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霊山の狐  作者: 平原海牛
2/17

幕間

 世界には太古より、不思議な生き物が棲んでいた。

 獣と似た姿をしていれども、ただの獣とは違うと一目でわかる、そんな生き物。

 それは空を泳ぐ大蛇であったり、炎を纏う鳥であったり、複数の動物の特徴を持つ小山ほどもある獣だったりと多岐にわたる。

 そしてそれらの生き物たちは、超常を司り、叡智を蓄え、なかには人と交流を持つものもあった。

 人は彼らから多くのことを学び、発達した文化を得て、暮らしを豊かにしていった。

 

 しかし、彼らはごく限られた人間の前にしか姿を見せなかった。

 そのため、彼らの恩恵を受けた人間を中心に集落が、村が、国が形成され、やがてその人間は長や王となることが常となった。

 人はいつしかその長や王のことを、『神の加護を受けし者』という意味を込めて〝神護(しんご)〟と、加護を与えてくれる彼らを、『神の使い』〝天威(てんい)〟と呼び、崇め奉った。

 こうして人々の生活、文化は飛躍的に発展を遂げ、恵まれた暮らしができるようになっていく。

 

 しかし、それは唐突に終わりを迎える。

〝天威狩り〟なるものが国同士の間で起こったのだった。

 すさまじい勢いで台頭する隣国を牽制、あるいは神護の抱える天威を略奪しようという戦争が世界中で起こったのである。

 その戦で多くの人間、神護が犠牲となった。そして、戦火の拡大とともに天威は数を減らし、いつの間にか人の前に姿を見せることはなくなった。

 それからの人々は急速に文化を成長させることも、特別な能力を持った者が王となることもなくなり、緩やかな流れの中で歴史を紡いでいくことになる。

 

 それが、もうずいぶんと昔の話。

 今は、神護も天威も御伽噺の中のものになり、人々の記憶に形を残してはいなかった。

 

 そして、これはかつてより〝霊山〟と呼ばれた地に棲まう狐の姉妹と、

 それに行き逢ったひとりの兵士にまつわる物語。

 

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