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『ランラン』のイタズラ

 さてぼろぼろになった俺はクラスに戻る。5限目終わりに間宮が、なんでそんなに弁当持ってる訳? と訊いて来たので、


「二人の弁当のあまり」

「彼女達の食べ残しを食べるのか!?」


 そしたらクラスの生徒がどよっとしながらこっちを見るので、


「違うわ! 人聞きの悪いこと言うなっ!」

「じゃあ、なんで?」

「……二人が俺の為に作ってくれたんだ」


 周りはしーんとしつつも耳をそばだてる……気配を感じる。嫌だなーっ。そして間宮はふーんと言いつつも何やらにやにやしている。


「な、何だよ?」

「別にっ」


 そして日誌を書いて俺の日直を終えた。

 部活が終わり三人分の弁当を持って下校する。そしたら後ろから、


「裕志ーっ」


 まりの声だ。


「おう」

「部活お疲れーっ」

「そっちも生徒会お疲れ」

「行事がない間はほら、大体暇だから」

「そか」

「……」

「……」


 黙り込む。相変わらずまりといると緊張するなあ。しかし同時に幸せだ。まりと一緒にいられればどんだけ楽しい……。何やら隣から目線を感じる。


「ん? 何? どした?」

「ん……いや、これが噂の弁当ね」

「え? 噂!?」

「まあ、学校で有名な二人ですもの。そりゃあ二人が今までと変わったことすれば少しくらい噂になるわ」

「そ、そうなんだ」

「それに間宮君が嬉しそうにわざわざ話に来たわ」


 間宮の奴……明日覚えてろっ。


「で、二人の弁当の感想は?」

「え?」


 まりはじーっと僕の目を見る。


「いや、まあどっちも美味しかったけど……」

「ふーん、そ」


 少しつんとしていた。何だ? しばらく静かに歩いていると、あのさと彼女は言う。


「何だ?」

「わ、私の……もし作ったら弁当食べてくれる?」

「えっ!?」


 ま、まりの弁当って……あの? 俺は過去に彼女の作った料理を一度だけ食べたことがある。それが……かなり下手だ。正直言って不味い。それが悪夢の様に蘇る。俺はつい食べるのを避けるべく彼女の方を向いて弁明する。


「いや、まぁ、そ……」


 しかし彼女はかなり乙女な顔になっていた。こ、これは一体どうすれば……、


「あぁ、うん考えとくよ……」


 目線を反対側を向きながら俺は弱々しい声で言った。そしてまりの方から照れた声が聞こえてくる。


「うん……」


 うん、気持ちは嬉しいんだけどねっ。何だろうこの悲しい気持ちは? そして家に着いたのでまりと分かれた。


「じゃあな、まり」

「うん。じゃあ弁当の件考えといてね」

「そ、そうだな……」


 そして家に入り親に事情を説明して、晩に残りの弁当を食べた。部屋のベッドで横になりくつろいでいた。お腹いっぱいだ。しばらくして落ち着いて来たのでスマホをいじっていたら、通知が来ていた。見ると『ランラン』さんからだ。来た

っ。そして内容を見ると、

『困ったことになった。話を聞いてくれないか?』

 相談か? まぁ、ここは趣味アカだから相談しても別に構わないし、それと二人の関係ともやはり気になる。

『どうした?』

『今日パラパラメモリーズで泣いちゃった』

 え? 意表を突く内容で困惑した。学校のことじゃないのか?

『あれは泣けるよねーっ』

『うんうん』

『それで話って』

『だからアニメの共感相手が欲しかった』

 なるほど。そういう事か。

『良いよ。それくらいなら』

『わーい』

 そしてしばらく話で盛り上がっていると、

『次は相談なんだが』

『どうした?』

『ある男子に学校で親切よくしたつもりなんだ』

 来た。

『けど私が空回りして中々上手くいかなかった。男性的に女性の親切な空回りは嬉しいものなのか?』

 これは難しい話だ。正直大体は嬉しいが相手によるかもしれない。しかしまあとりあえず無難に書くか。

『大体は嬉しいかな?』

 少し時間がかかって、そっかと来た。

『ところで学校での君はどんな感じ?』

 それは……と打とうとして手が止まる。こいつに俺が高校生であることを伝えたか? いや、確かにツイートの中には高校生を仄めかす内容は打ったことあるが……、やはりあの二人のどっちかなのか!? 少しツッコんでみるか。

『なんで学生って知っているんだ?』

 そして少し時間が経って、

『ツイートの内容で何となくね。あれ? 違った?』

『いや、合ってるよ』

『良かったー、驚かせないでよ』

『そかそかゴメンゴメン』

『で、どんな感じなの?』

『うーん、至って普通かな?』

『ふーん、そうなんだ』

『そうそう』

『そうだ。うちの学校の気になる男子の机にちょっとイタズラしたんだけど、気づいて貰えなくて』


「え!?」


 そんなことしたのか? 一体何を……と打つのを止めて、

『どんなことしたの?』

『それは秘密♪』

 しらばっくれられた。一体何されたんだ俺っ?

 後日。登校中に昨日のことが気になってまりの話をろくに聞けない。


「もう、ちょっと話聞いてるの裕志?」

「え? う、うん。聞いてる聞いてる」

「それは聞いてないわね。何を考えているの?」

「ごめん。ちょっと学校に急いで行かないといけないから先行くっ」

「あ、裕……」


 そして急いでクラスに行き自分の席を見たが何もなかった。あれ? 特に落書きもないし、普通だけど? 何でだ~っと思って俺は机をくまなく見たが、それは何の変哲もない至ってふつうだった。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

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