29.粘土をこねる
さてと、今日は生活用品を揃えることにしよう。
もちろん買い物なんて出来ない。
俺って猫だし。
買わなくても作ればいいじゃないか。
Do it yourselfってやつだ。
というわけで、川へ移動だ。
◇ ◇ ◇ ◇
川で水を四次元空間へ入れる。
この能力便利すぎる。
普通なら粘土で壺でも作って水汲みをするのだろうが。
ま、いつこの能力が使えなくなるか分かったもんじゃないから、念のため壺も作るつもりだが。
あとは手ごろな大きさの石、平べったい石を頂戴することにしよう。
◇ ◇ ◇ ◇
森を歩き、粘土質の土の所に来た。
四次元空間に収納する。たくさんだ。
俺は家2軒分くらいの量の土を頂戴した。
◇ ◇ ◇ ◇
俺の家がある木の前に、かまどを作ることにした。
キャンプする程度なら、石をコの字に並べるのでいいだろうが、俺はここに定住するつもりだから、がっつり作るぞ。
まず粘土を取り出し、水と混ぜてコネコネする。
それをコの字に積み上げる。
枯れ葉や枯れ木を中に入れ、溶岩を数滴垂らし、着火する。
火を焚きながら作れば、粘土が早く乾燥するのだ。
途中で穴が空いた粘土の板を作り、乾燥させてかまどに乗せる。
この上に物を乗せて加熱するのだ。
今度はその上にコの字状に粘土を積み上げ、ドーム状にする。
ドームの上には穴があり、煙がもくもく上がっている。
温かい。これいい。
すごくいい。
かまどが完成したので、次の作業だ。
粘土で壺と皿を作って、乾燥させ、かまどで焼く。
出来た壺に水を入れ、かまどに置き煮沸する。
よし、これで綺麗な水がいつでも飲めるぞ。
ついでに皿に、足をむしったバッタを数匹乗せて焼く。
皿を取り出して食べる。美味い。
本当なら、皿は熱いから木で挟んで取り出すのだが、どうやら俺は熱に強いらしい。
マグマに浸かっても無事だったし、今更か。
バッタを食べた後、さらに壺と深皿を作った。
ついでにコップを数個作る。
コップを両手で持ち、壺から水をすくって飲んでみる。
うむ、喉ごしさわやか。
「にゃー(あー、ビール飲みてぇな)」
余裕が出来たら作ってみようか?
材料が揃わないから無理か?
いや、そもそも猫は酒飲んだら駄目だったな、うん。
今日は疲れたから、もう寝るとしよう。
俺は深皿に水を満たし手を洗い、家に入って丸くなった。
おやすみなさい。