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悩み

「何やってんだ宮本?」

「間宮……」


 紙パックにストローをさして飲みながら不思議そうな顔でこっちに来た。


「いや、別に大したことはない」

「大したことないのにそんなくまなく机を見るものなのか?」

「う……」


 相変わらずこいつは変な所で鋭い。


「本当に大したことではないんだ。ただ気になることがあって……」

「そうかっ」

「そうだ」

「ところで宮本」

「あんだ?」

「例のお二人さんがお前に何か用がありそうだぜ」

「え?」


 言われて始めて、かなと加納さんの二人が俺の方を見ているのに気づいた。


──気になる男子の机にちょっとイタズラしたんだけど……


「……」

「何で三人とも牽制しあってんの?」

「俺にも分からん……」


 まずはかなが近づいて挨拶して来た。


「よ」

「おお、よっ」


 そしたら時間差で加納さんが来る。


「宮本君、おはよう」

「お、おはよう」


 そして我々は次にしーんとなる。三人が互いの言葉を探り合っている感じだ。


「あ、裕君。弁当箱返して貰って良いかな?」

「あ、あぁ」

「そうね。私のも返してもらいましょうか」

「はい、二人とも。ありがとう美味しかったよ」


 二人は恥じらいながら笑う。そんな顔するなよ。ときめきそうになる。


「で何か用があるのか?」

「いや、別に?」

「私も、そうね。特に用という用はないわね」

「ならこっちを見ていた理由は?」

「……」

「……」


 二人とも直ぐには答えなかったが、かなが偶々よ偶々とツンデレっぽく言う。


「偶々ね~っ」

「そっ、偶々」

「加納さんは?」

「私は……」


 加納さんも誤魔化すんだろうと思ったが違った。


「貴方に興味があるの」

「え!?」


 あまりオープンな性格じゃなさそうな彼女がそう言うもんだから、周りもどよっとした。勿論俺もビックリっ。そしてちらっとかなの方を見ると目を見開いて彼女の方を凝視していた。


「えっとーっ、そ、そうなんだ……」


 これ以上突っ込めない自分の弱さが恨めしい。


「~~~~わ、私も裕君のこと気になってるんだからっ!!」

「お、おいっ!!」


 加納さんに対抗してか、かなが大きい声でそんなことを言うもんだからクラスの連中はざわざわ言い始めた。いやいや、勘弁してくれっ。そしてちらっと間宮を見ると面白そうににやにやしてこっちを見ている。これはどう収集すれば良いんだっ? こういう時は、


「ちょっとトイレ……」

「それなら尿瓶あるわ」

「何でまだ学校にあるんだっ!?」

「チャック降ろすのなら任せて。家でトレーニングしてきたから」

「いやいや、何だその変な練習は!?」


 二人はテキパキと動き始めた。かなの奴、さっと俺のチャックを降ろす。は、早いっ!


「ちょっとズボン持ってちゃあ降ろせないじゃないっ」

「ば、馬鹿っ! クラスでズボン脱げるか!!」


 そしてかなと張り合っていると、


「はーい、朝のホームルー……何やってんだお前ら?」

「え? いや~っその……防災起きた時の練習? ですかね?」

「分かったからとりあえず尿瓶しまえ」


 そしてあっさり朝のホームルームが始まった。それで良いのか松尾(先生)!?

 そして授業が始まり平和な日が訪れる。


──貴方に興味があるの

──わ、私も裕君のこと気になってるんだからっ!!


 ……どうすりゃあ良いんだこれ? それに『ランラン』の正体も……、まぁ机も気になるが。しばらく授業中に俺はその思索に耽った。そして二人が来る休み時間事にトイレへ逃げた。


「どうすりゃあ良いんだ間宮。加納さんも驚いたが、かなまであんなこと言うとは」

「まぁ、とりあえず老後は安心だな」

「いや、そこじゃないだろ!?」

「うーん、けどお前巨勢さんのこと好きなんだろ?」

「うん、ま……えっ、どうして知ってんだ!?」

「いや、見てれば分かるだろ」


 こいつにはそういうの筒抜けかよ。


「まぁ、それを踏まえて答えないとなっ」

「あぁ……」

「もう二人に好きな人いるって伝えたらどうだ」

「え!?」

「そうすれば二人は諦めてくれるんじゃないか?」

「……」


 僕は少し考えた。それしかないか。


「分かった、そうする」


 昼休みご飯の折に決着だ。そして昼休み、二人は自分のグループに集まって食べていたので俺は誘われなかった。


 ほ、放課後に勝負だ!!

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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