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8. プレゼント選び

次の日から、通常のメイド業務にもどれたが、1ヵ月後にある誕生パーティーのことをもんもんと考えていた。

昨日馬車で運んでくれた馬にありがとーといいながらえさをやっていると、カールさんが笑顔で話しかけてきた。


「ユエちゃんもここにすっかり慣れてきたねえ」


「馬たちがかわいくて、毎日きちゃいます」


カールさんとは馬たちの世話をしながら、話をするのが習慣になってきた。そうだ、昨日から悩んでいることを相談して見よう。


「カールさんに教えてもらいたいのですが、男の子に誕生日プレゼントをあげるとしたら何が喜ばれますか」


誕生パーティーに参加することになったので、誕生プレゼントを何にするか悩んでいたので聞いてみることにした。


「ぼくが子供のころ、親にねだって馬用のブラシをもらったな~」


やっぱり馬関係のものか、聞く人を間違えた…。


午前の仕事が終わりカティナねえさんと昼食をとりながら、昨日の展示会でヨハン様と会って、誕生パーティーに参加することになったことを話した。


「…というわけで、誕生パーティーに参加することになったのですが、昨日参加した展示会よりもハードルが高い気がします」


「あんたも大変ねぇ、わたしにはできそうもないわ」


そういいながらカティナねえさんはケラケラと笑っていた。

他人事だと思って、くっそう。


「それで相談したいことがあるのですが、誕生日プレゼントを何にするか悩んでいるんです」


「貴族の男の子に渡すプレゼントねぇ… それならクロードさんに相談したほうが良いと思うよ。あの人なら、貴族との交渉事とか色々やってるから」


「なるほど、執事長のクロードさんですか。ありがとうございます」


一通り仕事がおわった後、クロードさんの手が空きそうな時間をねらって相談してみることにした。クロードさんの執務室のドアをノックすると、返事が返ってきたので中にはいった。


「失礼します。クロードさん、相談があるのですが少し時間よろしいでしょうか」


「ええ、いいですよ。どのような相談でしょうか」


「今度ヨハン様の誕生パーティーに参加することになったのですが、そのときに渡すプレゼントについてです」


「誕生パーティーについて聞き及んでいます。プレゼントについてですか… 貴族がわたすプレゼントは自分の力のステータスとして価格や希少性を重要視しています。しかし、ユエさんは貴族ではありませんので、とくにそういった価値については考えなくてもよろしいです」


クロードさんのアドバイスを聞いて、高価なものでなくてもいいのは、ホッとした。


「今回は主催者の方から名指しで招待されたわけですから、ヨハン様は来てくれるだけでも喜ばれるでしょう。プレゼントについても、ユエさんがご自分で考えたものを渡したほうが良いと思います」


そういいながら微笑むクロードさんをみていると、安心してプレゼント選びができる気になってきた。クロードさんに感謝をいって退室した。


よし、それじゃあ、以前にじいちゃんにもらったアレにしようと決めて、1ヵ月後のパーティーに間に合うように材料を集めて作ることにした。


「それでは、出発しますよ」


クロードさんが馬車の手綱をにぎり、馬にムチをあてて出発した。

バルンシュタイン家は王都にあり、2日ほどかけて馬車で移動する予定だ。馬車にはわたしとアレキサンダー様が乗っており、クロードさんが御者をしている。さらに、プレンジア領の衛兵が護衛としてついてくるので道中は安心だ。


「ふふふ、これで公爵家と親密になれば王都とのつながりができる」


アレキサンダー様が、にやけながら独り言をつぶやいていた。

中央とのつながりを作りたかったらしく、今回のことはかなりチャンスだと聞いた。絶対に成功させるためにも、ここまでの一ヶ月メールビットさんによるマナー講習にくわえ、ダンスの練習までみっちりと教え込まれた。

しかし、わたしはヨハン様に挨拶をしたら壁の花を決め込むつもりなので、きっとダンスを踊ることはないだろう。

道中、馬車の窓からの景色をみていたが代わり映えのしない風景が続いていて退屈だった。アレキサンダー様もヒマをもてあましてるようなので、話しかけてみることにした。


「アレキサンダー様のプレゼントはどのようなものにしたのでしょうか?」


「気になるのか、そうかそうか、特別に教えてやろう」


アレキサンダー様はもったいぶりながらもうれしそうに話した。


「いいか、バルンシュタイン家は代々優秀な武官を輩出する家で、現在の総騎士団長もバルンシュタイン家の当主であるグエン閣下が勤めておられるのだ。そこで、オレがヨハン殿に送る品は剣にした。我が領内でも有名な工房でつくられた一品だぞ」


アレキサンダー様はわきにおいてあった包みを取り上げ自慢げに語りだし、これを送ればオレへの印象がうなぎのぼりになるのは間違いないと笑っていた。


「それはそうと、貴様はなにかプレゼントを用意したのか」


「送る品は用意いたしましたが、アレキサンダー様の品には及ばないものです」


「平民である貴様が用意できるものなどたかがしれてるだろうな。あまり変なものを送って不快にさせるぐらいなら渡さないほうがいいかもしれんな」


こいつはいちいち人を見下さんと気が済まないのかと、いらつきながらも黙ってきいていた。



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