年忘れ徹底討論
時系列・・・「涙の魔法」完結から数日後の土曜日。
明日はもう大晦日。そんな土曜日にいつも通りに飲み屋で語らう三人。
菜々「気持ちを新たに新年を迎えるにあたって、普段から疑問に思ってたことを思い残したままだと、ちゃんと年越せないと思うんですよ」
茂松「まーたなっちゃんのトンデモ理論に付き合わされんのか」
豊島「めんどくさがりながらも、なんだかんだノリノリで付き合うくせに」
茂「やってみっと意外と面白れーからな」
菜「えへへ、嬉しいです」
豊「で、何するの?年越しのために」
菜「これまでお互いに疑問に思ってたり聞きづらいなーって思ってたりしたこと、何でもいいから質問し合ってすっきりさせましょうよ」
茂「朝まで生ナントカ的なやつな」
豊「なるべく健全な質問で頼むな」
茂「始める前にそんな縛り入れたら面白くなんねーだろが」
豊「制限掛けねーと確実に調子に乗るヤツがいるからだ」
菜「不健全な方が逆に盛り上がると思いますけどねえ」
豊「…じゃあ発案者の菜々ちゃんからどうぞ」
菜「豊島さんはどれくらいガチのロリコンなんですか?」
豊「不健全っ!」
茂「そうでもねーだろ。健全なロリコンだって証明できるいい機会じゃねーか」
豊「健全なロリコンなんているか。腐るほど言い尽くしてきたが、俺はロリコンじゃない」
菜「そこなんですよ。カナちゃんさんや会社のみんなから散々ロリコンだってからかわれてるのに、いつも否定するじゃないですか」
茂「まあ急に開き直られて『ええ、確かにロリコンです』なんて言い出したら、からかったこっちがドン引きするけど」
豊「根も葉もねえロリコンの疑いを掛けられたまま、勝手にそういうイメージが定着しちまっただけなんだ」
菜「ロリコン疑惑を掛けられたきっかけは何だったんですか?」
豊「おもにこいつのせい」
茂「違う。俺は親切に噂だけ広めてやって、ロリコンキャラを定着させて親しみやすさを周りに与えてやっただけ」
豊「事実無根の作り話で勝手にキャラ付けすんなって、何回お前に言ったことか」
茂「いやいや、アレは確実にロリコンを疑われても仕方ねーだろ」
菜「ロリコンを疑う出来事が何かあったんですか?」
豊「断じて無い」
茂「俺らの学生時代の話なんだけどさ、幼稚園児ぐらいの幼女に声掛けたんだわこいつ」
菜「事案発生!」
豊「誤解です!」
茂「まあ迷子だったらしくて、その後俺ら二人で母親探ししたわけだけど」
菜「なーんだ。至って健全なほっこりエピソードじゃないですか」
豊「残念がってるようにしか聞こえない…」
茂「ロリコンの決め手になったのはむしろ、その後に裕太が言った『あれくらいの幼女っていいよな』発言の方なんだけどな」
菜「完全犯罪!」
豊「意味が違う!」
菜「言い逃れの余地まったくないじゃないですか!不健全なロリコンじゃないとかどの口が言うんですか!それでもロリコンじゃないって言い張るんですか!?なんなんですか!?死ぬんですか!?」
豊「うん。そんなに言い返されると思ってなかったから、今ちょっと死にたい」
茂「そのくらいで勘弁してやれ、なっちゃん。面白すぎるわ」
菜「不本意な結果ですが、結論として豊島さんは筋金入りのロリコンでした、と」
茂「流れに便乗して、俺も質問いい?」
菜「どうぞどうぞ」
茂「裕太的にはなっちゃんもロリに含まれてるわけ?」
菜「んえ!?」
豊「はあ!?」
茂「だってさ、10コ離れてるわけじゃん。どのラインから下をロリ認識してるかによって、裕太がなっちゃんをどう見てるか意味合いが変わってくんじゃねーかなーって」
菜「はー…言われてみると、確かに」
豊「いや、さすがにそれは…」
菜「どうなんですか豊島さん!?」
豊「マジな顔で聞くな菜々ちゃん。目が怖い」
茂「成人したら無条件にロリじゃない、なんて理屈は通用しねーぞ。世の中には合法ロリっつーもんが実在するわけだし」
菜「あたしは合法ロリなんですか!?」
豊「お前は菜々ちゃんを洗脳する力でも習得したのか、シゲ」
茂「俺はなっちゃんをけしかけるスキルが軽く上がったかもだが、今はお前が質問するターンじゃない。ちゃんとなっちゃんの質問責めに答えろ」
菜「はっきりさせてください豊島さん!あたしは豊島さんのためにロリを極めるべきなんですか!?」
豊「しれっと質問が変わってきてるんだが」
菜「じゃあ堂々と質問を変えます。豊島さんは、あたしの……その…」
豊「……ん?」
菜「あ……あたしのどこを好きになったんですかっ!?」
豊「んなあっ!?」
茂「うはあ…」
豊「こっ、こんなとこでそんな小っ恥ずかしいこと言えるか!」
菜「カナちゃんさんに聞かせるくらい、どうってことないです。むしろ証人になってもらいます」
茂「人使い荒いわー…」
菜「これをはっきりさせないままで、年なんて越せません。ロリ要素であたしを好きになったのか、そうじゃないならどこを好きになったのか、ちゃんと答えてください」
豊「それは、その…」
茂「ちなみに、たぶん両隣の個室の連中も聞いてるからな。さっきからやけに静かだし、確実に聞き耳立ててるぞ」
豊「余計言いづらいわ!」
菜「本気で好きなら、ちゃんと言えるはずです。さあ、どうなんですか!?」
豊「…………わかった。ちゃんと言うよ」
茂「おっ、腹括ったか」
豊「ただし条件がある。菜々ちゃんはすでに最初の質問の答えを得たんだから、続けて質問をしてくるのは不公平だ。先に俺の質問に答えてくれたら、菜々ちゃんの質問にマジ回答するってことで、いい?」
菜「いいでしょう。どんな質問ですか?」
豊「菜々ちゃんは俺のどこを好きになったんだ?」
菜「うにゃあっ!?」
茂「形勢逆転したな。…てかそのリアクション、裕太の質問予測できてなかったのかよなっちゃん」
菜「ふぇ、あう、どこって、言われても…」
豊「……俺への質問を免除してくれるなら、俺もこの質問を免除する」
菜「免除っ!」
豊「よし」
茂「本末転倒な気ーすんだけど」
菜「気のせいです。そっと胸の内に秘めておくままでいいこともあるんです」
茂「ご都合主義なこって」
豊「ちなみに俺は菜々ちゃんをロリっぽいとは思ってない。ロリ要素で好きになったわけじゃないってことだけは、はっきりさせておく」
茂「何しれっと俺の質問まで片付けてんだよ」
豊「これ以上ツッコまれてたまるか」
菜「じゃあこれで、あたしとカナちゃんさんの質問の答えが出たので、結局また豊島さんの番ですね。何か質問あります?」
豊「あー、そうだな…」
茂「年忘れのシメに相応しいオチ、期待してんぞ」
豊「質問にオチもクソもあるか。真面目に考えてんだから、茶々入れんな」
菜「真面目すぎると、あんまり面白い答え出ないかもですよ?」
茂「堅物裕太に面白さを求めてやるな。俺らがアシストしてやんねー限り、こいつにユーモアを期待しても無駄だ」
菜「さすがにそれは言いすぎですけど、なんとなくわかります」
茂「で、何か思いついたか裕太?」
豊「…………初詣、どうする?」
菜「へ?」
茂「あ?」
菜「えっと……今年の大晦日は日曜でいつも通り夜勤シフトですから、終わってから朝一緒に行きませんかーって誘うつもりでしたけど」
豊「あ、そうなんだ」
茂「お前さあ、この流れで今それ聞くか?念願の彼女が出来て、二人で初詣デートしたくて焦んのはわかるけど…」
菜「えっ?カナちゃんさんは行かないんですか?」
茂「は!?俺も誘う気だったのか!?」
豊「俺も三人で行くもんだと思ってたけど」
茂「おいおい。初詣なんて絶好の好感度稼ぎイベントに、さすがに俺が混ざるわけにいかねーだろ」
菜「初詣までに彼女出来るかどうかは、有能キャラ育てるには死活問題ですからね。クリスマス前までに墜としておくのがベストですけど」
豊「某野球ゲーで何故会話が成立しているのか」
茂「どのみち、めんどくせーから俺は行かねーよ。正月は寝て過ごしてーし、朝から出かけんのだりーし、人混み嫌いだし」
豊「コミケは平気なくせに」
茂「今それ思い出させんな…今年の冬コミ行く準備すっかり忘れて断念したんだから…」
菜「もーっ。脱線しまくりですけど、とにかくカナちゃんさんも行くんです。カナちゃんさんに素敵な出会いがありますようにって、三人でお願いしないと」
茂「勘弁してくれって。お前らが俺の分までお願いしてくりゃいいだろ」
豊「本人が行かなきゃ意味ねーだろ」
菜「それにおみくじ引いて恋愛運も確かめておかないとですし」
茂「ぜってー嫌だ。俺は家で寝てたいの、お前ら二人で行くの」
豊「なんでそこまで拒否るんだよ。今さら俺らに気ー遣ってるつもりか?」
茂「あたりめーだ。俺なんかがいたら、初詣の後のお前らの通過儀礼をやり損ねちまうだろ」
菜「通過儀礼?何のですか?」
茂「何ってそりゃ、姫はじ…」
菜「ぴゃあああああ!!」
豊「ぜってー朝一でお前ん家乗り込んで叩き起こすからな!首輪付けてでも家から引きずり出してやる!」
茂「うわー、首輪付けてプレイすんのアリな奴だったのか。裕太の性癖、気をつけとけよなっちゃん」
豊「無理矢理に変態キャラまで定着させようとすんな!このドスケベ童貞!」
菜「最後まで不健全だなあ…」