17.新しいマイホーム
テントの皮は盗まれた。
だがこれは、盗まれるような家を作った俺の落ち度でもある。
バジリスクの皮はきっと、良い値段で売れる素材だ。
彼らからすれば、道端にサイフが落ちているようなものだったんだろう。
次は、あまり高価そうな物を素材にしない家にしよう。
あとは、拠点も移動しよう。
この場所は人間に目を付けられているみたいだから、もっと森の奥を拠点にしよう。
◇ ◇ ◇ ◇
歩きまわり、丁度良さそうな場所を見つけると、もう夕日が沈む時間帯だった。
俺は四次元空間から木を取り出す。
「にゃー(『闇を照らせ。ライト』)」
照明が使えるって便利だな。
俺は明るい中、木を加工していた。
木は手持ちだけでは足りないので、その辺に生えているのも拝借することにしよう。
……。
◇ ◇ ◇ ◇
出来たー!
俺が作ったのはツリーハウス。
といっても、地面で屋根付きのイカダもどきを作って、それを四次元空間に収納して木に登って取り出し、太い枝に載せて固定しただけだが。
だが、これなら人間にちょっかいをかけられることはないだろう。
風がモロに当たる欠陥住宅だが、そこは今後改良すればいい。
俺は新しいマイホームで丸くなる。
おやすみなさい。




