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144.サプライズ


俺がこの世界に来て4年。

ヨツバが産まれて1年だ。


ヨツバは必死に発声練習したようで、ようやく言葉を普通に喋ることが出来るようになった。



「ネル姉さん、『クローバー』へ連れて行ってください」


「はーい! ママー、ヨツバが散歩に連れて行って欲しいって!」


「いいわよ。いってらっしゃい」



よし、ヨツバは出かけたな。


ヨツバはまだ1歳なので、ネルやマック君同伴でなければお出かけ禁止にされている。

逆に言えば、ネルかマック君に頼めば好きな場所へ連れて行ってもらえるようになった。


で、俺とマック君は、前々から計画していたことを実行することにした。



「お姉さん」


「あらやだ、ニコさんったら。何でしょうか?」


「ヨツバちゃんにサプライズを用意したいので、手伝ってもらえますか?」


「よく分からないけど、いいですよ」



ナンシーさんの協力も得られたので、準備するとしよう。



◇ ◇ ◇ ◇



・ヨツバ視点


店は順調。リオン君にいくつか指示して、私達は帰ることにした。


ネルちゃんには、この店は私と猫さんがオーナーであることを教えている。

もちろんナンシーさんには秘密だ、と伝えている。


今のところ秘密を守ってくれているのを見ると、ネルちゃんは意外としっかりしているらしい。

秘密をどれだけ守れるのか試すようなことをして悪かったと思っている。

んもー、ネルちゃん、いい子すぎるでしょ!


で、宿に帰ると、なぜか窓に暗幕が張られていた。

一体何事?



「ママー、ただいまー」


「帰りました」



おそるおそる入ると、暗闇に火が灯る。

猫さんが【四次元空間】で何か光る物を取り出したのだ。


それは、ロウソクが1本立てられたパウンドケーキだった。



「はっぴばーすでぃ、とぅゆー♪」「にゃー」


「はぁぴぃばーすでー、とぅゆー♪」「にゃー」


「「ハピバースディ、ディアヨツバー♪」」「にゃー」


「「ハピバースディ、トゥユー♪」」「にゃー」



ニコが暗幕を上げて、片づける。



「誕生日おめでとう、で良かったかしらニコさん?」


「ええ。ヨツバちゃん、誕生日おめでとう」


『おめでとさん』と猫さんが書く。


「おめでとー!」



ネルちゃんも共犯者か!

この子意外と口が固いんだね!


私はテーブルにあるケーキの元へ歩き、椅子に昇り、ロウソクの火を吹き消した。



「さて、と。お菓子を切り分けましょうか」


「これはケーキという洋菓子らしいです、お姉さん」


「へぇ。こんな高そうなお菓子をありがとうございます、ニコさん」



最近砂糖の値段が何故か暴落し、世間ではお菓子作りがブームになりつつある。


とはいえ、このケーキは明らかに現代文明の仕業だ。

計画者は猫さんか。

誕生日を祝う習慣が無いこの異世界で、これは不意打ちすぎる。

ああ、目の前が霞んできた。



「あら、ヨツバったら、目にゴミが入ったのかしら?」



ナンシーさん、ネルちゃん、ニコさん、そして猫さん。

ありがとう。これからもよろしくね。


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