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「彼女は死にました。」私はあなたの子を産みません。  作者: Kurakura


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レイナの目覚め


バシンッ

「…次はちゃんと頑張ります……」

(…誰が呟いてるのかしら…)


バシンッ

「…完璧に出来なくて申し訳ありません……」

(…誰が謝ってるのかしら…)


バシンッ

「…申し訳ありません…申し訳ありません……」

(………どうして謝らなきゃ行けないのかしら?…)


バシンッ

(…痛い…)

「……………」


バシンッ

「…痛い…」


自分の意思が声に出た


「王族になる者が、痛みに泣き喚いてはいけません。」


バシンッ

「!?」

(今のが()()()()()()?呟いただけよ?)

「……………………………」


「…ハァ……今日はここまでにしましょう。」


そう言って私の両掌に冷えたティーポットを置く女性。


「私は採点をしますから、その間休暇していて下さい。決して動かない様に。」


「………………………はい。」


そう言って少し離れた机に向かう女性は、薄い化粧に焦茶の髪を一つに結い纏め上げている。

首まである襟のレンガ色のデイドレスは、過度に貞淑さを示している様に見える。


(彼女…リセンス・ブレーニー侯爵夫人…よね…)


言われた通り動かず目だけで部屋を見回す。


(…妃教育……今日は何曜日だったかしら?…

……私はクレア・ドケーシス…よね?……ちゃんと記憶があるもの……でも何かしら…今までの私が…何かが違う……)

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

カタカタカタカタ……

「………?」

クレアの視線の横を景色が流れて行く…


(……!!!何?!…馬車の中?!…)


バッと両掌を見ると、微かに…薄っっっすらと赤みがある様な気がする。


「どう言う事?……」


ガタンと揺れて馬車が停まる。

「到着しました、お嬢様。」

御者がそう告げ、侍従が馬車の扉を開けた。

クレアは戸惑う事もなく侍従の差し出した手に捕まって馬車を降りる。


(…体が自然に動く…身に付いた動きだからかしら?……皆んな知ってる顔…屋敷(自宅)に帰ってきた?…)


「お嬢様、お帰りなさいませ。」

カバンを預かる様に手を差し伸べて来るのは一番信頼する侍女のアニタ。

その顔を見て無意識にクレアは安堵した。


「ただいまアニタ………今日は……何曜日だったかしら?」


「?…水曜です。……お嬢様、お疲れですか?」


「……うん。少しね。」

連れ立って部屋まで進む


「お夕食まで、少し仮眠を取られますか?」


「そうするわ…制服のまま寝転んだら…駄目かしら?」


アニタは笑って答える

「構いませんよ。」


アニタが去ってから、ベットに横になる

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

クレアは学園の廊下に立っている。

(!………また……)


くすくすくすくす…

「どんなに成績が良くてお綺麗でも、相性が良くなければね」

「ウィリアム様はとてもお優しいから、婚約者って事だけで大切にして下さるのよ。羨ましいわぁ」


数人の生徒がクレアを嘲っている…


クレアは首だけ声の方に向けて、噂話をしている生徒達を無表情で見つめる。


「「「!?」」」

何も言わずにジッと見続ける。


「「………ぁ…ぇっ……」」

「……ぃ…行きましょぅ……」


今までに無かったクレアの反応に、噂話をしていた生徒はバツが悪くなったのか、そそくさと散っていく


(ふん。)


退散する生徒達を見ながらクレアは思う

(小者ね。)

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

クレアはドアの前に立っている

(………王城の…この扉は…妃教育を行う部屋…)


扉の向こうの廊下から声がする

「邪魔よ!通れないわ!」

「「申し訳ありません!!」」


クレアはそっと扉を開けて隙間から様子を伺う。


廊下の少し先に去っていくブレーニー夫人が見えた、注意された侍女達が廊下の端に寄って頭を下げている。


(ブレーニー夫人……掌が痛いって事は、授業が終わったところね…)


ブレーニー夫人が去った事を確認してから、侍女達がコソコソと話し始めた。


「ヤダヤダ…ブレーニー侯爵夫人って、本当に怖い!」

「頭の良い人って()()()()()になっちゃうのかしらねぇ」

「そんな事ないわよ!他の教師の方々は、接しやすいもの!」

「じゃぁ、あれよ。八つ当たりよ。ブレーニー侯爵って()()()()()んだって!夫人は放ったらかしで、愛人宅に入り浸ってるって話よ!」

「それ本当?!」

「本当本当。愛人と連れ立ってるブレーニー侯爵を見た人が何人もいるんだから!」


 クレアは静かに扉を閉めてジッと掌を見る

(ふ〜ん…つまりこれ(お仕置き)八つ当たり(憂さ晴らし)って訳ね…)

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

(自分の部屋…鏡の前…)


クレアはナイトドレスに身を包み自室のドレッサーの前に座っていた。


(ハァ…相変わらず、記憶が飛ぶわね…時間の長さはまちまちだし……記憶の無い(部分)(クレア)は気付いてるのかしら……)


 ふと視線を下げるとドレッサーの引き出しが少し開いている。

なんとなしに開けてみる。


(そう言えば…)

 クレアは子供の頃から使っているこのドレッサーの引き出しが、二重底だった事を思い出した。


(子供用の簡単な仕掛けなのよね♪)

そう思いながら二重底を開けると、ペンとノートが何冊か入っていた。


「?」

一冊手に取り開いてみる


[私はダメな子…私はダメな子…私はダメな子…私はダメな子… 私はダメな子…私はダメな子…私はダメな子…私はダメな子… 私はダメな子…私はダメな子…私はダメな子…私はダメな子… 私はダメな子…私はダメな子…私はダメな子…私はダメな子…]


ページ一面に書き殴ってある…


「………何これ……」


[完璧に出来なくてごめんなさい… 完璧に出来なくてごめんなさい… 完璧に出来なくてごめんなさい… 完璧に出来なくてごめんなさい… 完璧に出来なくてごめんなさい… 完璧に出来なくてごめんなさい… 完璧に出来なくてごめんなさい…]


 どのページにも自分を卑下する言葉や謝罪が書き殴られてる。


 他のノートも見てみると

[ウィリアムさまにふさわしくない…]

[わたしはウィリアムさまににあわない]


やっぱり一面に書き殴ってあり、少し子供っぽい字に感じた。

 クレアは鞄から授業のノートを出して自分(クレア)クレア(自分)の字と見比べてみた。


(……違う…明らかに字体が違う…………もう一人…居る…)


(………ノートの数から、この子は私よりずっと前から()()のね……なる程、ブレーニー夫人のお仕置きを()()()()()くれてたのね……でも、本人(クレア)が納得行かなくて…(稔侍)が現れたんだわ……)


クレアはノートを撫でてため息を吐く、そしてペンを取って、一番新しいノートの新しいページに何かを書き始めた


[初めまして、クレアの中にいる人。私もクレアの中に居るのよ。]


そこまで書いてクレアは考える


(ん〜〜〜…挨拶するなら名前が必要ね………うん♪。)


[私の名前はレイナ(王妃)。あなたのお名前は?]


そう書いてノートを閉じる

(レイナ)の内に書き終わってよかったわ。)


 レイナは引き出しの二重底にノートを仕舞った。


◇◇◇


その様な現象が度々起こる様になって数週間、記憶が飛んでいるので体感は三〜四日。

 自分の意思で出られないのでタイミングが合うのを待つしか無い。


◇◇◇


ーーーーーーーーーー

(自室!)


珍しく、朝起きたタイミングで()()()だった。


 ベッドから飛び起きたレイナはドレッサーの引き出しを開けてノートを取り出す。


[わたし、シェイム()]


新しいページの真ん中にそれだけが書いてあった。



ブレーニー侯爵夫人の授業は週2回 月・木です。

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