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「彼女は死にました。」私はあなたの子を産みません。  作者: Kurakura


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婚約証書

お話しが始まって早々に、長い長い長〜い過去話を経て。とうとう正時間軸に辿り着きました。ここからはガンガン(多分)進んで行く٩( ᐛ )و

たまに誰かの過去話挟みますがd( ̄  ̄)

ここまでお付き合いして下さった読者様。ありがとうございます(*^▽^*)

今後もお付き合い頂ければ泣くほど嬉しいです( ;∀;)


誤字脱字報告とても助かります感謝です。

感想下さる読者さまありがとうございます

返信出来ずで申し訳ない(>人<;)ありがたく読ませて頂いてます。



モグモグモグモグ…

(…レアになってたのかしら?…レアよね?…口いっぱいに入れ過ぎ…)


レアから入れ代わったレイナは口の中の茶菓子と格闘していた。

ソファの後ろにはアニタとキャロルが立ち、両隣にはドケーシス公爵夫妻が座っている。


レイナが咀嚼しながらキョロキョロと両者に目配せすると、ドケーシス夫妻が気付いた。


「……レイナか?」

「あら!大変!…ほら。こっちの紅茶は冷めてるから」


夫人から受け取った紅茶を一口含むと、口の中の菓子が呑み込みやすくなった

目の前のテーブルには色とりどりのマカロンが置いてある


「すまない…味の違うマカロンを一緒に食べたらどうなるだろうと言って、あっという間に口に放り込んでしまって…止められなかった」

公爵が申し訳なさそうに言う


「…ングッ…ふう…色んな味がする……いくつ食べたんですか?」

レイナは何とか口いっぱいの菓子を飲み込んでから尋ねる


「三つ…」


(レア〜〜〜〜)

レイナは心の中で呆れながら、残りの紅茶を飲み干した。


レアはたまに予想出来ない事をする。幼児ではありがちな行動も、大人の姿でするから周りの人間は止めるのを戸惑って間に合わない。


「ウィリアム様はどうされました?」

一息ついてからレイナは疑問を口にする


「私からクレアの障害について話したよ。詳しくでは無いが…何人かの人格が存在してると言う事と、その原因が幼少期のストレスによる物と言う事。それから…………金曜の夕刻に……起こった事(自死未遂)…」

公爵はグッと堪える様な表情になる。夫人も眉間に皺を寄せ表情に悲しみが滲む。


「その後は私がレアに呼ばれてしまったから、ウィリアム殿下には陛下が詳しい事情を把握されてますと説明して退室してもらった」


「そうですか…レアになってからどれくらい経ちました?」


「一時間位だな」


「それではもう婚約証書への署名式は終わってしまったかしら…」


コンコンコン

応接室側の扉がノックされた。





赤の応接室にて


『レイナに何か聞けたか?…公爵からも話があったか?』

陛下にそう問われ、ウィリアムは続き部屋で聞いた事を簡潔に話す


「クレアは死んだ。自分はレイナだと名乗ったところで、レアと言う幼な子に変わりました。ドケーシス夫妻が来てからは公爵が説明を続けてくれました。クレアは解離性同一障害(多重人格)を患っていて、彼女の中には複数の人格が居ると…クレアは………………金曜の夕方…自ら命を断とうとして」


ウィリアムはそれ以上言葉を続けられず苦悶の表情を浮かべて俯き押し黙った

続き部屋への扉を背にしたまま立ち尽くす。


そんなウィリアムを陛下はしばらく見つめた後、少し溜息を溢して

「………後で私の執務室に来い。クレアの障害についての書類を見せる」


そう言われウィリアムの頭の中に陛下に言われた言葉が甦る


『此処に居る人間は全員、全ての事情を把握している』


(……どこまで?……彼女(レイナ)は『あれが』と言っていた…ここに居る全員がリールとの口付けの事を知っている?)


リールの様子を確認しようと目線が向きそうになったが、すんでのところで堪える。


(駄目だ…リールを見ちゃいけない……もしかしたら…口付けの相手は()()知られていない可能性もある。ここで僕がリールに目線を向ければ、彼女と何かがあったんだと気付かれる……もしも知られていないならリールだけでも責められない様に……受け入れた僕が悪いのだから………あぁ…でも…問われたら嘘をつく訳には…)


考え込むウィリアムに陛下が声を掛ける。

「ウィリアム…前に来い」

名前を呼ばれてウィリアムはパッと顔を上げる。


「これよりエタンセル・フラムとウィリアム・オクトスの婚約の誓約を交わす」


陛下が告げると、その言葉で侍従達が署名台の準備を始めた。



(…第二妃を迎える為の婚約…決定事項だ。……既に根回しがされている。僕が抗わないよう内密に…反論する材料を与えないように…)


ウィリアムはグッと拳を握り上席側に向かう、エタンセルも立ち上がり同じ様に上席の方に向かう。

次いでフラム侯爵が立ち上がりエタンセルの後に続く。



美しい彫刻がされた署名台に、婚約証書が置かれている。

署名台を挟む様にウィリアムとエタンセルが立つと、国王陛下も立ち上がってウィリアムの側に立つ。エタンセルの側にはフラム侯爵が立っている。


ウィリアムは向かい合ったエタンセルの眼差しにたじろぐ。

エタンセルの顔は無表情なのに、瞳だけは怒りを孕んでいる。


(エタンセル嬢…()()()を慕っている令嬢…)



ウィリアムはクレアと婚約したばかりの頃、クレアに向けて中傷嘲笑を向ける貴族やその令嬢子息を注意(制裁)してきた。

その段階で自分と同じ様にエタンセルもクレアを中傷嘲笑する者達を注意(制裁)しているのを知っていた。


彼女(エタンセル)は僕が憎くて仕方ないだろうな…)



婚約証書にウィリアムが署名すると羽ペンをエタンセルに手渡す。受け取ったエタンセルが署名。

次いで国王陛下とフラム侯爵が証人の欄に署名した。



「本日はこれにて解散とする。フラム侯爵家と側妃候補達の家門には後宮の用意が出来次第連絡が行く。それまで自邸で待機する様に。外出を禁ずる事は無いが、こちらが用意した護衛(監視)が帯同する事を承知しておく事。……以上だ。側妃候補の令嬢は退室して良い」


陛下が告げると侍従達が側妃候補の三名を、白の応接室で待つ付き添い人の元へ案内する為に退室させた。

一言も発する事なく座っていただけなのに、疲労困憊の様子の三人。特にリールは立ち上がるのにも少しふらついていた。


王妃とエタンセルは側妃候補の三人が赤の応接室にいる間の様子をよく見ていた。


酷く青褪めて瞳がウロウロと落ち着かず、何処を見ているか分からない様子のリール。

王族を前にするのに相応しく背筋を伸ばし顎を引いて視線を固定していたが、やはり顔色は悪かったトリステス。

トリステス同様に顔色は悪くとも姿勢を正していたティア。


しかしティアだけは幾度もウィリアムに視線を向けていた。


王妃とエタンセルの中で

(側妃候補達の中にクレアの自死未遂に関わる人物がいたとしたら、ティアである可能性が高い)

と認識される要因になった。


側妃候補の三人が退室すると、陛下がフラム侯爵に声を掛ける

「フラム侯爵…入室時には碌に話す余裕も無く済まなかったな。大事な娘を掻っ攫う様な事になってしまったが、此度の対応感謝する」


「滅相もございません。娘の意向でもありますからお気になさらず」

侯爵は人好きのする笑顔でそう返した。

その言葉に陛下は安堵の表情を浮かべる。


「後日ゆっくり話す時間を取らせて欲しい。本日はご苦労だった」



陛下とフラム侯爵が会話する一方で、王妃はフラム侯爵夫人に駆け寄り声を掛ける。


「慌ただしくしてごめんなさいね。少しも余裕が無くて…申し訳ないわ」


「そんな!お気になさらず」

フラム侯爵夫人は王妃の疲弊した様子を心配していた。


「余裕が出来たらお招きするから。その時ゆっくり話しましょうね」


「はい。楽しみにしております」

フラム侯爵と似た様な人好きのする笑顔を夫人も返した。




両陛下とフラム侯爵夫妻が会話する間

エタンセルはウィリアムに向ける視線をいよいよ険しくさせていた。


「ちゃんとお話しするのは初めてですね」


「……そうだね」


「もっと以前にヘクター様に機会を作って貰えば良かったと後悔しておりますわ」


「………す「何に対して仰ろうとしているのか知りませんが、私にその()()は必要有りません」


ウィリアムの謝罪の言葉はピシャリと拒絶された。


「……………」

ウィリアムは発する言葉が見つからない。


「…………いずれ第二妃として支えさせて頂きますが。信頼を育てるのには時間をかけましょうね」


そう言ったエタンセルの表情は笑顔ではなく

眉間に皺を寄せ怒気を露わにして、無理矢理笑顔を作ろうとした様に口端が少し上がった物だった。



「……エ…エタンセル…私達は失礼しよう」

エタンセルの様子にフラム侯爵は恐る恐る声を掛ける。


「………はい。お父様……それではウィリアム殿下。失礼致します」

エタンセルは表情を無に戻して、ウィリアムに対して恭しく礼をしてから踵を返す。


「それでは私共は失礼致します」

そう言ってフラム侯爵一家が退室した。

赤の応接室に残ったのはウィリアムと両陛下とヘクター。


パタンと扉が閉まったと同時に、王妃がウィリアムに向かって駆け出した。



バチンッ

「だから『クレアを失う事になる』って言ったでしょう!!!」


応接室に王妃の悲痛な叫び声が響く…

ウィリアムは左頬を王妃に叩かれた。


王妃()に叩かれた事が無かったウィリアムは目を見開く。


叩かれ右を向いた顔を戻して、呆然と目の前に居る王妃を見ればボロボロと大粒の涙を溢している。


「………………」

ウィリアムは王妃と言う立場に居る母が号泣するのを初めて見た


「もっと早く叩いておけば良かった!」

バチンッ

王妃はもう一度右手を振り上げてウィリアムの頬を打つ。


今度は左手を振り上げた王妃を陛下が背後から両手を掴み止める。


「ヘルミナ…もういいから…」

呆然と右を向いたままになったウィリアムから王妃を引き離す。ウィリアムの左頬は真っ赤になっていく…


「〜〜〜〜うぅっ……」

振り返った王妃は陛下の胸に突っ伏し、声を殺して泣いている

「ぅ………うっ…う……ぅ…」

陛下は優しく抱きしめて慰める様に頭を撫でる。


そんな父と母を見て…ウィリアムはなんとか声を絞り出した。


「…………申し訳ありません」


ウィリアムは自分が起こした事の結果を思い知る。


茫然自失とした様子の息子(ウィリアム)に向けて鼻で溜息を逃し

王妃は今日はもう限界だと判断した陛下は

「ヘクター。ウィリアムを連れて私の執務室に行きなさい。ブレイブ…君の父が待っているから」


「!…はい!」


一連の流れを驚きで身動きできずに見ていたヘクターは、陛下の声で我に返って返事をした。


「ヘルミナ…手を冷やして…今日はもう休もう」

そう言って陛下は咽び泣く王妃を抱き上げ扉に向かう。侍従が両扉を大きく開けると、部屋を出る間際に

「ドケーシス公爵夫妻とレイナに王妃宮に戻る様伝えてくれ」


「畏まりました」



王族の婚姻について教団は介入出来ない決まりになっています。150年程前に他国の姫を娶るのを教団がしつこく反対した為、王家の婚姻は国政に深く関わる物だから教団は口出し無用と法律を定められました。


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― 新着の感想 ―
もう影響とか考えずウィリアムの所業全部晒し上げて、クレアの名誉回復してほしくなる
エタンセルに謝ろうとしたウィリアムは正に「どの面下げて」状態だったな 庇うという名目でリールとの事を隠そうとしたり、甘ったれの皇太子殿下はこの期に及んでまだ許されたい気持ちが見え隠れしている 王妃様だ…
王様は息子を殴らなくていいのか? 殴ればいいのに。
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