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「彼女は死にました。」私はあなたの子を産みません。  作者: Kurakura


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53/56

踊る悦び…踊る悦び以外の悦び…

文法破壊な部分が多々あります。めげずに読んで下さる皆様ありがとうございます( ;∀;)

ブクマ・評価・リアクション励みの糧にしております

誤字報告様の活躍で文がまともに修正され感謝です(^人^)

感想ありがとうございます。

ですが返信に手間取ってしまうので(汗)

返信できない方向で(>人<;)


最近…パーティーで踊るのが嫌…

皆の目線が気になるから



(でもダンスは好きでしょう?)



私とウィリアム様が踊るのを見て、皆ヒソヒソと話してる…きっと私の事を話してる


(ウィリアム様を見て踊ってれば気にならないわ)


私の事を話して笑ってる


(音楽だけ聴けばいいのよ)


笑顔で踊るのが難しい

(踊るのに集中すれば自然と笑える。ダンス好きだもの)


難しい…笑顔で踊るのが難しい…

(大丈夫。ほらウィリアム様を見ればいい)


笑顔で踊れない…踊れない………

(大丈夫。大丈夫。…ウィリアム様の手を握って…くるりと回転して…円に広がる紫のドレスが綺麗……見上げればシャンデリアがキラキラしてる…

今日の音楽は軽快で…ウィリアム様が軽やかに私をリードしてくれる。

楽しい…ウィリアム様と踊るのが好き。

習った通りに指先まで意識して…足元は見ない…ウィリアム様だけを見て…



(…楽しい)



音楽が終わった


「今の曲は軽やかで楽しかったね」

ウィリアムがクレアに笑顔で言う


「はい。とっても楽しかった」


ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー


音楽が流れ始めた


「クレア」


呼ばれて振り向いたクレアの目線の先に、手を差し出すウィリアムがいる

吸い込まれる様に手を取ると自然とホールドを組む

少しゆらりと揺れてからウィリアムのリードがクレアを運ぶ

黄緑のドレスがフワリと広がった


(楽しい…)


ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー


柔らかい曲調の音楽が流れる…

ウィリアムの胸の赤いハンカチーフがクレアの目に止まる

くるりと回ったクレアのドレスは、白から裾に向かって赤いグラデーションになっている。

色を合わせたお互いの装いにクレアの顔が綻ぶ


ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー


(ワルツが流れてる…)

ガツッ

「あっ!ごめんなさい」


(逆の足を出しちゃった…)


「大丈夫だよ。もう一度最初っからやろうか」

「はい」


ウィリアムの左手がクレアの右手を少し高く上げ、背中に右手を添える


クレアは左手をウィリアムの右肩に添えて…足元を見た


「僕を見て。クレア」

クレアはウィリアムの声に顔を上げる、ウィリアムはニコッと笑い

クレアの背中に添えた右手をグッと引き寄せると足元が見えなくなった


スッと左に顔を向けたウィリアムに合わせてクレアも左に顔を背ける。

それが合図かのように音楽が流れた


少し大きく一歩進んで来るウィリアムに合わせて、クレアも大きく一歩下がった

スカートの裾が微かに床を撫でる


「…1・2・3、1・2・3、1・2・3、1・2・3…」

(ウィリアム様がカウントしてくれてる…)


二人は上下に波打つ様にホールを進んでいく

さっきクレアの間違った箇所を過ぎて、ウィリアムのカウントが聞こえなくなった…


(ウィリアム様…優しい…)


ウィリアムを軸にする様に背中を反らせたクレアが回る

クレアの長い黒髪が後を追うように流れる


(楽しい 楽しい 楽しい)


ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー


(あっ…ぶつかる)

ウィリアムはクンッと背伸びする様に進む力を上に逃して回避した、そして空間が開きそうな方向にクレアをリードする。

(……すごい)


クレアは目の前にある斜め横顔のウィリアムをじっと見て

「ふふ…」

声が漏れるほどの笑顔を綻ばせた


「?…どうかした?」

ウィリアムが尋ねると


「ウィリアム様のリードは安心して踊れます」

そう答えると、ウィリアムは頬を染めて微笑んだ


ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー

王城の舞踏室、練習に使われるホールに優しい旋律のワルツが流れる…

音楽に合わせて柔らかく波打つ様に踊る二人


ふとクレアの目に壁際のテーブルが映った

(本が置いてある…)


蘇るのは、幼いクレアとウィリアムが王城の図書室の床に本を散らばせて座って読んでいる姿。


(あの頃はよく二人で図書室に入り浸ってたっけ……本…読みたいな…)


ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー


「クレア、次の曲も踊る?」

「はい」

クレアは嬉しくて弾んだ息で元気に返事をした。


ホールドを組み直してウィリアムを見るクレア


(………あれ?…ウィリアム様って…いつの間にこんなに背が高くなったんだろう?)


そんな疑問も音楽が流れるとスッと霧散した。


ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー


舞踏室に窓からオレンジの光が差す…クレアはその光を踊りながら見ている


(夕方……)


クレアの頭に馬の駆けるイメージが広がった

『……………遠乗り……良いなぁ…』


(遠乗り…………やってみたいなぁ…)



ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー


《ウィリアム様なんて大っ嫌い》


(?……こんな気持ちは()()()()…)


クレア()が目を開けると、見た事があるような無いような部屋の雰囲気に困惑する。


(赤の応接室?)


「あら?ここは王城ですか?」

クレア()は思わず疑問を声に出してしまった


「レイナ?」

右隣からそう尋ねてきたのは父であるドケーシス公爵。


(……レイナ!?)


「お父様!お久しぶりです。レイナって何ですか?」


 コテンと首を傾げて聞き返すと左隣から誰かに両肩を掴まれた

「クレア!?」


(びっくりしたぁ…)


「お母様。お母様もお久しぶりですね」

クレア()が笑顔で返すと、夫人は突然涙を溢して強く抱きしめた。


「クレア!あぁ…クレア…」


「お母様?…どうしたの?大丈夫?」

クレア()は夫人の背中を摩って困惑しながら尋ねたが、夫人の耳には届いてないようだ


陛下がリッター医師に問いかける

「これが解離性同一障害か?……こんなに突然入れ替わるのか?」


 その場に国王陛下がいる事に気付いたクレア()

「えっ?!陛下?!……王妃様も!ご挨拶申し上げます!…お母様離して…ご挨拶出来ないわ…」


 ドケーシス公爵は夫人を落ち着かせようと話しかける。

「クラリス…一旦落ち着こう…」


クレア()様…最後に覚えている事は何でしょうか?」

セイン医師がクレアに問いかけた


「あらセイン先生。お久しぶりです。……最後に?……ウィリアム様とダンスレッスンしてました………あれ?…………ダンスしてた事しか覚えてないわ?」


 その言葉に夫人は抱きしめていた体を離してクレア()を見た。

(?……お母様こんなに泣いてどうしたのかしら?)

クレア()がしっかりと視線を合わせると夫人の目から更に涙が溢れた


「ぅう……」


夫人はクレア()の肩を掴んでいた手を離して自分の口元を押さえる。


「お母様?!」

驚くクレア()を公爵が押さえ、泣き悶える夫人は王妃が支えた


「クラリスは私が…」

そう言って王妃は夫人を応接室の続き部屋に連れて行った。


静かに扉が閉まる


(……行っちゃった…)


「…お母様は…大丈夫?」

不安な瞳でクレア()は公爵を見上げる


「大丈夫だ…妃殿下が見ていて下さる……クレア()は座って。聞きたい事と話したい事があるんだ……」


侍従達が丸く円の様に並べた椅子に全員が座ると、セイン医師がクレア()に問診を始めた


クレア()様、ダンスをしている前……何を考えていたか思い出せますか?」


「何を考えて?………」

その質問にさっき頭に響いた声を思い出す


《ウィリアム様なんて大っ嫌い》


(でもそんな事陛下には…)

クレア()はチラリと一瞬陛下を見て考え始めた。


「ダンスをする前………う〜〜んと……ウィリアム様と参加したパーティで…ウィリアム様と踊る前に……誰かがヒソヒソと私の悪口を言って笑ってて……ダンスが始まったら…もっと堂々と楽しく踊らなきゃ……って想うんだけど……上手く笑えなくて……どうしようって思ってたら…急に気分が楽になって。目の前のウィリアム様とダンスに集中出来るようになって……楽しく踊れる様になったの。それから気付いたら()()()ダンスしてる気がする……」


(変な説明になっちゃった…)


セイン医師は気にせず質問を続ける

「おいくつの頃かわかりますか?」


(…いくつ?…何歳だったっけ?)

クレア()は指を折りながら考えて

「………ウィリアム様と婚約して……二年位経った頃だったかな?」


「なる程……クレア()様、私はリッター・メンテと申します」


(知らないおじ様…)

「初めまして。クレア・ドケーシスです」


「やっぱり私とは初めて会うのですね?」


(変な質問をするおじ様だなぁ)

「?はい。」

クレア()はコテンと首を傾げて返す。


「先ずは()()()様の症状について説明致します……」



「………私は沢山の人格のうちの一人………ダンスの時だけ出てたの?…だからダンスしてる事しか覚えてないの?…」


クレア()は説明された内容を理解しようと頭を巡らせる


(クレア)の中に沢山の(クレア)が居るの?…不思議……面白い……あっ…でも)

「私がクレアの楽しいダンスの時間を取っちゃったのかしら……」

 クレア()の自死未遂の責任が自分にある様に感じて落ち込み…目には涙が滲んできた


クレア()?!違う違う!そんな事はない!!!」


慌てて公爵が否定すると、続いてセイン医師も否定した


「そうです!違いますよ!」


(……でも…)

そうは思えない様子のクレア()に、リッター医師も宥める様な声音で言う


「クレア様はウィリアム殿下とのダンスを楽しめなくて困っていた。それを貴女は助けてあげてたんですよ」


「………そうなんですか?」


「そうですよ。だから貴女は何も気にしなくて大丈夫です。」

 

『大丈夫』と言うリッター医師の言葉にクレア()はコクリと頷き、滲んだ涙がやっと引っ込んだ。



一区切り付いた様子に陛下が口を開く

「其方にも名前が必要だな…私が付けても良いか?」


(名前?私()()の名前?)


「本当ですか!嬉しい」

陛下の言葉にクレア()は表情を明るくして答えた


陛下は目を細めて優しい笑顔で質問を始める

「ダンスは楽しかったか?」

「はい」


「他にやりたい事はあるのか?」

「ここは…王城ですよね?図書室に行きたいです。あっ!」

 そこまで言ってクレア()は公爵の方を向いて

「乗馬もしたいの、お父様今度教えて下さい!」


目を輝かせて詰め寄られた公爵は驚いてタジタジと答える

「!?あぁ。分かった。今度教えてやろう。」


「乗馬なら私も教えてやれるぞ。いつか一緒に遠乗りに出よう。」


「本当ですか!わぁ 楽しみです。」

クレア()はパンッと手を叩いて喜ぶ


「………プラセル(楽しみ)と名付けよう。この子は楽しい事を楽しみたい様だからな。」

陛下はニコニコ笑ってそう言った


「プラセル……わぁ」

(素敵…凄い素敵…プラセル…プラセル(楽しみ)


「 素敵なお名前をありがとうございます」

プラセルは満面の笑顔でお礼を言った。



「ところで先程『何を考えていたか?』とお聞きした時、言い淀んでいましたが。何か気掛かりがありましたか?」


「?!……ぁ…えっと……」

プラセルは陛下におずおずと目を向ける。陛下はその様子に気付いて


「どうした?私に言いにくい事か?…大丈夫だ。何を言っても怒らないよ。」


 陛下が優しく言ってくれたのでプラセルは安心して話し出す

「…ダンスをする前じゃなくて…さっき…『ここは王城?』って気付く前なんだけど………頭の中に……《ウィリアム様なんて大っ嫌い》って響いてたんです。」


その言葉に公爵は息を呑む、陛下はため息交じりに

「……そうか…ウィリアムはよっぽど酷い事をしたのかもな…」

ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー


(………あれ?)


レイナ(プラセル)は王妃に腕を引かれて歩いている

目の前には神殿の様な空間が広がっていた


(うわあぁあ〜凄い素敵ー)

レイナ(プラセル)は目をキラキラさせて、キョロキョロと玄関ホールを見渡す


大理石の床に白い支柱が並び立ち

支柱の間には白い花が飾られた大きな花瓶が等間隔に並べられて、清麗な雰囲気を演出している。


「凄い素敵〜」

思わず声に出してしまう


そんなレイナ()()()()()雰囲気に

後からついて来ていた夫人とアニタ、リッター医師が気付いた


「……レイナ?」

夫人が声をかけると


「あ、お母様。私プラセルです」


その一言に、腕を引いていた王妃がパッと手を離して驚きの目をプラセルに向けた

王妃の陰から銀髪がひょっこりと覗く。


「?」

困惑の表情を見せるエタンセルにリッター医師が気付いた


(あぁ、エタンセル嬢にはまだ言ってなかったか…)

リッター医師はエタンセルに近付き耳打ちする


「実はもう一人人格が居たんだ…陛下がプラセル(楽しむ)と名付けた。クレア様がダンスを…」


リッター医師がエタンセルにコソコソと説明する一方で


(また入れ替わった…)

「アニタさん…あの方が一昨日王城で現れた方ですか?」

キャロルがアニタにコソコソと確認していた。


「はい。ダンスをする時によく現れていたそうです。明るいお嬢様ですよ」


「?」

そんな周りの様子に首を傾げながらも、プラセルはニコニコしながら口を開いた

「いきなり場所が変わったからビックリしました。……あ…でも、ダンスをしてた時も場所はよく変わってたかな?」


プラセルは記憶を探す様に目線を上にあげる


「……()()王妃宮にいるのよ。しばらくはこの王妃宮で過ごす事になったの、安全の為にね」

王妃が困惑から一転、気を取り直して満面の笑顔でプラセルに説明する。


「そうなんですか?!素敵」

プラセルは無邪気にはしゃぐ。


その様子に夫人はホッと胸を撫で下ろした、プラセルが不安に感じないかと心配だったのだ。


「プラセル様。初めまして、エタンセル・フラムと申します」

リッター医師の説明を聞き終えたエタンセルが、優雅にスカートを摘んで挨拶をする


(うわぁ〜綺麗な人…お姫様みたい)

「初めまして。クレア・ドケーシスです。私の事はプラセルとお呼び下さい」

プラセルはニッコリ笑って、スカートを摘み挨拶を返した


「さぁ!先ずは食事にしましょう。話はそこで」





女性受けに振り切った可愛らしく盛り付けられたオードブルが運ばれる

レイナが来ると聞いて王妃が張り切って料理長に指示したらしい。急な変更に調理場は大騒ぎだった。


「可愛い〜」

「本当に可愛らしいですね」

プラセルとエタンセルは目を輝かせている。その様子に王妃はご満悦で、料理人達の努力が報われた。


同じテーブルに着くリッター医師の雰囲気だけが料理とチグハグで、少々違和感を醸し出していた。


プラセルが一口食べると大きく目を見開き

「美味しい…」と、ポツリと言った


(………そういえば…何かを食べたのって久しぶりかも…)


プラセルは感動しながら咀嚼した


オードブルが食べ終わると王妃が口を開く

「プラセルにウィリアムとの婚姻について、今後どうなるか説明したいのだけど…いいかしら?」


「?…はい」


オードブルの皿が下げられ、スープが並べられる


「クレアは多重人格(解離性同一障害)と言う障害があると分かったから。普通に婚姻する事が出来なくなったの」


王妃の言葉にプラセルは少し驚きながらスープを口に運んだ

(………そうかぁ……それは()()()…あっ!このスープも美味しい)


プラセルは直ぐに納得した。頭の中は味の感動と思考で忙しい


「それでレイナはクレアの婚姻を成立させる為に…エタンセルを第二王太子妃に、そして側妃を三人娶る事を提案したの」

続く王妃の言葉に


「?……ん?すいません…何故そうなるのか…ちょっとよく分からないです…」

流石に口へ運ぶスプーンが止まってプラセルは困惑した


食事を続けながら、リッター医師や夫人も補足を加え説明してもらい

プラセルが完全に理解した頃、デザートが運ばれた。


「なるほど…五人でウィリアム様の()になるんですね」

ニッコリ笑ってプラセルはそう言い、デザートを口に運ぶ。

(ん〜〜〜美味しいー)


「「「「「?!」」」」」

その場に居る全員が固まる

その通りなのだが…その言い回しや…余りにも明るく受け入れるプラセルの思考に困惑が広がる


「……プラセル様…嫌では無いですか?」

おずおずとエタンセルが尋ねると


「?…どうしてですか?他の三人の方は存じませんが、エタンセル様と姉妹の様になれるのは楽しみです」

プラセルはニコニコ笑って答えた


「側妃がウィリアムの子を産むのは……大丈夫?」

王妃が意を決して確信をつく様に尋ねる


「?……それは()()()()の事ですから…?」

そう言ってプラセルは考えると…遠くで声がする


《王妃になる者は王に愛を求めてはいけません。子が出来なければ側妃が娶られます。王妃だからと言って愛される訳では無いのです。ウィリアム殿下は貴方だけの物ではないのですよ》


頭の奥に擦り込まれたような言葉が残る

《ウィリアム殿下は貴方だけの物ではない…》


(………誰が言ってたのかしら?)

プラセルは手のひらが、ジン…と熱くなった様な気がした。



「……プラセル?…いいのよ貴方が大丈夫なら良いの。ちゃんと知っておいて欲しかっただけだから…」

夫人が気遣うように言う


「はい。大丈夫です。側妃候補の方達にも会えますか?」

プラセルはニコッと笑って答える


「え?!……会いたいの?」

王妃が困惑の滲む声で尋ねる


「?…はい。私と同い年なんですよね?()()()()()なぁ」


プラセルの()()()()にその場の全員が理解した

プラセルは()()を欲していると。


「側妃候補の方達に説明する機会があるんですよね?それってお茶会に出来ませんか?…あ!読書会も良いなぁ。私、本読むの好きなんです」

プラセルはキラキラした目をして話す


「………そうね…良いアイデアね」

ウキウキしたプラセルの様子に王妃は顔を綻ばせた


目の前には紅茶が運ばれる


「ではこの後、読書会を兼ねたお茶会を企画しませんか?どうせ()()()()に今後の方針を説明する場を設けるのですし」

そう話すエタンセルの目には、ほんの少しだけ黒い色が乗っている。


「楽しそう!私企画するの初めて」


「…じゃあ一緒に考えましょうね」

娘のはしゃぐ様子に夫人は少し目頭が熱くなった


「では、続きは別室に移動して話しましょう」

王妃はパンッと一つ手を叩いてから立ち上がった。




(王妃はまだ少し気付け薬の影響が残ってるな…)

普段より少し語尾が強い王妃の様子にそう思いながら、リッター医師も立ち上がり


(後でレイナ嬢に説明するのが大変だ…)

そう思いながら、淑女達について行った。



別室に移動して四人はテーブルに着き、リッター医師は壁際のソファに座った。

扉の側にはアニタとキャロルが控えている、その他にも大勢の侍従や侍女が壁際で控えていた。


どんな花を飾るのか…どんなお菓子にどんなお茶を合わせるか…どんな本を読むのか

四人で意見を出し合い、目の前の用紙に書き出す。


(楽しい…楽しい…楽しい…こんな楽しい事があったんだ…)

プラセルは踊る以外の喜びを知った


ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーーーー


…ろ来られると…あぁ…いらっしゃいましたね」

目の前のエタンセルが廊下の先に目を向けた


それに習うようにエタンセルの視線の先に目を向けると

三人の令嬢がこっちに向かって歩いてくる。


(………あの方達は…側妃候補?…ここは…?)


プラセルはキョロキョロと辺りを見回す…その様子にエタンセルが声をかけた


「……レイナ様?」

「あ、プラセルです」

「………あ〜〜はい。分かりました!……えっと…これから側妃候補の三人を赤の応接室の続き部屋に案内する所です」


エタンセルは少し思考してから、想定していた状況に合わせて対応を始める。

「キャロルさん、ドケーシス公爵夫妻にプラセル様に入れ替わった事を伝えておいて」


「はい」

キャロルは応接室へ入って行く


側に控えていたアニタがプラセルに耳打ちする

「今、八時を過ぎた所で…ウィリアム殿下が来られるのは九時を予定してます。お嬢様とエタンセル様が少しの間、続き部屋であちらの三人のお相手をしてから応接室の方に移ります。よろしいですか?」


アニタは早口でプラセルに説明した


「分かったわ」

そう返事をして三人に目を向けたプラセルは驚いた


(………酷い顔色…)

顔色が確認出来るほど近付いた三人にプラセルは挨拶をする


()()()()()。クレア・ドケーシスです。私の事はプラセルとお呼び下さい」


そう言ってニコリと笑うと、返ってきたのは困惑の声だった


「え?」

リールは驚きの声を溢す

「……」

ティアは目を見開いて驚いている

「…プラセル?様…」

トリステスは困惑の滲む声で名前を呼んだ


「はい。クレアの中の一人です。さぁ中に入りましょう。エタンセル様、扉はこちらで合ってます?」


そう言ってプラセルは続き部屋の出入り扉に手を触れる


「合ってます。………あなた方もどうぞ中へ」


五人は部屋に入った…中には数名の侍女が控えている


「好きに座っていいのかしら?」

プラセルは弾む声でエタンセルに尋ねる


「そうですね…応接室に繋がる扉に近い所にしましょう」


そう言ってエタンセルは三人の令嬢にも着席を促す

侍女達が給茶の準備をしてる間にプラセルが口を開いた


「もしかして、お茶会は終わってしまいました?」


プラセルの発言に三人はビクリと体を揺らし、質問にはエタンセルが答えた

「はい。一昨日終わってしまいました」


「残念…私も参加したかったぁ…でも、また機会がありますよね?」

「そうですね。また企画しましょう」


ニコニコ笑い合って会話を続けるプラセルとエタンセル。

対照的に顔色悪く押し黙る側妃候補の三人


続き部屋の空気は異様だった…その状態がずっと変わらない


(…この三人ともエタンセル様みたいに仲良くなれたら良いんだけど…)

具合の悪そうな三人を見て、今は無理そうだとプラセルは諦めた


そろそろ赤の応接室側に移動する時間になり、エタンセルはこの後の説明をする。


「プラセル様。このままプラセル様でウィリアム殿下にお会いする場合、クレア様の障害の説明から始ま…


ーーーーーーーーーー


レイナに入れ替わった






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― 新着の感想 ―
意外とプラセルは早期に生まれた人格なのかも?? 今後は、たとえば誰かが大嫌いを越えてウィリアムを好きになったらふらっとクレアが現れるのかもしないし、 クレア自身が『自分は死んだ』と思ってる以上もう現れ…
う~ん、数多すぎて気持ちが理解しにくくなってる(T-T) これだけ増えた意味が、最終的にはあると思うけど。
自分じゃできないから 怒って暴れたい子 子どものように甘えたい子 好きな事を純粋に楽しめる子 ちゃんと出来ない自分を恥じる子 誰よりも強くしっかりした理想的な子 全部他人のように思ってるけど、全部自…
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