8.探し物は何ですか?
町の散策をした後、森に戻り、昨日と同じ倒れた木の中で寝た。
そして次の日。
今日は人間によく会う。
これで8人目だ。
彼らは何か探すようにきょろきょろしながら森を探索している。
「にゃー(探し物は何ですか?)」
「うぉっ?! ……何だ野良猫か。
驚かせるなよ」
彼らの言っていることは分かるのだが、俺の言っていることは彼らには伝わらないようだ。
俺は棒きれをくわえて地面に文字を書いてみせたが、どうやら伝わらない。
「ははは。上手な絵だな」
俺の書いた文字は絵に見えるらしい。
人間はそんな俺を笑った後、森の奥へ行ってしまった。
彼らは一体何を探しているんだろう?
俺は四次元空間からバジリスクの肉片を取り出し、モグモグ食べながら考えたが、何も思いつかない。
……む、ヒゲに違和感。
俺は顔を洗うようにヒゲの手入れをする。
これは……そのうち雨が降るな。
濡れると風邪をひくから、どこか雨宿り出来る場所を探そう。
俺は町に出かける。
しばらく探索して、丁度良い雨宿りスポットを見つけた。
宿屋をやっているっぽい店の前だ。
頭上にはひさしがあるし、ここなら雨は当らないだろう。
俺はそこで丸くなる。にしても町の空気は汚いな。
具体的には糞便の匂いがする。
分からない人は、中世、糞便でググると幸せになれるぞ。
雨が降れば空気も少しはマシになるだろうか。
……。
……ZZZ。