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28. 縁談の結果

イスにすわったまま目を閉じ頭を傾けたユエを、エリザベスが見下ろしていた。


「完全に寝たようね」


ユエのほっぺたをつついて反応がないことを確かめた。

ユエの体を抱き上げるとベッドに移動させた。


「ほんとに軽いわね」


ベッドに横たえたユエをみながら髪をなでると、その触感におもわず頬がゆるんできた。


「ああ、細い毛がやわらかくてそれでいて滑らかなね。ずっとなでていたくなる」


ユエを始めてみたのは昨年の珍品展示会だった。

他の貴族とのつながりや、なにかの参考になるものはないかと参加して、そのときにアレキサンダー様の傍にいるユエをみつけた。

真っ白なドレスをきて透き通るような白い髪をした小さな女の子をみた瞬間に心を奪われた。


もともと、今回の縁談もユエを手に入れるために組んだものだった。


「やっぱり、これは邪魔よね」


宿で一緒に寝たときは見ることができなかったけど、今なら見れる。

つばを飲み込みながら焦るきもちで、メイドキャップをそっとはずした。


「え… なに、これ…」


ユエの頭についているものをみて、目を見開きどうすればいいかわからなくなった。


「ん…」


ユエが顔をしかめて身じろぎをしだした。

あわてて、メイドキャップをかぶせて元にもどした。


      ○●○●○●○●


くらくらする頭に手をあてながら身を起こすと、わたしはベッドの上にいた。


「おはよう、ユエ。具合はだいじょうぶ?」


ベッドの脇でわたしを見つめるエリザベス様がいた。


「も、申し訳ありません。急に眠くなってしまって」


わたしは飛び起きると、頭を下げて謝った。


「いいのよ、疲れているみたいだから今日はもう下がりなさい」


謝りながら部屋から退出した。


「ユエちゃん、どうしたのなんだか落ち込んでるわね」


夕食の席でボルトさんが心配するように声をかけてくれた。


「はぁー、それがですね。エリザベス様の部屋で急に眠くなってしまって気づいたらベッドの上にねかされていたんですよ」


「大丈夫だった。変なことされなかった?」


ボルトさんは心配しているが、なにかいってることが変だ。

「変なこと?」


「ああ、いや、なにもなかったならいいのよ」


わたしが聞き返すと、慌てたようにボルトさんが取り消した。


「エリザベス様、本日はなにをいたしましょうか」


「あ~と、うん、今日はとくにないから控えててちょうだい」


次の日、エリザベス様の居室にいったのだが、歯切れの悪い返事が返ってきた。


今日でフェアウッド家にいるのも最後となるので、屋敷の掃除をすることにした。ピカピカに磨いてやると意気込みながら掃除をしていった。


お茶の時間となり、エリザベス様の居室はいりお茶の支度をしていた。

さっきから、エリザベス様はチラとこちらを見て口を開きかけたところでやめるのを繰り返してる。


気になるからいいたいことがあるならいってほしい、

やりたいことがあったら突っ走っていくエリザベス様らしくなかった。


「よし、今日は天気がいいので外でお茶にしましょう」


バスケットにお茶セットを入れ、敷物を持ってエリザベス様と外に歩いて出かけた。


屋敷の窓から見えた見晴らしのいい、丘の上にきた。

敷物を地面に広げ、お茶の用意をしてからエリザベス様の横に座った。

空は良く晴れていて、だいぶ日も暖かくなってきて気持ちのいい日だった。


お茶をのみながらポツリとエリザベス様がつぶやいた。


「ユエが屋敷にいるのも今日で最後ね」


「短い間でしたが、お世話になりました。エリザベス様のお力になれたのなら幸いです」


「あのね、ユエ… よかったら、わたしの専属メイドになってくれないかしら」


エリザベス様は真剣な顔をしながら、わたしの目をみていた。


「…申し訳ありません。エリザベス様の傍にいられるのは身に余る光栄ですが、プレンジアの屋敷や街でまだやり残したことがあります」


モニカたちや、アレキサンダー様のことが頭に浮かんで、申し出を受け入れることは出来なかった。


「そう、残念ね」


エリザベス様は静かに返事をして、目をつむった。

その後、のんびりと過ごしてから屋敷に戻った。


次の日の朝、わたしは屋敷の方々や羊毛刈りのときに話したソルさんたちに挨拶をしてから、プレンジア領行きの乗り合い馬車に乗って帰った。



夜になりウェアウッド家の屋敷の厨房の角にあるテーブルでボルトとエリザベスが酒を飲んでいた。


「ユエちゃんいっちゃいましたね。よんだらすぐに来そうで不思議な感じですよ」


ボルトが顔に似合わない高い声で話していると


「はぁー、ユエ~。もう一回でいいからあの髪に触りたかった~」


エリザベスがテーブルにひじをつきながら酒をあおっていた。


「その癖なんとかならないの… 気に入った動物や人間の毛並みを無理矢理触ろうとするのはおやめなさい」


「だってだって、あんなにすばらしい毛をみたら触りたくなるものじゃないの」


エリザベスは酒に酔ってるのか、言動が幼くなっていた。

ボルトは顔をふって、やれやれといいながらあきれていた。


「それとね、ユエと一緒にいた気づいたことがあるの。いままで多くの人に手助けしてもらってやってきたけど、でも同じ目的にむかっていく一緒に考えてくれる人が隣にいると安心できるなってね」


エリザベスは照れくさそうにしながら話していた。


「それなら、はやく頼りになるいいひとを見つけなさいな」


「そうね、そう考えると結婚ってのもいいものだと思うわ」


よし、決めた結婚するわとエリザベス様は手を叩いてニっと笑った。

あの子にいつか訪れるだろうその時から守ってあげないとねと、だれとはなしにつぶやいた。


フェアウッド家から帰ってきた数日後、アレキサンダー様から呼び出された。

やっぱり、他にいいご縁がみつかりますようお祈りしていますっていう返事がフェアウッド家から来たのかな。


「申し訳ありません。わたしの力足らずで…」


「なにをいっているんだ、フェアウッド家から縁談を進めたいと返事がきたぞ」


意外な展開に驚きながらも、アレキサンダー様が喜んでいるのをみておめでとうございますといっておいた。


エリザベス様とアレキサンダー様の結婚した姿を想像したら、案外あの二人相性いいかもと思った。

エリザベス様がアレキサンダー様をぐいぐい引っ張っていく姿が想像でき、そんなお二人に仕える生活ができたら楽しそうだと思い口がほころんだ。

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