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番外話 ある日森の中でケモミミ少女に出会った(前編)

番外話では本編のイメージと離れた話となっています

春のあたたかな陽気がさすなか、部屋の中でパソコンの画面をしまりのない顔で見つめる高校生ぐらいの若い男がいた。


「あー、やっぱり猫っていいな~」


オレはお気に入りの動画投稿サイトのぬこぬこ動画で、ねこ動画をあさっていた。


「動画主あっぷ乙っと」


コメントを打ち込みながら、今日も動画をみてほおが緩むのを抑え切れなかった。


「はぁー、猫飼いたいなあ。でも、かーちゃんがアレルギーだからなぁ…」


うちは一軒家だが、猫が飼えずもんもんとした気分を抱えていた。


「おっし、神社にいくか」


近所にあるさびれた神社にはたくさんの野良猫がすみついていて、学校の帰りなどによく寄っている。


神社につくと、おれの顔を覚えてるのか猫たちがよってきた。


「あー、かわえかったなぁ、ミケにブチに、最近すみついたクロも毛の光沢がたまらんかった」


神社にきて存分にこころゆくまで猫と戯れたあと、夕方になったので家に帰ることにした。


「うわっ、やべ」


雲行きがあやしくなり、急に天気がくずれだしたので、神社のうらの雑木林を抜けていくことにした。

雑木林をぬけると家への近道となるので、神社からの帰りによく利用している道だった。


陽の光が雲でさえぎられて薄暗くなり、雑木林のなかは不気味な雰囲気をだしていた。


(そういえば、ここって妙なうわさがあったな)


雑木林を夕暮れ時に通ると幽霊にあうとか、神隠しにあうとかいわれ、小学生のころ友達といっしょに度胸試しにきたことがあった。


(だけど、あのときはなにもなくて結局こどもをこわがらせるウワサだとわかったな)


雑木林の中ほどをとおり、そろそろ抜けると思ったあたりで景色がいつのまにか変わっていた。


「は……、なにこれ」


あたりはこけむした森で、樹齢百年をこえるような大木が生えていた。

オレはあたりを見回し、元来た道をもどろうと振り向いたが、神社へとつづく道はなくなっていた。


「状況を整理しようか。うん」


落ち着くために大きく息を吸ってはくと、森の中特有の湿っぽくひんやり空気が肺の中に入ってきた。


「おれは神社から出てきて、雑木林の道を通ってきた」


うん、ここまではいいな。


「そしたら、いつのまにか見知らぬ森の中にいた」


うん、おかしいよね。


夢でも見てるのかとおもって、ほおをつねったが普通に痛かった。


「というか、夕方だったのに昼間みたいだし、あたりの木も葉が散ってるから秋か冬ぐらいにみえるな」


時間帯どころか季節まで変わっていた。


「なんなんだよ、意味わかんねえ…」


近くに倒れていた木に腰掛けて、頭を抱えた。

そのとき、なにかが枯葉を踏む足音が聞こえたので目を向けると


「グルルルゥ」


そこには犬とよぶには凶暴な面構えの獣がいた。


「お、オオカミ!?」


昔、博物館でみたオオカミに似た獣がいた。ニホンオオカミって絶滅したはずだよな。


(に、逃げなきゃ)


オレは腰を上げて、ゆっくり後ずさろうとした。


「うわっ」


木の根に足をとられて、しりもちをついてしまった。


「ガァァァァッ!!」


「ヒィッッッ」


飛び掛ってくるオオカミに、オレは悲鳴をあげながら見ていることしかできなかった。


「キャインッ」


横から飛んできたこぶし大の石がオオカミの頭にぶつかり、オオカミは横に吹っ飛んだ。

倒れて起き上がろうとするオオカミに次々に石が飛んできて、オオカミが逃げていった。


「助かったのか…」


オレは、恐怖感からくる体の疲れを感じながらも、石を投げて助けてくれたひとを見た。

そこには、小学生ぐらいの小柄な女の子がいた。女の子はどこかつらそうな様子でたっていて、こちらの無事を確認したのか立ち去ろうとした。


「ま、待ってくれ」


引きとめようと声をかけると、女の子は警戒するように身構えた。


「~~~~~」


何かを言っているようだが、違う言語のようでわからなかった。


だが、こんなところで他の人間で出会えるかわからないので、ここで一人にされるわけにはいかなかった。

なによりも、おれにはこの子を見て絶対に引きとめる理由があった。


その子の頭は透き通るような白の髪が生え、そして、頭には猫のような耳が生えていた。

そう、リアルネコミミ少女だったのだ!! 漫画やイラストでみては妄想していた存在が目の前にいる。


ここで、秘密兵器をつかうことにした。

神社にいる猫たちにあげるために用意していたニボシをとりだした。

ニボシに興味をもったのか、じっとみていた。


(よし、いいぞ第一段階クリアだ)


野良猫とお近づきになるために、習得した技術を発揮するときがきたようだ。

なるべく目をあわせないように、腰を低くしてゆっくり近づいた。


手がとどくぐらいの距離になったら、もっていたニボシを目の前で、自分の口にいれてうまそうにモッチャモッチャと咀嚼した。

それを見て、少女は物ほしそうな顔をした。


(第二段階クリアだ)


オレは2つ目のニボシをポケットからとりだし差し出した。

迷うようにニボシとオレの顔を交互に見た後、ニボシを受け取って食べ始めた。


(おっしゃ、これで警戒心はとけたはずだ)


ニボシを食べている少女をあらためて観察すると、海外の部族が狩りのときに着るような、全体的に茶色い服でまず日本ではみることがないものだった。


(なによりも、ネコミミが生えてる人間がいる時点でここは地球じゃない可能性もでてきたな)


「~~~~~~」


食べ終わった少女がこちらを見てなにかを言ってきた。

うーん、学校の英語の成績はいつも赤点すれすれだったんだよな。こうなったら、ボディランゲージでのりきってやる。


「助けてくれてありがとう」


オレは、さっきのオオカミに襲われた場所を指さして、石をなげるジェスチャーを繰り返した。


「~~~~~~」


どうやら通じたようで、少女は笑顔で首をぶんぶんと振っていた。どういたしましてってところだろうか。


「オレは山岡誠一」


自分の顔を指差しながら、ゆっくりと発音した。


「ヤモウカセーイチ?」


「そうそう、せいいちだよ、せいいち」


少女はセーイチと繰り返しつぶやいていた。


「~~~~ユエ」


今度は、自分を指さして何かをいってきて、かろうじてユエというのだけ聞き取れたので、聞き返すとどうやらあっていたようだ。


それから、オレは最大限困っているという動作を繰り返すと、ユエに手を引っ張られて歩いていった。


「おお、こりゃすごいな」


ついた先には巨木があり、根元にうろができていた。どうやら、うろの中をユエは寝床にしているみたいだ。

うろのなかにはいったユエに手招きされてオレも中にはいると、地面には枯葉が敷き詰めてありふかふかで居心地がよかった。


ユエは具合が悪そうですぐに横になった。オレも横になり、うろのなかは狭くユエと密着する形で寝た。


異世界転移ものが書きたくなって、つい・・・

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