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53.フランベル国王の心労

・フランベル4世視点


ニコの申していた大魔導士というのは、茶色の猫であった。

そういえば、勇者召喚で現れた野良猫も同じような茶色の猫だったな。

あやつは元気に生きているだろうか?


いや、今はそんな余計なことは考えている余裕はない。

とりあえず目の前の猫を鑑定してみる。


――――――――――――――――――――――――

鑑定結果

名前:XXXXXX

Lv:2X(XX歳)

種族:猫

スキル:【鑑定XX】【XXXXX】

【ライトLv11】【XXXXLv3】【XXXX】

【XXLv4】

【XX値100X】【XXLvXX】

ステータス:

HP XXX/1,920 MP1,3XX/1,3XX

ATK337 DEFXX MAT3XX MDFXX SPD473 INTXX LUKXX

称号:【王者を討伐せし者】【救済者】【XXX】

【エセX】【XXX】

XXXXした茶トラの猫。XX人間XXXらしい。

ドラゴン並みのXXXX。

――――――――――――――――――――――――


駄目だ。

鑑定が阻害される。

相手は鑑定阻害を持っているらしい。


あるいは相手の鑑定魔法が干渉しているのか。


鑑定偽装スキルは我々王族には通用しない。

つまり、断片的に手に入る鑑定情報は全て真実と言える。


ATK337、つまり力が大人の冒険者の約34倍。

……ミノタウルスでもATKは100くらいなのに。


それにこのスキルの数、けた外れのHP。

古竜に匹敵する力を持つ猫。

言葉を操ることが出来る。


これらの特徴を考えると、間違いない。


この者は猫の王、ケット・シーだろう。

もし人間が変身しているのなら、種族が猫ではなく人間となっているはずだ。


これは、とんでもない者を招いてしまったようだ。

魔王よりも強者である古竜相当の猫。

下手に怒らせてしまえば城も国も吹き飛ばされる。


とりあえずは、大魔導士が化けているというていで話を進めよう。

余計な詮索をして機嫌を損ねられたら敵わない。


ケット・シー殿は魔王シルフとエルフの情報を提供してくれた。

エルフは、ケット・シー殿の許可なく勝手に住み着いていた、と。

森を広げて、結界を張ろうとしていた、ふむふむ。


それらの話が終わった後、『頼むから俺の生活の邪魔をしてくれるな』と書かれた。



「ふむ……大魔導士殿、貴重な情報、感謝しよう」



ケット・シー殿は、軍によって生活を乱されて機嫌を損ねている。

これ以上怒らせたら洒落にならない。

今後、森へ余計な軍は送るまい。



「陛下! この猫の言うことを真に受けるおつもりか?!

だいたい、エルフと共に暮らしているとはどういうつもりだ?

貴様、さては魔王軍の魔獣ではないのか?!」



馬鹿か?!

ケット・シー殿がいたおかげでバジリスクの被害が無くなり、勇者が守られ、森に平穏が保たれているというのに!

よりによって魔王軍の魔獣呼ばわりするとは!


ケット・シー殿が本気になれば、それこそ古竜の本気と同等、つまり魔王なぞ簡単に葬ることが出来るであろう。

それをしていないということは、すなわち人間の味方でも、魔王の味方でもないということ。

逆に言えば、人間の敵になる可能性も十分にあるということだ。

怒らせてはならぬ!



「防衛大臣、仮にこの猫が魔王の手下ならば、私達はとっくに始末されているだろう。

私には【鑑定Lv13】というスキルがある。

それを使ってステータスの一部を見たが、大魔導士殿はどうやら古竜に匹敵する能力を持ってらっしゃるようだぞ」



言いつつ内心、私は生きた心地がしなかった。

勝手に鑑定したことをばらしたが、出来れば秘密にしておきたかった。

だが、防衛大臣がこれ以上無礼なことを言う可能性が高いから、先にその可能性を潰した。


ちらりとケット・シー殿を見る。


ああ、少し不機嫌そうな顔をしている。


この後、私は森での生活を認め、今後森の住み家に軍を送らないことを約束して、ケット・シー殿にお帰り頂いた。

彼は木箱を持って帰った。


他のお礼の品々も渡そうとしたが、断られた。

俺に金品を渡すくらいなら、困窮してる人に渡してやれ、と。

なんという人格者。

彼は猫だが。


私は心労でクタクタになったので、早々に寝ることにした。


愛する妻と娘、そして愛犬のおでこにキスをして、ベッドで横になる。

おやすみなさい。



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