表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
81/627

79.ネル、姉になる01


それはある晴れた日のこと。


俺はネルとマック君とで、いつものようにトランプで遊んでいた時のことだった。


コンコン、とドアがノックされる。



「ん? 誰?」


「ニコさん、すみません。

陣痛が続いているみたいで……イタタ、医者を呼んできてもらえますか?」


ナンシーさんの声だ。


「陣痛?」



って、陣痛?!

大変だ大変だ!



「陣痛って何、猫さん」



おい!

マック君は保健体育の知識が無いのか?!


俺は『赤ちゃんが生まれるかもだから、さっさと医者を呼べ』と書く。



「何だって?! 分かった、すぐ呼んでくるよ!」



マック君はドアを開けて、走って行った。



「ママ、大丈夫?」


「はぁ、はぁ……ネル、いい子にしてるのよ」


「ナンシー、あんた産気づいたって本当かい?!」



マック君が途中で助けを呼んだのだろう。

近所のおばさん達が、ナンシーさんを管理人室へと連れて行く。

そして服をある程度脱がせ、ベッドに寝かせた。


おばさん達は、せっせと布を用意したり、お湯を沸かしたりしていた。


しばらくして、50過ぎくらいの男の医者がやって来た。

この国には女医は居ないのだろうな。


医者が脈を取ったり、ぺたぺた触ったりして診察している。

その様子を俺達は部屋の端で見守っている。


俺はこっそり【鑑定】でナンシーさんをみる。


――――――――――――――――――――――――

鑑定結果

出産状況:分娩第1期(第2期まであと2.3時間)

――――――――――――――――――――――――


この【鑑定】スキル、鑑定したいものを絞れば何だって分かるのだ。


例えば、胎児の性別を鑑定してみる。


――――――――――――――――――――――――

鑑定結果

胎児の性別:女性

――――――――――――――――――――――――


胎児の性染色体を鑑定してみる。


――――――――――――――――――――――――

鑑定結果

胎児の性染色体:XX

――――――――――――――――――――――――


と、このように、胎児の性別だけじゃなく、性染色体の数の異常等が無いかまで分かってしまうのだ。


俺はナンシーさんが妊娠したと分かった時点から、ヤバそうな感染症などが無いか、胎児の病気など無いか鑑定していた。

日本じゃ風疹ワクチンがきちんと打たれてないから、先天性風疹症候群で難聴を持った赤ちゃんが生まれているもんな。

ワクチンが普及していないこの国では、もっと先天性の病気が多いことだろう。


しばらくして、医者の診察が終わる。



「では私はこれで。あとは助産師に任せるが、何かあったらまた呼んでくれ」



そう言って彼は去ってしまった。

中年の女性がナンシーさんに、出産のあれこれを教えている。

彼女が助産師なのだろう。



「猫さん、ママ、どうなるの?」


『これから妹が生まれるぞ』と書く。


「私、お姉ちゃんになるの?」


『ああ』と書く。



経産婦なら出産は初産より早くなるはずだ。

第2期まであと2.3時間ということを考えると……あと4時間くらいだろうか?

おばさんの何人かは戻って行った。

交代でナンシーさんを見るらしい。

といっても、助産師が居るから、出来る事はサポートくらいだろうが。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ