滅亡する王国の姫
ちょっと展開早くなっていくかもしれません。
紀元前1234年・・・。この国はとなりのカツマデヤルズ帝国の進行を受けまさに建国以来の危機となっていた。それからあっとういう間に一年がたった。
私が転生した国は諸国と同盟を組んで全面戦争まで発展したものの惨敗を喫し戦争捕虜として連行されることになった。
各国が敗戦処理する段階に私は(注*前世の名はたっくん元男だが前世の記憶しかない)前世の記憶を取り戻した。
そうまさに今というかつい最近である。
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顔文字みたいな顔で連行される私。きっと各国を探しても、歴史をさかのぼってもこんな人質の姫なんて私だけに違いない。なんかそれに関して自信があったので私はさほど彼らを恐れていなかった。
「おもてを上げよ。」
厳粛な雰囲気で一糸の乱れも許されないような張りつめた空気の中、皇帝陛下からごあいさつをさせて頂く許可が出た。
まるで周囲を絶海で切り離された孤島のような、誰ひとりとして仲間がいない私の状況で、私に今なにができるのかと知恵をしぼっていた。
いかつい装飾さらに上質な衣類や圧倒的な権力を知らしめる王冠。対する相手はに屈服感を抱たかせるにはあまりに十分すぎた。
権力者の一員として国政に携わってきた私にはさらにこたえており、またそのこと事態も皇帝陛下には知られているように思う。
きっとこういう時、亡国の人質である姫に求められるのは気丈に振る舞い、威圧感を放つ王やその臣下たちへも毅然とした態度を見せつけねばならないのだろう。
だから私は顔文字みたいな顔をしながらもキュッと腹筋に力を入れて自分の命をこの時の一瞬にかける覚悟をしてみせる。
「そう身構えるではない。そなたの身の安全をこの私が保障してやろう。某国とは歴史的ともいえる長い付き合いだったのだがこうなってしまったのは残念であるな。」
「ハハッ。」
「よってこれは提案であるのだが。そなたを我が妻へと迎えようと思う。」
「へ、陛下・・・!?」
「異論はあるまいな?」
ざわざわとしだした城内が一気に静寂へと包まれてしまった。
「ハハッ」
「陛下の御心のままに。」
宰相がみんなの総意を伝えた。私には最初から選ぶことなどできないのだから。
*****
新たに迎えられた妃という名目の人質生活1日目。
形式ばかりの慎ましい結婚式があげられ、我が夫となる皇帝が唇が触れあう距離にいる。
なるほど整った顔をている。眉目秀麗とは噂どおりだったわけだ。まるで麗人のような長いまつ毛に吸い込まれるような瞳。
ただ私は腹の中の探り合いを心得ているので、この人が今どんな感情を抱いているかが分かっていた。どうやら私は異性として意識されていないわけではない。
むしろいや考えすぎの可能性もあるが、どうやら残念ながら私の容姿は彼に嫌われているらしい。
この方も立場があるので私との結婚に至ったわけであると思うのですが。
「ではこの場で誓いの言葉を神へ捧げて下さい。」
目の前の神父が式を進行している。
「私は、新婦ゼノスフィアを妻とし、生涯愛し続けることを誓います。」
「私は、新郎イェーガー様を夫とし、生涯支え続けることを誓います。」
気恥ずかしさからか着付けをしてくれたメイドたちからの祝いの言葉がまだ耳元でループしていた。
「新郎イェーガー皇帝これから新婦ゼノスフィア様に寄り添い、どんな時も笑顔にし続けることを誓いますか?」
>はい、誓います
「新婦ゼノスフィア様、あなたはこれから新郎イェーガー皇帝を支え、どんな時も味方であり続けることを誓いますか?
>はい、誓います
「それではおふたりに伺います。本日、おふたりは皆様に見守られて夫婦となりました。今日という日を忘れず、おふたりで笑顔溢れる幸せな家庭を築くこと、またカツマデヤルズ帝国の繫栄を支えることを誓いますか?」
>はい、誓います
「ここに第12第皇帝の皇妃が誕生したことに心からお祝い申し上げます。神のご加護あるんことを。」
皇帝の前にかしわずき私は皇妃冠を被せられた。きっとこれが戴冠式というものなのだろう。
首筋をつつーっと汗が一筋流れ落ちた。神様本当に誠にまことに申し訳ございません。どうかお許しください。実は・・・。私偽物なんです。そこら辺で適当に生きていた、野良吸血鬼なんです。
暴漢たち(?)に襲われている(?)ある貴族女性を助けてあげた代わりに血をくれたのでたらふく飲んで朝帰りかと思いきやなぜか身代わりにされていて。
ここまで連れて来られてしまっただけなんです。いやはやどうしてこうなったのか。自分でもなんでそれっぽく演じられているのか不思議に思うくらいでして。
しかもよりによって前世おとこですし。うーーーーん。どうしてこうなった? 私の人生は詰んでしまったかもしれません。
なぜ真実を言い出せなかったかというとそこはやむを得ない事情があるのだった。連れてこられたこの帝国が問題というか。この今私に口付けをした夫(?)が一番の脅威というか。
とにかく私の正体が吸血鬼だとバレてしまえば羽虫のように潰されてしまうでしょう。
対吸血鬼においてはこの世界で最も危険な天敵なのがこの帝国の第12第皇帝、新郎イェーガー様なのですから。
明日からどうやって殺されないように生きれば良いのだろうか。
ニコリと微笑んでくる。とっても容姿が良いので本来ここにあの女性がいたのならばまるでとろけるような幸福感を得られたのだろう。
私はとても生きた心地がしなくヒュッと肺がしぼみ一瞬心臓が止まりかけたのだった。
読んでくれてありがとう♪