247.痛み止め転売の末路
雑貨屋クローバーにて。
コーディの膝の上でのんびり丸くなっていると、店に憲兵の連中が入って来た。
どうしたんだろう?
「これよりフランベル王国所属第3憲兵団による抜き打ち調査を行う!
誰も物に触れないように!
怪しい動きがあれば、拘束しますからね!」
憲兵さんはたまに、事件や怪しいことをしていると疑われる場所に訪れ、このように調査を開始する。
もちろん雑貨屋で後ろめたいことは何一つ行われていない。
彼らは商品棚などをごそごそと漁る。
「ありました! この痛み止めです!」
「よし、回収しろ!」
俺の作った痛み止めを袋に詰める憲兵さん達。
一体どうしたというのか。
ん? また誰か来たな。
足音から察するに、防衛大臣っぽいが。
「第3憲兵団! 今すぐ調査を中止せよ!
これ以上続けるというのなら、国家反逆の罪で処刑するぞ!」
「防衛大臣! し、しかしですね……」
「これは大魔導士様、この度は部下がとんだ粗相をしでかしました。
なにとぞ寛大なご措置を賜りますようお願い申しあげます。
おい、さっさと引き揚げろ。その袋の中の物も返却せよ」
ふむ、何か事件があったのだろうか。
タイプで『何かあったのか?』と打つ。
「実は……この薬を使った妊婦が流産するという事が言われておりまして。
いえ、大魔導士様を疑っているわけではないのですが、念のため調査をしているのです」
憲兵団の団長さんっぽい人が答える。
妊婦が痛み止めを使っているだと?!
痛み止めの成分は、胎児の動脈管という血管を閉じさせるから胎児死亡の危険がある。
他には胎児奇形をもたらす場合もある。
だから妊婦に使うな、と薬の添付文章に書いてあるのに……。
それにこの薬は無料配布しているが、医者相手にしか配っていない。
ということを憲兵団さんに伝えた。
「つまり、薬の使用用途を守っていない医者が居る、と?」
大臣は首を傾げる。
「もしくは、医者が薬をどこかに転売しているのだろう。
それを、字が読めない一般人が誤った使い方をして被害に遭っている、といったところか。
大魔導士殿、薬を売っている医者の名前を教えてもらってもよろしいか?」
俺は、王都の医者リストを渡す。
○印を付けている奴が薬を貰っている奴だ。
その中でも、薬を毎回たくさん貰っている奴が2人居ることも教えてやった。
「第3憲兵団、この者達を秘密裏に監視せよ。
もし転売、密売を見つけたのなら、構わぬ、拘束し王城へ連れてくるのだ」
「はっ!」
後日、この2人の医者の転売が原因で事件が起こっているのが発覚。
2人は投獄されたそうな。
それ以降、薬の副作用を医者連中がしきりに質問してくるようになった。
うむ、良い事だ。




