101.自宅がカオス
俺の自宅に、エルフの集団がやって来た。
「アウレネさん! お久しぶりです!」
「確か15年ぶりくらいです~。
手紙は送っていましたが、元気そうですね~」
「シルフ様! 随分と変わられたみたいで!」
「誰が皺くちゃの婆さんじゃ!」
「い、いえ。そのようなことは一言も……ぎゃー!」
うるさい。騒がしい。
「にゃー!(静かにしろー!)」
「わー! 大きくて太い猫だー!」
「やーん、お腹出てるー!」
俺を触ろうとする奴らの手を逃れ、木の上に登る。
そのタイミングで、シルフ婆さんが俺を指差す。
「皆の者、控えよ! あの猫様こそがバステト様じゃ!
我らを導いてくれるありがたいお方じゃ!」
「「「おぉー!」」」
エルフ達が地面に正座し、両手をあげてぺこぺこ俺に礼をする。
「バステト様ー!」
「アウレネが言っていた、新たな魔王の素質を持つお方ー!」
「「「ははーっ!」」」
……何だこのカオスな状況は。
エルフ達のテンションが高すぎておかしい。
「あの生意気な新魔王を倒してくだされー!」
「我らの新たな魔王様ー!」
「肉球魔王様ー!」
誰が魔王様だ。
というか、俺にいつの間にか付いていた【エセ魔王】の称号はお前らの仕業か。
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鑑定結果
【エセ魔王】
説明:魔王を詐称する者に送られる称号。
生きる者の恐怖と絶望、悪夢を力に変える。
本物の魔王に目を付けられても知りませんよ。
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恐怖と絶望、悪夢を力に変える、ってどこの悪者だ。
俺はそんなんじゃねぇ。




