三人分の弁当
昼休み彼女達は自分達のグループに色々説明をして俺と一緒に昼ご飯を食べることになった。俺はいつものメンバーと食べたかったが半ば強制連行された。そしてどうせ一緒に食べるなら外で食べたいと言ったら二人は承諾した。
外に出ると西から風が少し吹き陽射しが暖かいので、のどかだ。そして外には人が閑散としているから比較的静かだ。
「良いじゃないっ」
「そうね」
「ところで何であんたがいるのよ!?」
「それはこっちの台詞よ?」
「何ですって!?」
「まあまあ」
二人をなだめた。
「ふんっ」
二人はあまり交流したことないだろうに、なぜこんなに仲が悪いんだろうか?
「まぁ、飯にしよう飯に」
とは言え朝からの一連の出来事で『ランラン』と二人の関係を考えてしまう。やっぱり二人の内どちらかが『ランラン』……、
「今日さお母さんがお弁当をちょっと作りすぎたみたいだから食べない?」
何かちょっと作りすぎたというか2人前ある気がする。
「あ、あぁ分かった食べ……」
「いつも私は自分で弁当作るんだけど、私も少し作りすぎたから宮本君食べない?」
こ、これもまた多い……。
「わ、分かった食べるよ」
「私のはお手製だから」
「わ、私だって今日お弁当作るの手伝ったんだから!」
じゃあ量を調整しろよ。
「まずは自分の分食べるから」
そして自分の分を食べる。俺は食べてながら配分量を考え、後の二人の弁当の食べる量を計算する。そして、計算を導くが、
無理じゃね?
いや言っとくが別に俺は少食ではないが、かと言って沢山食べるタイプでもない。並だ並。自分の分で1人前、かなで1人前、加納さんで1人前だ。計三人前。精々食べられても1.5いや2人前くらいだ。食べられる量は最大2人前。そして3人分が与えられている。こんなの小学生でも分かる計算だ。幾ら食べる配分量を計算したとしても大食い選手じゃないんだからこんなに食えないのは自明の理、周知の事実であり公理だ。
だから俺は次に二人を傷つけずに断る(逃げる)方法を考えることにした。どうするあまり断るのは得意じゃないからな……。さてどうしたものか……。
「はい。宮本君ご飯どうぞっ」
「え?」
自分の弁当を見るともう空になっていた。しまった! 没頭し過ぎて気づかなかった!!
「わ、私も、裕君あーんっ」
「え、うん……」
「あーん」
ぱくっと食べる。確かに美味しいんだけどなぁ……。
「あ、私も宮本君あーん」
ぱくっ。ん!? これはっ、
「加納さん料理上手だねっ!」
「ふふっ、ありがとう」
彼女は微笑む。反対側からむーっと言う声が聞こえる。
「あ、別にかなの方も勿論美味しいよっ」
「ふんっ」
ふんと言いながらもかなは少し悲しそうだ。しまったな。ついあまりにも美味しかったから口走ってしまった……。
「はい、宮本君あーん」
「あーん」
美味しいけどどうしよう……。
「はい裕君あーん!」
「あーん……」
全部食べれないしかと言って残す訳にもとその時良いことに気づいた。そうだ。持って帰れば良いんだ!
「あのさ、二人とも全部は食べれないから持って帰りたいんだけどどうかな?」
「え、えぇ。私は良いれけど……」
「う、うん私も良いわっ!!」
そして二人の承諾を得て弁当を預かった。
「ちゃんと洗って返すよ」
「いや、そこは心配しなくても私が洗うから大丈夫よ」
「わ、私もっ!」
「いやいやそういう訳には……」
「そんなっ。洗うなんて勿体ない!」
彼女は少しよだれを垂らしながら言う。
「勿体ない?」
「いえ何でもないわ。とにかく洗わなくて大丈夫だからっ」
「わ、私もっ!」
「そ、そうか? じゃあお言葉に甘えて」
俺は二人(と自分)の弁当を持って立ち上がり、彼女達を対面にして、
「そろそろクラスに戻ろう」
「うん」
「そうね」
彼女達は立ち上がった時、びゅっと強い風が吹いた。そして彼女達の短いスカートは上に上がる。白と水色、白と水色!! そして二人はスカートを押さえ顔を赤く染めた。
「見た?」
二人はハモる。えっとーっ……、
「良い色だった」
「死ねーーーっ!!」
そして二人は俺に制裁を加えた。これぞ本物のラッキースケベ……。ガクッ。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
ブックマーク、評価頂き励みになります。