625.【後日談7】2025猫の日
魔獣都市マタタビの朝5時頃。
すっかり人間と活動時間を合わせてしまったネコ科魔獣達が、起きてご飯を催促する時間だ。
俺は宿屋の前で横向きに転がり伸びをする。
今日は猫の日。
魔獣都市マタタビはお祭りモードだ。
ネコ科魔獣達には、雑貨屋クローバーから、訳あり商品が無料配布される。
それらは売るなり交換するなり自分で消費するなりすれば良い。
「にゃー」
「んま」
「みう」
今日は首輪型魔道具の大規模メンテナンス実施日だ。
電子マネー機能以外はストップしている。
もちろん事前告知はしているので、誰も慌てていない。
翻訳機能も止まっているが、そんなに不便はないはずだ。
お、サバトラ猫のサバさんが宿の猫用ドアから出てきた。
「みゃーお」
「にゃー」
「みゃう」
サバさんは伝言を伝え終え、猫用ドアに向かい宿の中へ戻る。俺も行くとしよう。
普段使っていないが、通れるだろう。
猫用ドアに頭を突っ込む。
頭は通った。しかし体がつっかえている。
……。
「にゃー」
当然誰も来てくれない。
仕方ないな。
後退し、普通に人間用ドアにジャンプ。
ドアノブを回し開けて、中へ。
もちろんドアは閉め直す。
サバさんは先に食堂へ行ってる。
俺もご飯を貰いにゴーだ。
食堂では、サバさんはお皿に顔を突っ込んでドライフードを貪っていた。
「みゃ、みゃ、みゃ」
人間と違い、俺たちの喉は食事の道と空気の通り道は分かれている。よってウマイウマイ唸りながら食べることが出来るのだ。
ボリボリ。うまい。
「みゃー」
「にゃー」
ま、食事中に喋るな、ってのは人間のマナーだから、俺が従う必要は無いのだろうけどな。
◇ ◇ ◇ ◇
朝食を終え外に出る。
肉を焼く匂いがあちこちからする。
ネコ科魔獣達は、屋台の網や鉄板の上の肉に釘付けだ。
「あんなー」
「にゃー」
ネコ科魔獣が、屋台を回るのに夢中で、人間とはぐれたらしい。
あっちだよ、と指さす。
ん? 前足だから足趾か?
まあいいか。
「あーんなっ」
お礼を言って去っていく。
楽しんでくるといいぞ。
そんでもって、俺は向こうから香る昆虫魔獣焼きが気になる。
エビのように皮はパリパリ、中はプリプリなのだ。
想像するだけでよだれが止まらない。
魔獣幹部の火車がひょこっと現れた。
「んなー」
「にゃー」
「んなう!?」
パトロールとパレード参加をお願いされるが、知らん。
昆虫魔獣焼きが俺を待ってるぜ。




