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44.第一魔王軍討伐隊の報告



・フランベル4世視点



「派遣した第一魔王軍討伐隊の1人が帰ってきた模様です!」


「うむ、すぐに通せ」



私は国王フランベル4世。フランベル王国の王だ。


第一魔王軍討伐隊を森へ向かわせた、その戦果が報告されるはずだ。


報告によっては勇者をぶつける必要が出てくるだろう。

私と防衛大臣はごくりとつばを飲み込んだ。



「失礼します! 陛下!

勇者の報告した、怪しげな建物を確認し、それを征圧しました!」


「うむ、して、その建物の様子は?」


「それが……もぬけの殻でして」


「その報告、具体的に頼む」



防衛大臣が口を挟み、詳細が報告される。


掘りの内側に石壁、そしてウッドハウス、さらに見たことのない木造の倉庫。

倉庫には食べ物を保管しているらしい。

もちろん毒入りかもしれないので、手は出していない。



「魔王軍め、こちらの動きを見て、そそくさと逃げおったか」


「どうだろうな。勇者を呼んで来るのだ。彼らの意見も聞こう」


「はっ!」



しばらくして、兵士が勇者3人とマクドーン、今はニコと名乗る少女を連れてきた。



「……ニコを呼べとは言っていなかった気がするが」


「はっ! しかし勇者一行が、同じく建物を見たと申していたので、連れて参りました!」


「ふむ、まあいい」



私は勇者達に事情を説明した後、問う。



「勇者達よ、貴君らはどう思う?」


「あの連中に、あのエルフを討伐するのは無理だな」



勇者の一人、高無勇と言ったか、その男がはっきりと答える。



「魔王軍の幹部と疑わしき女のエルフ、ということだったな?

どうなのだ第一魔王軍討伐隊の者よ?

彼女について何か分かっているのか?」


「はっ! ……先ほど申した通り、道の途中にも、その建物周囲にも、それらしき人物は見られませんでした」


「役立たずだなぁオイ」


「貴様! 勇者だからって調子に」


「防衛大臣、今は味方同士で争っている場合ではない。

勇者達よ、貴君らの率直な意見を問いたい」


「俺があのエルフなら、このまま城に攻め入って落とすだろうな」


「そうねぇ」


「……同感」


「城を落とす? 馬鹿な! この城には常時100人以上の優秀な兵士が守りに就いているのだぞ!」


「俺達が傷ついた時に助けた人は、その兵士の連中に見つからずに城に入って、俺達を医務室に預けたそうじゃないか?

警備が甘いんじゃないのか?」


「ぐぬぬぬ……!」


「ニコ、そなたはどう思う?」


「んー、その木の家は多分、魔王と関係ないんじゃないかな?」


「ほぅ?」


「バジリスクを倒した凄腕の人、勇者を助けて城に届けた人、多分同一人物だよ。

その人の住み家じゃないかなぁ」


「「「……」」」


「ま、待て。そのようなこと、どうして黙っておったのだ?」


「だってバジリスクを倒したことを全然自慢しないし、勇者を助けたのに国に何の報酬も求めない人だよ?

ちょっと考えれば分かるじゃないか? 彼はきっと隠居した大魔導士か何かだよ。

彼の隠居生活を邪魔したくなかったから、報告しなかったんだけど、どうやら悪手だったみたいだね」


「……それでは、その大魔導士に対して、我々は喧嘩を売ったことになるのか?」



防衛大臣が顔を青くする。



「もし彼が……我々の態度に失望し、魔王軍についてしまったら……」


「いや、それはないんじゃないかな?」


「ニコよ、なぜ分かる?」


「ボク、その人物に会ったんだよね」


「「「何だと!(じゃと!)」」」


「だから、謝罪のための使節団として、ボクが彼の元へ行くよ」


「しかし、森には魔王軍が……」


「大丈夫。何なら第二魔王軍討伐隊を連れて行ってもいい」


「俺も行くぞ。もしあのエルフに会ったら、今度こそ返り討ちにしてやる」



勇者の高無勇の言葉に、二人の勇者もうなづく。


こうして、第二魔王軍討伐隊と勇者一行、そしてニコが森へ向かうことになった。


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