表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「彼女は死にました。」私はあなたの子を産みません。  作者: Kurakura


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/58

どうして私は…

なんと50話目∑(゜Д゜)長い話になってしまった…

お付き合いありがとうございます。

文法破壊な部分が多々あると思いますが、めげずに読んで下さる皆様ありがとうございます( ;∀;)

ブクマ・評価・リアクション励みの糧にしております

誤字報告様の活躍で文がまともに修正され感謝です(^人^)

感想ありがとうございます。

ですが返信に手間取ってしまうので(汗)

返信できない方向で(>人<;)


気を失ったリールが運ばれたのは王妃宮の客室


 本城での話が終わり王妃宮に案内された付き添い人の三名。

シリッカ子爵は『お茶会でリールは卒倒した』と聞き、途中で分かれリールの休む客室の方へ案内される。

侍女に付いて歩きながら、子爵は心ここに在らずな様子で考え込んでいた。


「やっぱり婚約させれば良かった…」


 子爵はリールの事をよく分かっていた。

賢く頭の回転も速い、社交性も高く学園でも交友関係を良好に広げている。

だがほんの少しだけ激情型…平民であれば足枷にならないだろうが、貴族には向いていない。

思い込むと視野が狭くなりなまじ行動力がある為、突飛に行動してしまう。

学生のうちはまだ大丈夫だろうが、社交界に出れば積極性と共に自分を抑える事も出来なければならない。

 大人になればもっと抑制が利くと思うが、精神面でより我慢を強いる貴族社会よりも平民として裕福に暮らす方が向いていると思っていた。


 だからダリウスの様な相手に嫁がせたかった。

同年代の貴族子息より、年が離れていて懐が深い彼の様な男の方が、リールの舵取りも上手くこなしてくれるだろうと。

有能で商会も順調に経営しているから生活に困る事もないだろうし、もし困る事があっても支援しやすい関係性だ。


 リールのダリウスへの好意が有り有りと見えた頃、子爵は婚約の打診もしていた、断られたが悪い返答では無かった。


『申し出は有難いのですが、私はまだ貴族の令嬢を娶るのに相応しく無い。もっと自分の力で実績を積まなければ。今リール嬢と婚約すれば、子爵家の後ろ盾有きの実績と見られます。……もしも待って頂けるなら、リール嬢が学園を卒業するまでには商会の規模を倍以上にしてみせます。その時に私の方から申し込ませて頂きたい。それにリール嬢はまだ十四歳です、学園に通う間に出会いもあるでしょう。その時はリール嬢の望む様に進めて下さい。私が挑まずして振られるだけですので』


仕事への意欲を汲んで、その場を口約束で済ませた事が悔やまれた。



客室の扉の前に着き、子爵は中に通される。


ベッドの側に置いてある椅子に座っていた看護師が立ち上がりお辞儀をしてから口を開いた。


「リール様は卒倒されましたが、周りの者が直ぐ支えましたのでお怪我などはありません。お眠りになっているだけですので心配はございません」


「そうですか…ありがとうございます」


「ではこの場はお任せ致します。何かあればこちらの紐をお引き下さい。従者室のベルが鳴りますので、直ぐに侍女か看護師が参ります。リール様がお目覚めになりましたら同じ様にお呼び下さい。どうぞこちらにお掛けになって、それでは失礼致します」


そう言って看護師は子爵に椅子を譲り、部屋を出て行った。


子爵はベッドで眠るリールの様子を窺う。

眉間に少し皺を寄せ…顔色も良くないが、静かに寝息を立てている。

椅子に座りベッドに肘を付き祈る様に手を組んだ



『側妃と成るべく、候補に名を連ねる事を王命として下す』

国王陛下の言葉が木霊する



 昨日、王太子と学園内で頻繁に交流があったと話した(リール)の様子から()()()()()()()()だろうと容易に察せられた。


(中庭で頻繁に二人きりで会い、時折昼食を共に摂った。確かに褒められない行いだ、王太子の婚約に水を差す行為だ。だがあそこまで蒼白な様子になるだろうか?…豪胆な性格の子だ、やましい事が無ければもう少し毅然として自分の正当性を主張する筈。……何か…()()()()をしたんだ…私に言えない程の事を……)


その時リールが突然目を開けて起き上がった。

止まっていた呼吸を思い出したかの様に短く刻んで息をする。


「リール大丈夫か?」


「お父様?……ここは?」


「王妃宮の客室だよ。お前が気絶してしまったからここに運ばれ介抱されてたんだ」


「あ……」

そうしてリールは青褪め、王妃の言葉が蘇る


『あなた方はいずれ…神殿の[祝福の儀式]を受ける事になります」

『ウィリアムの側妃と成るべく候補に名を連ねるよう、王命が下されました』


記憶の中の言葉が嘘ではないと言うかの様に、父である子爵の口から現実が突き付けられる。


「お前はウィリアム殿下の側妃候補に挙げられた」


真っ直ぐにリールを見つめる子爵にリールは震える声で


「……お願い…お父様………断って……」


子爵は首を横に振る

「王命だ。断れない…」


そう言われ

リールは視線を掛布をギュッと握る自分の手元に落とす



「……一週間前…クレア様は自死なさろうとしたそうだ…」

それを聞いてリールはビクリと体を揺らし、子爵を見た。


「……………自死…」


リールはポツリと溢すとカタカタと震え両手で顔を覆う

(うそ……うそ…嘘嘘…嘘。うそ!うそ!嘘!どうしよう…どうしよう…どうしよう…どうしよう…)


その様子にやはり何かあったのだろう…と、子爵はリールに優しく尋ねる

「リール……お前は何かしたのか?」


子爵の優しい声音にリールは涙が流れ出た。そしてしゃくり上げながら小さくポツリポツリと話した。


「わ…たし……ウィリアム様と……口付けしたの………クレア様に…見せるように…うぅ…う〜」


子爵は頭を殴られた様な衝撃を受け、青褪めて言葉を失う。

しかし頭は混乱するものの、両手を差し伸べ泣きじゃくるリールを抱きしめた。


(……なんて馬鹿な事を!)

愚かな娘を抱きしめる手に力が籠る



しばらくして抱きしめていた体を離し、子爵はリールの両肩を手で掴んで真っ直ぐ目を見て口を開く。


「リール…詳しい話は帰ってから…いや、馬車の中ででもいい…とにかく今は()()()を誰にも話しちゃいけないよ。先ずウィリアム殿下と相談してからだ。ウィリアム殿下の指示に従う。分かったね?」


「はい」

リールは胸の前で組んだ手を強く握って返事をした。

子爵は取り出したハンカチでリールの涙を拭い、壁に垂れ下がる紐を引く。

程なくして侍女がやってきた。


「何かありましたか?」


「娘が目を覚ましました」


「畏まりました。では医師とレイナ様を呼んで参ります」


(レイナ様?)

リールは知らない人物の名前に疑問を感じた


待つ間に子爵はベッド側のサイドテーブルにある水差しから水を汲んでリールに渡す

リールは受け取った水をゆっくり飲んで喉を潤した。

「お前は倒れてしまったから、殆ど何も知らないんだろう…これから説明されるだろうから、()()()()()は絶対言わない様に!」


リールは黙って頷いた。


しばらくして先程の侍女がリッター医師とエタンセルを連れて来た。


「初めまして、私は王城の専属医リッター・メンテと申します」

挨拶をしたリッター医師に続いてエタンセルが口を開く

「初めましてシリッカ子爵様。フラム侯爵家のエタンセルと申します。リール嬢には先程お会いしましたわね」


「初めまして。リールの父テゾーロ・シリッカです」

挨拶を返した子爵に、リールは自分も挨拶をしなければと

ベッドから降りようとするのをエタンセルが止める。

「ああ、リール様はそのままで良いですよ」


「そうだね、まだ動かない方が良い。少し脈を診させて貰うよ」

そう言ってリッター医師がリールに寄って行く

その様子を見ながらエタンセルが口を開いた。


「本当は()()()()がいらっしゃる筈でしたが、今()()()になってらして…代わりに私が来ました」


(?)

リールはエタンセルの言っている事が一つも理解出来なかった。

その様子に少し困った様な笑顔でエタンセルは笑った

「ふふ、意味が分かりませんよね。先ずはこちらをお読み下さい」

そう言ってエタンセルは手に持っていた資料をリールに渡す。


「リール嬢の脈は安定してます。そのまま読み始めて良いですよ。シリッカ子爵はこちらでお茶でも飲みませんか?」

リッター医師が子爵にソファの方を勧める


「あ…はい。ではお言葉に甘えて」

リールは移動する子爵の背中から手元の資料に目線を落とし、ベッドに座ったまま資料を捲った。


リッター医師と子爵がソファに座り

侍女が給茶を始め、エタンセルもソファに腰を下ろした。

リールは資料を読み進める…眉間には皺がより目には困惑の色が乗る


(……これは…本当の事なの?)


しばらくして、読み終わったリールはソファに座る三人に目を向ける。

それに気付いたエタンセルが口を開く

「読み終わりました? 理解出来ましたか?」


「はい」

リールは困惑しながらも返事を返す


エタンセルがベッド側の椅子に座り

「この資料は回収しますね」

そう言ってリールから資料を受け取って、膝の上に置き

口を開いた

「クレア様は自死未遂以降現れなくなってしまったの…だから今は大体においてあの方を()()()()とお呼びしてね」


リールはエタンセルの言葉に青褪めて頷く


「続けて大丈夫かしら?」

リールの様子にエタンセルは優しく声を掛ける。

リールが倒れたからか…年下だからか…エタンセルは他の二人に対するよりも少しだけリールに優しい。


エタンセルの声かけにリールは頷きで応えた。


「クレア様の()()は公表されず自死未遂の影響で()()になった事にします。するとウィリアム殿下との婚姻が無理になる。でも虚弱を理由に婚約解消すれば、ウィリアム殿下は婚約者を自死に追い込む行動をした上に切り捨てたと醜聞が立ち、王家はドケーシス公爵家の支持を失う。

それに新たな婚約者を探そうとしても今現在年齢と家格が合う令嬢は国内には居ないし、醜聞が邪魔して外国への打診も出来ない。それにね…レイナ様は婚約解消を望んでないの」


最後の部分にリールは驚きに目を剥く


「レイナ様はクレア様の頑張りを無駄にしたくないのよ。それに『捨てられた令嬢』と中傷や嘲笑にも晒させたくない。だからクレア様がウィリアム殿下との婚約に()()()()()()()なんて思われないように『本当は婚約破棄したいけどウィリアム様が望まれるので継続する事を受け入れた』と言う事にする。そして()()する為には助けが必要なの」


エタンセルはリールに受け入れやすい様『補強』ではなく『助け』と言った。


 リールはゴクリと固唾を呑む。


「レイナ様は滞るであろう公務の補佐に第二王太子妃として(エタンセル)を、御子を得る為に側妃を三人、ウィリアム様が娶る事を提案したの。

そして陛下はレイナ様の提案が()()と判断されたわ。

貴方達が選ばれたのは、ウィリアム殿下との交流が頻繁にある令嬢として名前が挙がったから…三人共婚約者が居なくて家格も相応。……全てではなくてもクレア様が貶められる原因の一端を担っていたのだから、断れない立場にある」


最後の部分にエタンセルはリールに厳しい表情を向けた。

リールはビクリと体が揺れ益々青褪める

 そんな様子のリールにエタンセルはため息を溢して、話を続ける。


「ここまでの話をウィリアム殿下はご存知無いの。次の日曜にウィリアム殿下への通達と、私との婚約成立の調印を行う場が設けられます。あなた方三名も紹介されるので、朝八時までに登城して下さい」


エタンセルはカタカタと震えるリールを見て、憐れみと呆れの感情が募る。


「私の説明はこれでお終いです」

エタンセルは立ち上がるとリッター医師に目配せをする

それを受けてリッター医師が子爵に話し掛ける


「リール嬢の体調も大丈夫と思われますので、連れ帰って頂いて結構です。念の為私も馬車に乗るまで付き添います」


その言葉に子爵は立ち上がり「ありがとうございます」とリッター医師に礼を返す。


「リール様、立てますか?」

エタンセルは持っていた資料を侍女に渡してから、リールに手を差し伸べる


「あっ…はい…大丈夫です…」

酷くか細い返事だった


リールはベッドから降りると、意外にもしっかり立てた。

急いでやって来た子爵が手を添える


そんな親子の様子にエタンセルはまた少し憐れみが募った


そうしてリールとシリッカ子爵は王妃宮を後にした。





シリッカ子爵邸に帰る馬車の中…子爵はリールから事の顛末を聞く


ダリウスに迫り『秘密の恋人』にしてもらった事。

ダリウスとは口付けを交わすまでの関係である事。

商会組合主催のパーティーの日、庭園で『ウィリアム殿下とだって口付けした』とついた嘘を誰かに聞かれた事。

『王族の名を使った虚偽は罰せられる』事を恐れて、それなら事実にしようと思った、証人を婚約者にすれば言いふらす事は無いと思った事。


どれもこれも頭が痛くなる内容だった。


(リールを望むなら攫ってくれれば良かったのに!………いや…違うか…既に私の許可がある様なものだ…リールの気持ちも彼に向いていると確認出来たなら『秘密の恋人』としてリールを離さず、仕事に邁進するだけだ。卒業後を見越して)


子爵は押し黙る。その様子にリールも黙ったまま俯く。

沈黙を先に破ったのは子爵だった。


「さっきの資料から、クレア様の障害は理解してるな?」


その言葉に顔を上げたリールは一つ頷く。


「中庭での口付けの一件。お前の呼び出しを聞いたのが()()()()()()()()なのか…口付けしてるのを見たのは()()()()()()()()なのか…自死未遂の理由は分からないと説明されたが…本当に()()()()()のか…敢えて伏せているのか……とにかくお前(リール)から明かすのは駄目だ。まだウィリアム殿下は()()知らないのだしな……いずれウィリアム殿下と話す場を設けて頂こう」


リールは俯いたまま子爵にポツリと謝罪の言葉を溢した

「……はい。……ごめんなさい…お父様」

「リール…謝る相手は私じゃないんだよ」


子爵の言葉にリールは顔を上げて子爵を見る

「そもそも婚約者がいる相手と懇意にする事が間違っている。クレア様がウィリアム殿下に関心があるかどうかは関係ない。……クレア様がウィリアム殿下をとても好いていたとしたら……どんなに傷ついたか…お前は想像出来なかったのか?」


そこまで話して

(出来ていたらこんな事にならなかったか…)と子爵は思う


リールは子爵の問い詰めに

(………出来る…今ならちゃんと想像出来る…)

リールはダリウスが女性に言い寄られるのを何度も何度も見て傷付いていた。

(どうして私は…)

「ふっ…う…うぅ…」

 リールは涙をボロボロと溢して嗚咽が漏れる口元を押さえ俯く。


子爵は苦悶の表情でリールの頭をそっと撫でた



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
凄い面白い。 人物描写の深さに驚きます。文法や読みにくさは気にならなくなりました。 明日仕事なのに、一気読みしました…。 続きを楽しみに待ってます。
約一名を除いて自分のした事を理解したみたいだけど王子はどうかなぁ。あと今は王子から愛されなくてもそのうち情って湧くからなーあの要らんことしか言わない侍女もあってるんだよね。特に「僕悪くないもん!」「ヨ…
ここでレア(幼児)になってしまったのは、やっぱり浮気相手にクレアのことを説明するのは、平気な振りをしていても(ウィリアムに対する好意を持たないレイナでも)平気ではないのだろうな、と痛々しく感じました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ