003 加護
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ラクビトは女神から2つの加護を貰ってこの世界に落ちる。
まずは【異世界の言語理解】。
これは有りがちだが、とてもありがたい。
言葉が通じるって素晴らしい!
二つ目は【職の加護】。
これは人それぞれ。
不思議なことにこの世界に来るラクビトは「大人のみ」であること。これが大前提。
職と言ってはいるが、
【職の加護】=こちらの世界には無い知識
職人、研究者、料理人、医師などにより新技術、新食材、新メニュー、治療法など今までにない知識がもたらされる。
地球に限らず幾世の異世界から数年から数十年に一度、大なり小なりこの世界に新しい風を吹き込んでいるらしい。
そりゃ大事にされるわ。
とにかく、職の加護があるからこそラクビトは発見され次第、国から衣食住の保証がされるそうだ。
うん、ここまではわかった。わかったけど。
「はい、質問です。」
「どうぞ。」
「私子供ですし仕事したことないですし、これといった知識もありません。それでも【職の加護】ってあるのでしょうか」
「!! やぱり子供だったのね。小さいとは思ったのよ。12歳くらい?」
「…16歳です」
「じゅうなな?!随分体の小さい世界なのね」
さっきのボケツッコミおじさんは二人とも190センチはあったし、アレグラさんも175センチはありそうだ。そうなると私のような155センチは小さいかも。
「ここでは15歳から成人で仕事しているわよ。早いと10歳くらいから。カノコちゃんの世界では17歳は子供なの?」
「はい。世界というか私の国では20歳です」
常識の違い発覚。
「うーん。仕事してないラクビトは聞いたこと無いからなんとも…。国の法務部に問い合わせてみるわ。それにカノコちゃん自身も整理つかないわよね。とりあえず今日は規定通りギルドの部屋で休んで」
「ありがとうございます。あの、ノンちゃんもいいですか。躾はしてあるので汚したりしませんから」
「ええ大丈夫よ。世界を渡ってきた猫も初めてかもね」
「ニャー!」
よろしく!とでも言うようにビシッとお座りし直して高く鳴いた。
なんだかアレグラさんがノンちゃんを撫でながらジーッと見ている。なんだろう?
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2015/01/04 訂正。
2015/01/25 年齢変更。
2015/05/05 訂正。