


「あら、もうこんな時間馬車で送らせるから次来るときは

 他の娘によろしくね」


次来るのはきまりなのねと感じながら馬車に乗り


「今日はお招きありがとうフローレンス

今度はこんな急じゃないといいな」


というとフローレンスは


「あらそれは無理よ」


とさも当たり前のように言うのでした。

そして私の家まで天馬の馬車が到着すると

私をおろして去っていった。

もう日は暮れてきていた。


「お母さん、お父さん、ただいま」


すごく疲れた顔をして私は帰ってきた。


「おかえり」


「おかえりなさい」


父母が言うと父ゼノンはそのまま私を抱き上げた。


「今日は大変だったな、春の女王の気まぐれに付き合ったりして」


母ミリアは


「まあまあその辺の話も聞きながらご飯にしましょう

 今日はゼナの好物の猪肉のシチューよ」


と聞いて父から飛び降り


「わ~い、シチュー、シチュー」


と席について春の女王の誕生会のことも話しながら

父母とともの夕食は過ぎていくのでした。


私はもらった指輪に一抹の不安を感じていたのですが

それはまた別のお話

「面白かった!」






と思ったら




下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。




面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に感じた気持ちでもちろん大丈夫です!




ブックマークもいただけると本当に幸いです。




何卒よろしくお願いいたします。



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