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50.哀れフランベルジュ

王城までの道のりは知っているが、人間の足に合わせて歩いたので、到着は夕方になってしまった。


森の入口には馬車が停まっていて、それに乗るように言われて乗ったのだが。


おぇぇええ! 乗車数分後に俺は吐いた。



「うぉっ?! 猫さん、大丈夫?」



隣のマック君が心配してくれる。

そういえば猫は三半規管が優れているから、乗り物酔いし易いんだった。


俺は『自分で歩く』と書き、馬車から降りた。

悪いけど、馬車の掃除はマック君に任せよう。


そのまま町へ入り、王城に入る……途中で、見覚えのある石像が城門に居た。



「キュオオオオオオン!(だから我は聖竜フランベルジュだと言っているのである!

おい、いい加減弓矢で攻撃するのを止めるのである!)」


「くそっ! 何だこのガーゴイル!

傷一つ付いてないぞ!」



俺がフランベルジュの墓に捧げた石像が、城からの弓矢の雨にさらされていた。



「キュオン! キュオン!(おい、そこの不思議猫!

こやつらには我の念話が通じぬ!

我が聖竜フランベルジュであると伝えるのである!)」



やはり、あの石像にはフランベルジュの霊が宿っているらしい。

そして会話が出来ないため、不審者扱いされて攻撃されているということだろう。



「何事だ! 王城前にガーゴイルが居るだと!

魔王軍の者か!」



俺を護送していた兵士たちも、弓矢攻撃に加わってしまう。

どうすんだこれ。


とりあえず、マック君をツンツンして、『攻撃を止めさせてくれ』と書く。



「いやー、さすがにその権限はボクには無いかなぁ」


『あれって、聖竜フランベルジュだぞ?』と書く。


「え? このフランベル王国の象徴の伝説の竜?

ははは、そいつはもう死んで居ないよ、猫さん。

あれはドラゴン型のガーゴイルだろうね」



俺は何度も違うと訴えたが通らず、こちらの様子を見てそれを悟った石像さんは落ち込んで、森の方へと飛び立っていった。



「うぉぉおお! 魔獣を撃退したぞー!」



兵士達は声高らかにそう言って、拳をあげている。

いいのか?

姿形は違えど、あれってお前らの国の象徴か何かの竜じゃないのか?



「さ、門が通れるようになったみたいだし、行こうか」



マック君について行く俺。

何だかフランベルジュが可哀そうだから、これが終わったらお肉でもお供えすることにしよう。


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