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「彼女は死にました。」私はあなたの子を産みません。  作者: Kurakura


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慟哭

文法破壊な文章をめげずに読んで下さる読者様ありがとうございます( ;∀;)

ブクマ・評価・リアクション下さりありがとうございます。

励みの糧にしております。

誤字報告様の活躍で文がまともに修正され感謝です(^人^)

感想ありがとうございます。ですが返信に手間取ってしまうので(汗)

返信できない方向で(>人<;)


王妃宮から本城に戻ったウィリアムはそのまま王の執務室に向かった


執務室の中に居たのは国王陛下とリッター医師、ヘクターは帰城したようでハーミット公爵は残っていた。


リッター医師はソファに、陛下と公爵は各々の執務椅子に座っていた。


ウィリアムは陛下の執務机の前に立ち、王妃宮でのレイナとの会話と()()()と言う人格が現れた事を話した。


突然ソファに座っていたリッター医師が立ち上がり


「王妃宮に行ってきます!レイナ様とアニタに話を聞かなければ…」

そう言って、慌てて執務室を出て行く



扉が閉まるのを確認してからウィリアムは再び口を開き

「明日、僕からドケーシス公爵夫妻に()()()()()を話すと、レイナと約束しました。夫妻への伝達を陛下にお願いしたく存じ上げます」


そう言って深く頭を下げた。



****************



ヘクターは自邸にある修練場で木剣を振っている


(なんで!…なんで!…なんで!…なんで!…)


燻り続ける怒りを吐き出す様に振り続けて一時間程たった。汗だくになるほど振っても、まだ怒りが収まらない。

一人きりの修練場にブンブンと空気を切る音が鳴る



『クレアが見てる前で…リール・シリッカと口付けを交わしました…』


ウィリアムの口から出たクレアへの所業


(クソッ!…なんで!…そんな!…事を!…クソッ!…クソッ!…クソッ!…)


 自死を思うまで追い詰めた()()を見た時のクレアの気持ちを考えるとギリギリと奥歯が軋む



「ヘクター。休憩しろとは言わないが…せめて水分を取れ」


いつの間にか修練場で様子を見ていたハーミット公爵に声をかけられる

近づいてくる公爵は手にタオルと水筒を持っていた。


「……………」


ヘクターは上がった息で何も答えず素振りを止める

公爵にタオルと水筒を渡され、押し黙ったままタオルで汗を拭い煽る様に水を飲んだ。


「……お前にウィリアム殿下の側近任命の内定が出た」


ヘクターの飲み下す動きが止まる

普段は感情を表情に出さないヘクターが、この時は隠せず苦々しく眉間に皺を寄せていた。


「…………承知しました」


その様子に困った様に小さくため息を吐いてから公爵は話を続ける


「今後、殿下も令嬢達と同じく自宅学習に切り替える。お前には生徒会長代理として次期会長・副会長を選任・引き継ぎ作業を任せる。その作業が済み次第お前も自宅学習に切り替え、王城内にも居宅を設ける事になる」


「……はい」

ヘクターは汗を拭いながら少しずつ冷静さを取り戻して行く


公爵の話は続く

「10日以内に仮の後宮の準備が整う。そこに側妃候補の三人が入宮し次第、次の事が発表される。

殿下とクレアの婚約の件について…表向き国内外には、クレアは()()に遭いその影響で身体虚弱になったため王太子妃になるのは難しい。だが殿下の切望によりクレアとの婚姻は断行と公表される。公務の補助的立場に第二妃、血筋を繋ぐ為に側妃を娶ると言う部分に変更は無い」


ヘクターの様子を窺いつつ公爵は話を続ける。


「有力貴族には、殿下の不埒な行いに心を痛めたクレアは自死未遂。()()()()で身体虚弱に。

それを理由にクレアは婚約解消を申し出るが殿下の切望によりクレアの『白い結婚』と言う条件を呑んだ上で卒業後の婚姻を敢行。第二妃と側妃については同じ理由だ。こちらを事実として周知させる」


一度言葉を切って、公爵は強い眼差しをヘクターに向けた。


()()学園側には。クレアは中傷・嘲笑に追い詰められての自死未遂と知らされる」


ヘクターは驚きに目を見開き公爵を見る。


「それにより学園内に王家から調査が入り、王太子の婚約者に悪感情を向けた者を捜索する事になった… それ(悪感情)が何者かの指示に依るものか調べる」


(……それは俺が子供の頃に調べて分からなかった事…公的な手が入れば何か見つかるかもしれない…)


「それは俺も関わって構いませんか?」

ヘクターは攻撃的な瞳で公爵に問いかけた。


その問いに公爵は落ち着いた声音でこたえる

「構わない、元よりその予定だ。そしてウィリアム殿下にも加わってもらう」


まだ冷静を取り戻しきれないヘクターの奥歯が軋む


「………分かりました」




****************


〜翌日〜


国王陛下からウィリアムの所業を聞いた王妃は

ウィリアムの王妃宮への立ち入りを禁止した。

その為王城についたドケーシス公爵夫妻は、王妃宮ではなく本城の赤の応接室の続き部屋に案内されていた。



その場に居るのは、レイナとドケーシス公爵夫妻

国王陛下とリッター医師とセイン医師。王妃は現れず、『終わったらドケーシス公爵夫妻は王妃宮を尋ねる様に』と託けている。


三人がけのソファが向かい合わせに置かれ、その間には一人掛けソファが向かい合わせに置かれている。

本来ローテーブルを囲む様に長方形に置かれたソファの中央にテーブルは無い

ドケーシス公爵がウィリアムに殴り掛かっても良い様に、陛下の指示で撤去されていた。


三人掛けソファに座る様案内されたドケーシス公爵夫妻。

その向かいのソファにはウィリアムが座っている。


一人掛けソファの片方には国王陛下、その向かいにレイナが座る。

レイナの後ろにはアニタとキャロルが控えている

リッター医師とセイン医師は少し離れたソファ席に待機していた。


夫妻が着席して少しの沈黙の後、ウィリアムが立ち上がり夫妻に向かって深々と頭を下げた。


「あの日。……クレアが自死を決めた日……学園の中庭でクレアが見ていると知りながら……リール・シリッカと口付けをしました。申し訳ありません!僕の愚行がクレアを自死に追い詰めました!」


それを聞いた夫妻は体を小刻みに震わせている

夫人の両手は口元を押さえ、目からは涙が溢れ出した。公爵は膝の上に置いた拳を力の限り握りしめて震えている


フルーク(公爵)…許可する。殴って良い」

陛下が低い声で公爵にそう言うと


公爵は下げたままのウィリアムの頭を苦悶の表情で見つめながら

「いいえ……私は(私には殿下を殴る資格が無い)」


驚いたウィリアムが微かに頭を上げると、夫人が立ち上がりウィリアムに向かって行った。


夫人はウィリアムの上体を起こさせ、両手を強く握りウィリアムの胸を叩いた。何度も何度も


「……どうして!…どうしてそんな酷い事を!…あんまりです殿下!……うぅ」


夫人は泣きながら何度も叩くが小柄な女性の力は弱く、高身長でしっかりとした体躯のウィリアムには然して痛くは無い。

だが心は、心臓を木槌で直接打たれたように痛かった。自分の愚かさがクレアだけで無くクレアの家族も苦しめていると…遅すぎる後悔がギリギリとウィリアムを締め付ける。


「……申し訳ありません…」


ウィリアムは自分の胸に顔を俯けひたすら叩き続ける夫人の頭上に謝罪の言葉を捧げる

(受け入れて貰えなくても僕には謝罪しか出来る事がない…)


公爵が立ち上がり夫人の手を掴んで止めると、夫人は声を上げながら公爵に泣き縋った。


「フルーク、お前は本当に殴らなくて良いのか?」


陛下が再度確認すると、公爵はウィリアムの顔をジッと見る。

昨日は無かった頬の酷い赤みに、陛下が叩いたのだろうと容易に推測出来た。


公爵はそれを少しだけ羨ましく思う…自分の至らなさは誰にも責められず後悔がジクジクと胸の中を這っているからだった。


「……はい。私はウィリアム殿下だけを責める事ができません」

そう答えて夫人をソファに座らせようと体を引いた時


レイナが叫び声を上げた


「離して!!」


その場に居る全員の視線がレイナに集まる。


見やるとキャロルがレイナをソファの後ろから羽交締めにしていた。


レイナがフュリアスに入れ代わり、ウィリアムに向かって行こうと立ち上がったのを

咄嗟にキャロルが止めたのだった。


ウィリアムは驚きに目を見開きレイナ(フュリアス)を見る

ウィリアムにはレイナが誰に入れ代わったか思考が追い付かない。


「ウィリアム様なんて!大っ嫌い!!」

激しい怒りを込めてフュリアスは言い放つ


依然ウィリアムに向かって行こうとするフュリアスを止めるキャロルをアニタも手伝う。


「フュリアス!落ち着け」

夫人に離れる様言ってから、公爵はフュリアスの前に回って抑える


「ウィリアム様のせいよ!ウィリアム様のせいで私ばっかり酷い事言われて!!!大っ嫌い!大っ嫌い!大っ嫌い!」

フュリアスは公爵越しにウィリアムに向かって叫ぶ。


ウィリアムはクレアの姿(フュリアス)から放たれる罵倒の言葉に顔面が蒼白になる。


(……フュリアス(怒り)……クレアが怒れなかったから生まれた…)


「全部ウィリアム様が悪いのに!どうして私ばっかり!!」


叫ぶフュリアスを押さえている全員に陛下が落ち着いた声で命じた。


「離してやれ」


信じられない命令に誰も力を緩める事ができず、公爵が問い返す

「ですが陛下!そんな事したら…」


「良い…離してやれ。怪我を負わない様注意して。好きにさせてやれ」

陛下は命令を覆さない

そうして誰もがほんの少し力を緩めた瞬間。全員の手を振り解いてフュリアスはウィリアムに向かって行った


バチンッ!

「!つっ…」

昨日両陛下に叩かれた頬を再び叩かれ、痛みの上乗せにウィリアムは声が漏れた


そしてフュリアスは夫人と同じ様にウィリアムの胸を両拳でドンドンと叩く


ウィリアムは余りの強さに顔が歪み少しよろめく


「馬鹿!ウィリアム様の馬鹿馬鹿馬鹿!!どうして私が酷い事言われなきゃいけないの?!どうして私ばっかり!!ウィリアム様がいけないのに!!!」


叫びながらウィリアムの胸をドンドンと叩き続ける

フュリアスの瞳から涙まで溢れ始めた。


「馬鹿!馬鹿!…なんでよ…うぅ…私は!私はただ…ウィリアム様が大好きなだけだったのに!!!!ウィリアム様なんて大っ嫌い!うわああぁあぁ〜!!!嫌い!嫌い!嫌い!」


泣き叫びながら叩き続けるフュリアスをウィリアムは抱きしめた。


『大好きなだけだったのに』その気持ちだけで(大好きだから)頑張ってきた。その気持ちだけで(大好きだから)理不尽にも耐えてきた。

そうしてそれが決壊して生まれたフュリアスの慟哭にウィリアムは叫んだ


「ごめん!!!」


ビリビリと部屋に響く音量での謝罪

驚いたのか…フュリアスの動きがピタリと止まった。


ウィリアムは瞳に涙を滲ませ言葉を続ける


「ごめん!僕が悪かった!僕のせいで()()辛い思いをした!本当にごめん!」



フュリアスは我に返り再び暴れ様とする


「いや!嫌い!大っ嫌い!!!嫌い嫌い嫌い!ううーっ!ぐすっ…うぅ〜」

ぎゅっと抱きしめられて腕は動かせず叩く事が出来なくなっても、フュリアスは泣きながら叫ぶ様に繰り返す。


「うん。嫌いで良いよ。ごめんね…本当にごめん!」



 『せいぜい謝り続ける事だね』

()()()に言われた言葉が木霊する


(……あぁ…本当だ…僕にはそれしか出来ない)



「嫌い!…………………ぐすっ…ふうぅ〜…うええぇ〜」

暴れる力が弱まったかと思ったら、フュリアスが()()()()になった


「……え?!」

様子の変化にウィリアムは驚きの声を溢し、抱き締める力を緩めてフュリアスから少し体を離した。


目の前には喉を押さえてシクシクと泣くフュリアス()


「……のど痛ぃ〜…ぐすっ…うぅう〜〜」

レアに代わっていた…今は喉の痛みで涙を流している。


「………レア?」

名前を呼ばれてレアは目の前のウィリアムを見上げてジッと見る


「…………や!…ウィリアム様きらぃ」

レアは頬を膨らませプイッとそっぽを向いてしまった


レアの出現でその場に居た全員が立ち上がり、侍女たちもバタバタと動き出す。


レアに初めて会う陛下も立ち上がっていた。


「レア!」

夫人が叫んでレアの元に飛んでくる。それに気付いたレアはウィリアムの胸から離れて夫人に手を延ばす。


「おか…様〜…のど…ぃたい〜」


公爵もレアに近づきあやす様に一度撫でてから、夫人とレアをソファに座る様促す。


公爵は陛下に一礼してからウィリアムに向き直る。


「……ウィリアム殿下。打ち明けて頂き感謝します。殿下のなさり様は許せませんが…クレアがどうして……その決断をしたのか…原因が分かった事で少し胸の詰まりが取れた気がします」


ドケーシス公爵はそう言っているが、ウィリアムに目を合わせない。


「本当に申し訳ない」

目を合わせてもらえる日が来るとも思えないウィリアムは

ひたすら深く頭を下げた。


その下げた頭をゴツンと誰かに殴られた。

「?!」

陛下だった。


余りの衝撃に膝を曲げ突っ伏し、まるで公爵に向かって土下座する様な形になる。


痛みで目がチカチカして頭がクラクラしているウィリアムの頭上で陛下の声がする


「この度は愚息が申し訳なかった。どんな謝罪の言葉を並べても許される事では無いが……レイナの願いとは言え、クレアをこんな愚息に預ける事を了承してくれて感謝する。私からも謝罪する。申し訳なかった」


国王陛下は公爵に深々と頭を下げる。


公爵は畏れ多いと退ける事なく。陛下の誠意を同じ様に頭を下げて受け取った。




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― 新着の感想 ―
せっかく形式上はなんとか話がまとまって 体制も作られていきそうだけど、 5人の花嫁自体は教団の願望通りなのかな? しかし側妃を教団が仕込めてないから3人の誰かに近寄って来そう、一番危ういのは変な侍女付…
前話を読んでいると「そんな簡単な話じゃなみたいだよ!皆気をつけて!」と焦った気持ちになります。
やった事は話しても、やった「動機」については聞かれてないから話さないのが実に卑怯だなウィリアム 謝るなら隠してる事全部曝け出してからだろうに 最愛の人を自死にまで追い込んだのが、嫉妬して欲しかったなん…
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