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天然令嬢が不審者に絡まれる話

作者: 毬藻
掲載日:2026/05/07

リハビリ的作品!色々ご都合主義です!ご容赦を!

「クリティア様!どうか、プラスティ様を自由にしてあげて下さい!」

雲ひとつない青空に春のあたたかな風がそよぐ、正にお茶会日和な昼下がり。

学園のカフェテリアに場違いな大きな声が響いた。


公爵令嬢であるクリティアは場違いな声を発した人物に目を向け、その内容を考えるもどうにも理解できない。いや、言っている意味はわかるのだかその内容が理解ができない。

件のプラスティ様とは間違いなくクリティアの婚約者であるが、"自由にさせてあげる"とは、何を指すのか。

(困りましたわね。全く理解ができないわ。というか、この令嬢はどこのどなたなのかしら。それに、何故公爵家である私達を名前で呼んで、私に話しかけているのかしら。)

クリティアやプラスティは公爵家であり、王族を除き学園内では一番爵位が高い。貴族のマナーとして爵位が下の者が上の者に話しかけるのは御法度である。

「…………」

「…………」

無言で見つめ合う2人。

(…とりあえず、様子を見ましょう。)

クリティアは気を取り直してティータイムを再開した。

普通に関わりたくないし、何より今日の日替わりデザートはクリティアの大好物の学園名物チーズケーキなのだ。落ち着いてゆっくりと味わいたい。


(屋敷でも食べたいのだけれど、これだけはうちのお抱えシェフでも再現できないのよね。)


クリティアはチーズケーキをスプーンで掬いとり口に運んだ。

(…美味しい。レモンの酸味とチーズの深い味わいが混ざり合って正に神のお菓子だわ)


「なっ!爵位が下な私とは話出来ないということですか!?なんてひどい!!」


ケーキを堪能し始めたクリティアにまたしても大声を張り上げた。


わかっているじないか。とクリティアは思ったが何も言わない。貴族特有のポーカーフェイスを浮かべ再びケーキに没頭する。


(あぁ。紅茶が合うわ。紅茶のほのかな苦味がより一層ケーキの味わいを輝かせる。)


「いい加減にして下さい!プラスティ様は悲しんでいるんです!!愛がない結婚などしたくないと心の中では思っています!!」


プラスティの心の中をどうやって知ったのかは気になるところではあるがそろそろ口を閉じだ方がいいとクリティアは思った。


ここは高位の者のみが利用できるカフェテリア。

下位の者も気兼ねなくお茶を楽しめるようにと学園の配慮で別になっているのだ。

彼女がどの爵位かは知る由もないが、少なくともクリティアが知る伯爵以上の貴族には当てはまらない。故に不法侵入じゃないかとクリティアはにらんでいる。

それに、ティータイムを楽しんでいるのはクリティアだけではない。空気に似つかわしくない彼女の言動に非難の目が向いているのを気づいてないのであろうか。


「プラスティ様が可哀想!!!」

…なんだかより一層1人で盛り上がり始めた。

まるで舞台に上がる役者の如く目振り手振りで

何かを表現している。


(これは…私が納めるべきなのかしら。え、何故急にまわりだすの???)


純粋に怖い。

盛り上がりが頂点に達したのか、二回転ぐらいして床に倒れ込んだ。その間も訳のわからない事を叫んでいる。


(どこか患っていらっしゃる??)

あまりな行動に逆に心配になってきた。


クリティアは一旦心を落ち着かせ。満を持して

話しかけようとしたその時。

「ティア!!!」

「!!ラス?」

渦中のプラスティがクリスティアを彼女から引き離した。どうやら、エスカレートしていく彼女の奇行にカフェテリアにいた誰かがプラスティを呼びに行ったらしい。

「不審者がティアに絡んでると聞いて心配できた。」

「ありがとうラス。本当に困っていたのだけど、患っているみたいなので心配になってたところなの。」

「…ティアが優しいのはいつもの事だけど危ない奴には関わっちゃだめだ。何かあったらどうするの?」

「ごめんなさい。」

最もなお叱りに、クリスティアは思わずシュンとしてしまう。その姿はまるで、怒られた猫のよう。

「…っ!かわいい…」

「ラス?」

「プラスティ様!!やっと会えた!」


2人のイチャイチャな雰囲気をぶち壊すかのように例の彼女はまた大声をあげた。


「…誰だ貴様は」

「!?」

クリティアは驚いた。2人はまさかの初対面だったのである。

では、あの役者の如く振り乱して叫んでいた言葉はなんだったのか。


「始めまして!プラスティ様!あなたのマリーです!!!極悪なクリティア様からあなたを救いに来ました!!」

「貴様など知らない。どこの家の者だ?なぜ、許可もなく我々の名を呼んでいる?しかもなんだ?私のクリスティアが極悪だと??」

「ラス…!」

不審者な彼女はともかく、プラスティの発言がたまらなく嬉しいクリスティア。思わず、プラスティの服の袖をキュッと掴んだ。

「ティア、もう少し待っていて。すぐどうにかするから。衛兵!何をしている。その頭のおかしい女を捕らろ。高位貴族への不敬罪だ。」

「「「はっ!!」」」

学園を警備している衛兵達が彼女を一斉に捕らえ引きずっていく。

「何するの!?プラスティ様助けて!!あなたのマリーよ!やっと会えたのよ!?」


「あの方、大丈夫かしら。」

プラスティへの想いを叫びながら段々と遠ざかっていく彼女をみてクリティアはなんだか不憫に感じた。プラスティは確かに優しくて素敵で、恋い焦がれるあまりおかしくなる気持ちは充分に理解できるのだ。

「…ティアは相変わらずだね。あんな訳のわからない奴に関わってはだめだよ?私がどれだけ心配したか。」

苦笑いしつつも愛しの婚約者をしっかり抱きしめて離さないプラスティ。

「ふふ。改めてありがとうラス。ねぇ、ここのチーズケーキは最高なの。ラスにも食べて欲しいわ」

そう言ってニコニコしながらやさしく頬を撫でるとプラスティは返事の代わりにさらに強くクリスティアを抱きしめた。

「ティアにはかなわないなぁ」


後に例の彼女について聞くと、捕らえられてもなお「プラスティ様と私は運命なの!」「あの女が邪魔して会うことすら出来なかったのよ!!」

「この世界の主役は私よ!!」などと叫んでいたようだが、そもそも、彼女とは初対面だし、学年が離れかつ特急クラスのプラスティとクリスティアとは校舎が離れており会うことは不可能。ますます訳のわからない発言により、学園生活は不可能と判断され退学処分となったとの事だった。その後、子爵家だった彼女は家からも出され修道院へとおくられたようだ。


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