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36.お小遣いをもらう


マック君は鉛筆もどきをうっとりと眺める。



「素晴らしい発明だね。

この書き心地、筆と同等、いや、それ以上だよ。

筆と違って、インクの管理の必要がないというのが優れている。

このツタでぐるぐる巻きにしている部分を綺麗な装飾に変えれば、貴族への贈り物にもなりそうだ」



鉛筆の利点はそれだけではない。

インクと違って劣化や色の変化などに強く、記録用具として優秀なのだ。

ということを書いたら、是非とも欲しいと言われたので、プレゼントしてやった。


自分用の鉛筆もどきをもう1本作って、いまだに鉛筆もどきに夢中になっているマック君に聞く(書く)。

『それで、俺に何か用か?』と。



「ああ猫さん、失礼。ところでボクのこと覚えてる?」


『マクドーン・ハウエル君だっけ?

何で変装してるんだ?

さっきニコとか呼ばれていたよな?』と書く。



茶髪のカツラを被り、偽名を使っている。

ということは、身を隠しているってことだろうか?

何のためかは知らないが。



「ボクが変装してるのは単に目立ちたくないからなのだけど、それは大したことじゃないんだ。

ここに来た理由は一つ、猫さんへのお礼だよ」



マック君は背負っている鞄から布の巾着きんちゃく袋を取り出し、俺に渡す。

中を覗くと、たくさんの金メダルみたいな金貨が入っていた。

100枚くらいありそうだ。



「1000万G入っている。これで猫さんのご主人様から好きな物を買ってもらって欲しい」


『お礼なら、この前、本をもらったが』と書く。


「まさか! 命を助けてもらっておいて、本1冊で済ませるほどボクは恥知らずじゃないよ」



俺としては、使わないお金よりも、役に立つ本の方がよほどありがたいのだが。



『ところで、俺にご主人様なんていないのだが』と書く。


「そう? ま、せっかくだから貰っておいてよ」



こうして俺はお小遣いを手に入れた。

買い物……出来るのか?

やって出来ないことはないだろうが、難しそうだ。



「じゃあね」



マック君は帰ってしまった。


そして俺は金貨の使い道を考える。


金というのは優秀な金属だ。

熱で簡単に加工できる。

いくらでも伸びるし、化学反応に強い。


そういや生前の俺の研究仲間は、金ナノ粒子を使った治療薬を研究していたな。


ま、猫になってしまった今では、ナノ粒子どころかツタを結ぶのすら苦労しているのだが。


猫の手用の、作業用鉗子かんしもどきでも作ってみるか?

(鉗子ってのはハサミみたいな持ち手のピンセットっぽい器具だ)

幸いここには大量の金(純金か知らないが)があるみたいだし。


お金を加工するのは生前では当然犯罪なのだが、俺は猫でここは何でもありのファンタジー世界。

ちょっと金貨を溶かして工作するくらい、別にいいじゃないか。



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