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19. スラムでの共同生活

朝日がさしこみ目がさめると、すごく息苦しかった。丸くなって寝ていたのだが、背中にモニカがだきつき他の子もわたしにくっついていた。


どうしようかと思っていると、すみのほうで寝ていたパロマが起き上がったのにつられてほかの子もおきてきた。


「おい、モニカ起きろよ」


「ふああ、おはよう」


ヤンがなかなか起きないモニカを揺さぶり、モニカが眠たそうに目をこすりながら起き上がり、ようやくわたしも起きることができた。


朝から子供たちは元気がよく、身支度をしている間もちょこまかと動き回っていた。


「おばあちゃん、いってきまーす」


「ああ、いっといで」


タニアおばあちゃんに挨拶をして、みんなでぞろぞろ家をでた。


「いまから、どこにいくの?」


「ハンターギルドにいって仕事をもらってくるんだよ。チビたちは庭の草むしりとか街でできる仕事をして、ぼくたちは街の外で薬草の採集や獲物を狩りをするんだよ」


わたしがきくと、パロマが説明してくれた。

ハンターギルドか、じいちゃんが入ってたらしいけど行ったことないな。


手紙を宿の女将さんに預けた後、1週間後にもう一度いったがじいちゃんはもう村に帰ったといわれて会えなかったからなぁ… いまごろどうしてるかな。


ハンターギルドに到着すると、朝早いためかあまり人がいなかった。


「おはようございます」


「おはよう、今日も早いわね。他のハンターも見習ってほしいわね」


モニカが受付の職員のおねえさんに挨拶をしていた。

ハンターの生活は不規則で週に2,3回くればいいほうらしい。


「あら、見ない子がいるわね」


「新しくはいった子なので、登録おねがいします」


「そう…、それじゃあ登録用紙に記入をするから、質問にこたえてちょだい」


わたしに気づいた受付嬢さんは、憐れんだような目つきをしたあと笑顔になって登録の手続きを進めた。


「なまえは、ユエちゃんね。これで登録はできました。まずは見習いハンターから始まって銀貨50枚を毎年ギルドに納められるようになったら、正式なハンターとなるから、がんばってね」


説明がおわり、わたしの名前と街の名前が彫られた鎖つきの小さな銅版を手渡された。

これが見習いハンター証で、街の出入りするときの身分証にもなるらしい。

見習いハンターだとうけられる仕事は制限されて、簡単で実入りがすくないものがかりになる。

身分証は一般ハンターだと銀板になり、商人や街の住人なども同じものとなる。貴族や、そこに仕えるものは金板になり名前のほかに家紋が彫られている。


「じゃあ、またな」


「たくさんとってきてねー」


モニカと小さい子供たちは商家の庭の草むしりをしにいき、わたしたちは街の外に広がる森の入口まできた。


「おっし、薬草をとりながら、手ごろな獲物をさがすぞ。おれたちは狩った獲物をはこぶから、おまえは薬草をもっててくれ」


傷の手当などでよく使われる薬草を、背負っているかごいっぱいまでとると銅貨3枚もらえるそうだ。


「ねえ、あっちのほうに薬草あるよ」


「なんでそんなことわかるんだよ」


「いいじゃないか、あっちのほうはまだ探したことなしいし」


この薬草は独特のにおいがするので、においのある方向目指して森の中にはいっていくと薬草をみつけた。


「ほんとにあった…」


「すごいなユエ、なんでわかったんだ」


においでわかったというと、二人は薬草のにおいをかぐと

「わかったか?」「いや全然」

と納得いってないようだった。


それからも薬草を取りながら森の中をあるいていると茂みのほうから音がした。


3人で顔を見合わせ、茂みの奥をのぞいた。


みてみるとウサギが草を食べているところだった。

ヤンがナイフを取り出しながら小声で指示をだした。


「おし、あいつやるぞ。パロマは逆側からこっちに追い込んでくれ」


「わたしはなにをすればいい?」


「おまえはそこでじっとしてろ」


パロマが慎重にウサギの背後側に回りこみ、ヤンと目配せをすると一気に飛び込んだ。おどろいたウサギはヤンのいる辺りに走ってきて、待ち構えていたヤンがナイフをつきたてようとしたが外れてそのまま逃げていった。


「くっそー、うまくいかなかった。前はこれでとれたのによ」


ヤンは悔しそうに地面をけっていた。


「つぎみつけたら、わたしもやってもいいかな」


「おまえどんくさそうだし、やめとけ」


「3人でやったほうが前みたいにできるし、いいんじゃないかな」


文句をいってくるヤンにパロマがとりなしてくれて、次はわたしも参加することになった。


さきほど逃げたウサギのにおいをたどっていくと、茂みの中に隠れているのを見つけた。


「よくわかるな、おまえ犬じゃねえのか」


「なにいってんのよ、ほらやるわよ」


今度はわたしが追い込み役をやって、2人が待ち構えている。

わたしは手ごろな石をひろい、スナップを利かせてウサギの頭めがけて投げた。

ゴツッと音がしてウサギは昏倒したので、すばやく近づいて首を折ってとどめを差した。

つかまえたよーといいながらウサギをもっていくと、二人は呆然としていた。


「なんだよ、いまのどうやったんだよ」


「石をぶつけたのか、でもあの距離で正確に頭にあてるなんて…」


ヤンがつめよってきて、パロマは独り言をつぶやいていた。


「だれでもできるようになるよ、ハンターやってたじいちゃんに教えてもらったんだ」


「ハンターに教えてもらえたのかよ、いいなぁ」


「そういえば、2人は大人のハンターと交じってやらないの?」


2人にきくと、とても嫌そうな顔をしていた。


「見習いハンターを始めたころ、一般ハンターに頼み込んでパーティーに入れてもらったんだけどよ、あいつら荷物持ちだけさせて結局報酬は全部もっていきやがった」


「どこにいってもそんな感じでね、子供だとおもってなめられたんだろうね」

そうとう嫌な経験だったらしく、それからは子供だけでやるようになったらしい。


「それでも、三人で採集や狩りをしてればそれなりにかせげてたよ」


「あれ?モニカも一緒にやってたの」


「前はマーロンって子がいたんだけどね。1週間前に突然いなくなったんだ」


二人は寂しそうな顔をしていた。


「え、えと、薬草もいっぱいになったし、そろそろ戻ろうよ」


わたしは雰囲気を変えようと明るい声でいった。


「そうだな、そろそろもどろうか」


「どこかに川とかないかな、戻る前にウサギを解体しちゃおう」


「おまえ解体もできるのか、それならこっちにこい」


川に案内されて、水で洗いながら内臓をぬきとり皮をはがした。

その間、ヤンとパロマはじっと解体中の手つきをみていた。


ギルドに寄って今日の収穫を受付嬢さんにわたした。


「あら、今日は多目ね。それに毛皮の状態もいいし高めに買い取りするわね」


報酬は銀貨1枚分となり、いつもより多くヤンとパロマは驚いていた。

帰り道に二人が真剣な目つきをしながら頼んできた。


「頼む!!おれたちにも解体の仕方おしえてくれないか。そうすれば毛皮を売って肉をもって帰れる」


「いいよ、でも血まみれになるのとか平気なの?」


「うぐ…、我慢する」


解体してるとき、パロマは平気そうだったがヤンは嫌そうな顔をしていた。


家に帰ると子供たちとモニカは戻ってきていた。


「おかえりなさい、どうだった?」


「みろ、ウサギがとれたぞ。それと今日の収入は銀貨1枚だ」


「すごいじゃないの、これで今日の晩御飯は豪勢になるわね」


「おにく、おにくー」


ヤンが得意げな顔をしながら肉とお金をモニカに手渡した。

周りの子供たちがよだれをたらしながら肉をみていた。


「なんだい、今日はなにかの記念日かい」


「へっへーん、今日はウサギとってきたぜ」


タニアばあちゃんがスープにはいった肉をみてきいてきたので、ヤンが得意げな顔をして答えていた。


「毎日野菜くずばかりじゃ干上がっちまうからね、たまには肉がほしいもんさね」


肉がはいってるだけでだいぶ味がかわってて美味しかった。


夕食の片付けをしたあと寝床にもぐると、モニカが定位置とばかりに背中に張り付いてきた。


「あのーモニカさんや、なんでいつもそこにくっつくんだい」


「だって、ユエはあったかいしいいにおいがするんだよね。なんていうか、お日様の中にいるみたいで気持ち良いんだよ」


モニカがそういいながら後ろから抱きつき、ほかの子もくっついてきた。

みんなにくっつかれて熱くて寝苦しかった。

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