244.一味違う
夜。
雑貨屋にタイプライターを忘れたので、四次元ワープで雑貨屋へ入る。
あったあった。
これが無いと落ちつかない。
さて、森に帰るか。
「みゃー!(それー、ジャンプ!)」
「なーん!(きゃははは! 楽しーい!)」
店の外が騒がしいので出てみる。
野良猫達がはしゃいでいた。
「にゃー(毎晩毎晩、よく飽きないな)」
「みゃん!(猫又様! 一緒に遊ぼうよ!)」
「なーお!(かけっこしよーよ!)」
「にゃー(近所迷惑だから、ほどほどにしろよ?)」
猫の運動会ってやつか。
猫は夜行性だから、夜に元気になる、というわけだな。
飼い猫の主人は大変なんだろうなぁ。
そんなことを考えつつ、俺は森に帰った。
◇ ◇ ◇ ◇
翌日。俺は森のかまどの前でのんびりと過ごしていた。
「バステト様、最近物忘れが酷いのじゃが」
ん? シルフ婆さん、認知症が始まったのか?
自覚症状があるのはまだマシな方なのだろうが。
よし、【強化ヒール】の出番だ。
それー。
脳の沈着物質を除き、死んだ神経細胞の代わりに、他の細胞を神経細胞へ分化させる。
「何だか頭が若返った気がするのう」
それはいいのだが、【強化ヒール】を使った瞬間、前足が熱くなった気がする。
マグマを熱く感じなかった俺が熱く感じるって、かなりヤバいのではないだろうか。
ふむ。実験する必要があるな。
ちょっとそこに居るバッタ達に協力してもらうとしよう。
◇ ◇ ◇ ◇
実験結果。
【強化ヒール】を使う際、力加減を70%未満にすれば熱は感じない。
それ以上だと熱を感じてHPが減るようだ。
なお、熱くなっているのはあくまで体感。
俺の手が木に触れても燃えないし、バッタに触っても焼きバッタになったりしない。
「にゃー(もういいぞ、解散)」
実験に協力してくれたバッタ達を解放した。
彼らは一目散に逃げ出した。
お、バッタが1匹、カラスの魔獣バッドクロウに食べられた。
「カァ!(びゃあ゛ぁ゛゛ぁうまひぃ゛ぃぃ゛!
やっぱり森で育ったバッタは一味違いますよぉ!)」
バッドクロウ君もそう思うか。
俺もそう思う。
草が少ない場所のバッタって、あんまり肉が付いてないんだよなぁ。




