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5. はじめての仕事

翌朝、いつもの習慣で朝焼けの光で目が覚めた。カティナねえさんはまだ寝ているようなので、音をたてないようにメイド服にきがえて、庭の方に行くことにした。

裏庭にでてぶらついていると、馬小屋で働くカールさんが見えたので挨拶をした。


「おはようございます、もしお邪魔じゃなければ横で見させてもらっても良いですか」


「おはよう、ずいぶんと早起きなんだね」


カールさんは水で満たされた水桶を馬の前に運び、えさの準備をしていた。ニコニコしながら馬たちの名前を一頭一頭呼んでいて、本当に馬が好きなように見えた。

見ているだけでは物足りなかったので手伝いを申し出てみることにした。


「あの、わたしも手伝ってもいいですか」


「ありがとう、それじゃあその桶に入ったえさを馬たちの前にもっていってくれる」


牧草や燕麦などを混ぜたえさが入った桶を馬たちのまえに持っていくと食べ始めたので、その様子を見ていると


「よかった~、その子は昨日から元気がなかったみたいであまり食べなかったけど、今日はよく食べてくれてる」


馬たちはぺろりと桶の中身をたべると、水をごくごく飲んでいた。


「そろそろ時間なので、屋敷のほうにもどりますね。お邪魔しました」


「いやいや、ユエちゃんのおかげで馬たちも元気になったみたいだよ。ありがとね」


夜明けがおわり朝の時間帯にはいり、そろそろカティナねえさんも起きてるだろう。


部屋にもどるとカティナねえさんが起きたところのようで着替えていて、カティナねえさんはあくびをしながら

「おはよう~。ずいぶんと早いのね」


「おはようございます。いつもの習慣でおきちゃいました」


カティナねえさんは着替え終わるとおおきく伸びをしてから、それじゃあ仕事はじめようか~と気だるげにいってきた。


メイドの仕事は、まずは玄関周りを掃除し、アレキサンダー様やお客様から目に付きにくいように部屋や廊下などの掃除を始めると説明された。

カティナねえさんについていき仕事を教わりながら、部屋の掃除をし、ベッドのシーツの交換を済ませて、屋敷の裏にある水場で洗濯をして干していった。

全部干しおわってはためくシーツをみていると、シーツをほしている物干し竿の柱が突然倒れた。


せっかく、洗濯おわったのにと落ち込んでいると


「なんだ、きちんとと洗えていないではないか、まったく愚図だな」


倒れた柱のそばにアレキサンダー様が立っていて、ニヤニヤとこちらを見ていた。おまえがやったんだろと思いながらも


「申し訳ありません、もう一度やりなおします」


洗濯をやりなおしてから干してたらお昼ごはんを食べ逃してしまった。

午後からは屋敷内の掃除にとりかかり、カティナねえさんと手分けして廊下の掃除や窓磨きをしていた。集中しながらやっていると、バシャッという水がこぼれた音がして、水の入ったバケツが倒れていた。


「おい、こんなところにバケツをおくんじゃない、危なくこけるところだったぞ」


倒れたバケツを指差しながらアレキサンダー様が立っていた。カティナねえさんにいわれバケツを置く場所は廊下の端に置いていた。


「も う し わ け あ り ま せ ん」


怒りがこみ上げてくるのを感じながら、我慢して謝った。

わたしの姿をみてニヤニヤしながら、アレキサンダー様は離れていった。


「ちょっと、ひどくないですか、わざとですよねあれ」


カティナねえさんと夕食をとりながら今日あったことを話した。


「あー、そうだね。わたしもやられたことがあるよ、仕事がふえるから参っちゃうね」


カティナねえさんは苦笑しながら答えた。

待遇の割りに屋敷に使用人の数が少ない理由がわかった……


「あんまり、気にしてると余計にアレキサンダー様は喜ぶから、なるべく平静を装ったほうが良いよ。わたしも最初はむかっときたけど、特に表情にださないようにしたら何もしてこないようになったよ」


平常心、平常心とカティナねえさんにいわれたが

気がおさまらなかった。かといって、反撃するわけにもいかないしな。


「そうだ!!要するにイタズラを防げばいいだけですよね」


「え、なに、変なことはしないでよね」


大丈夫、変なことはしませんとカティナねえさんに胸をはりながらいった。


翌朝もおきてから馬小屋のほうにいき馬にえさをやりながら、今日のことを考えて闘志を燃やしていると、馬たちがこちらを見て励ましてくれたようにみえた。


昨日と同じように玄関の掃除をすませ、洗濯をしていると、においと足音から忍び足でアレキサンダー様が近づいてくるのがわかった。

洗濯をしながらそちらに注意をむけていると、柱が倒れそうになったのですぐに支えに行った。

柱が倒れるのを防ぐと、そこには驚いた顔をしたアレキサンダー様がたっていた。


「お怪我はありませんか」


「だ、だいじょうぶだ。まったく、気をつけろよ」


声をかけると、動揺した様子ですぐに離れていった。ふふん、気をつけてますよ、あなたの行動に。


洗濯も終わって、今日はちゃんと昼食もたべることができた。さて、午後からは屋敷内の掃除だな。


昨日と同じようにに屋敷内の窓磨きをしていてバケツから離れると、忍び足で近づいてくる足音が聞こえた。振り向くと、アレキサンダー様が足をあげて蹴飛ばそうとしていたので、バケツを持ち上げてよけた。

「アレキサンダー様、いかがいたしましたか」


空振りした姿勢で固まったままのアレキサンダー様に笑顔できくと、アレキサンダー様は顔を赤くしながら足早に離れていった。


「やりましたよ!!カティナねえさん、いやーみせたかったな~」


夕飯をカティナねえさんととりながら今日のことを話した。


「あんたけっこう負けず嫌いだったんだね…まあ、おかげで仕事がはやく終わって助かったよ」


今日は余計な時間をとられなかったので1日の仕事が早く終わり、カティナねえさんの庭仕事も捗ったそうだ。

さあ、この調子で明日もがんばろうと思った。

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