告白
──あなたの事が嫌いです。
あなたとわたしが出遭って、もう一年にもなるでしょうか。
そうです。出遭ったのです。
あなたは私にとって災難でしかなくて、文字通りの遭難です。
だから当然ですけれど、私はあなたが嫌いです。
あなたの事が大嫌いです。
あなたの事が、本当に、大嫌いなのです。
誰にでも差し伸べる、その手が嫌いです。
誰へも優しいあなたは、きっと誰にも優しくないのです。
誰だってあなたの特別には成りえないのです。
誰よりも速い、その足が嫌いです。
誰かの為には一番に駆け出すくせに、自分の為には決して立ち止まらないから。
誰ひとりとてあなたの助けにはなれません。
誰とでも親しむ、その闊達さが嫌いです。
誰に怯えた事も、心を守る殻を必要とした事もないのでしょう。
誰の心にも容易に忍び込んでかき乱して、なのにあなたはそれを当然としか思わないのです。
不意ばかりを突く、その口が嫌いです。
無責任に私の欲しい言葉を見つけないでください。
遠くばかりを見る、その目が嫌いです。
もっと近くも見てください。気がついてください。
ちゃんと、伝わりましたか?
わたしはこんなにも、あなたの事が嫌いです。
本当に。本当にどうしようもないくらいに。
あなたの事が、嫌いです。
──返事を、どうか聞かせてください。