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襲撃のとき

久しぶりの投稿すぎて、、、緊張で焦って2話目投稿です。

バラバラバラと軽快な機械音、いやここはエンジン音とでもいうのか知らないが。手前の電柱の前で止まった。


こんな狭い路地裏にハーレーが3台もならんで走ってくるなよ。危ないと思うんだよねおれは。あえて絡んで話しかけてまで注意なんてしないけどな。


なんか黒いバイクスーツに包まれててなんか怖いし。あ、こっち見た気がする。頼む・・・。頼みます。って凄い美女だな!?


視線を前に戻すのに大変な労力がかかってしまった。いるんだなあ。まさか月から下りてきたかぐや姫、いや女神アルテミス様かと思った。焦った。神なんてこの世にいるわけが。


いたっ!? いやなんでおれは通せんぼされた!? なぜ両手を開いておれを見据えて来た!? だからなんで?


心臓の動悸がやばい。もうここまでだ。なぜか本能が生存を諦めてしまった。


だがおれはがむしゃらにあがくことにした。


その目が、瞳がおれの心臓を貫く。


艶やかな唇が言葉を発する。


「たっくんサンデスネ!?」


「ええ!? どうしてその呼び名を・・・。いやあなたはどちら様ですか?」


「・・・。」


彼女と背後の付き人は無言を貫いていた。


ですよね。素直に答えてくれたりそんな漫画みたいことが起きるわけが。世界一整った容姿をお持ちの不審者さまとは言え。


「あなたを誘拐しに来ました。」


「・・・。」

「・・・。」


「え。え!? なんで!?」


おい首をかしげるな! クソッ。可愛いいいいいいいいい。じゃなくて。キョトンとした圧倒的美貌を持つ美女のあどけないというかあざとさというか!!! 


そうよりもそれよりも!!!!


おれが誘拐なんてされるわけがなかった。なぜって。おれの自宅がここから6mもないすぐ目の前だからだ。


「ふっ。なぜおれが狙われているのか知らないが。君たちの計画は上手く行かないぞ。なぜなら・・・。」


「あ、うん。知ってるデスネ。ハイ。ここたっくんの家。あってるデス?」


なあんでこんな人類代表美貌を誇るもはや女神におれの自宅が特定されているのだ?


いや分からんし理解ができない。おれはもう普通の社会人だし。身代金も我が家の経済事情じゃそんなにはした金もらえないのだが!?


「クッ。捕まってたまるか!!!!」


おれは年甲斐もなく渾身の力でスーツを弾き飛ばすような速度で駆け抜けようとする。無情にも立ちはだかるレスラーのようなひとの壁!


いやでかい! だがおれは止められないぜ! 朝から働いてきた社畜の眠気からでる火事場のバカちから舐めるなよ! こちとら終電帰りなんでい! おれは構わず突っ込んだ。


死ぬことがもう怖くない社畜vs屈強なボディーガードの世紀の対決の幕が上がろうとしていた。


おれが先生攻撃をすることを予想していたのか。後ろのべっぴんなお姉さま(付き人?)がちょうどおれの死角になる位置から、弓のようにすらりとした腕をしならせスタンガンをおれの首筋に高電圧(強)で押し当てておれの意識を刈り取った。


覚えているのは、おれを見下ろす3人の影。そして夜空を埋め尽くすような巨大なスーパームーン。たしか昨日の夜のニュースでやっていたな。今日はたしか50年に一度のスーパームーンであると。


そんなどうでも良いことを考えてしまったことを後悔しながらおれの瞼は力なく閉じられていった。



*****



気付けばおれは自分の部屋のベットに寝かされていた。おれは誘拐されたはずなのでは!?


不思議に思って枕に手をかけた。なんせ隣に人の気配がするからだ。コイツはもしかして敵!? おれはエナドリを摂取後のためギンギンになった瞳を血走らせ枕に手をかけた。


ええい! 枕といえども目ん玉直撃させれば多少はダメージを・・・。


「ふむ。起きたか。」


「・・・。」


バレてた。不意打ちというおれの唯一のカードが潰されてしまった。どうすれば良いのだ? お手上げである。


相手がたとえ丸腰だったとしてもこちらはベットに完全に横になっている姿勢。対して相手は・・・。恐らく先ほどの重量級ボクサーみたいな漢!!


なんせ・・・。おれのベットがミシミシいっている。間違いない。


「うううううううう・・・。ウォッカが飲みたい・・・。」


やばいやつだ。アール中なのかもしれない。それよりおれも焦らなけらばならない。なぜおれは誘拐されたのに自分の部屋にいるのだろうか。おれの両親はどうなったのか!?


1階からお母さんの高笑いが聞こえてきた。良かった。どうやら無事らしい。


「やだもう。まなみったら。オッホッホッホ!!」


これで確信をした。おれはどうやらからかわれていたらしい。


なんてことなんだ。おれの会社が業務縮小のため給料が減らされ、おれは奨学金の返済と車のローンのため家計が圧迫し親との同居生活になってしまってからというものの・・・。


ああもう踏んだり蹴ったりである。なるようになれだ。


おれだってなあ! 言いたいことがあるよ! とりあえずあの美女は絶対に許さない。顔が良いからってなんでも許されると思ってるんじゃねえぞ! いや・・・。今のは中傷が酷かったな。


おれだって会社の同僚からやれ顔採用だのなんだの、いろいろ言われてきたからその辛さが分かる。それなのに自分のことは棚に上げてひとを非難してしまったいる。


あーあ。おれもクズ度が上がってしまったらしい。嫌だねえ。社会人歴が長いほど


だが理由はなんであれ、君は許されないことをした。復讐をしてやるぜっ・・・。決意をし目を凝らして顔となりのおじさんを見た。


怖いって。なんなんだ。この漢のオーラは!? おれの全身が恐怖し、死んだふりをしたくなってきた。動けば殺されるのではないだろうか?


ああ。復讐なんてなにもうまないじゃないか。きっとおれは立ち上がって下に避難しても何されないに違いない。


そ~っとスリッパを足に通す。黒いシックなデザインでお気に入りのやつなんだが。今日ばかりは死神に足を捕まれている錯覚がしてきておれは人生で初めて黒に嫌悪感を抱いた。


空気を揺らさないよう、気配や音を消しおれはドアへとむかう。


後ろでぼそりと声が聞こえた。良く聞こえなかったものの、例の大男はもしかしたら眼を開けたまま眠っていたらしい。


いや怖いって! でもおれのこと殴らないでくれてありがとう! そんな屈強な拳の一撃をくらってしまったら骨の一本や二本持っていかれるに違いない。


「ウォッカ・・・。寿司。ゴチソウサマでした。スヤア。」


ウォッカということはやはり。ロシア人ということか? 彼らはウォッカをお水のように飲むときいている。お酒の弱いおれたち家族からしたらやはり雲の上の存在だ。


階段を急いで駆け降りる。リビングの方まで光の速度でかけぬけ、おれの目に飛び込んできたのはロシア美女(予想では)とそのお母さまと思われるひと、そしてその向かい側におれの両親がのんきにお寿司パーティーをしていた。


おれもしかして両親の子供ではなかったのかもしれない。まさか成人してからそんなこと考える日が来るとは・・・。いよいよおれも限界だったってわけだ。


「たくー。やっと起きたか。こっちに来なさい。」


「ああ。」


「こっちに来て早くサインして!」


「ああ。」


「・・・。」


いや待て。おれ今だったら混乱しすぎて大して仲良くもない知り合い程度のひとの保証人の書類にだってサインしてしまう気がしていた。


それがほんとに婚姻届にサインをしてしまうだなんて。


「確かにうけとりましたデス。不束者ですが。よろしくお願いデス!!!」


まるでお人形さんのような整った顔の美女がドラマの中のセリフでドラマみたいにドラマであるからして。ドラマドラマいやハリウッド!?


ぺこりとお辞儀をされてしまった。


「あっ。どうもこれはご丁寧に。」


「いえいえ。」


「ところでそのう。おれ考え無っていうか、いろいろ混乱していまして。これはなにかのドッキリですか? あとその婚姻届返して返してくらませんか?」


「もう冗談なんて面白いひとデスネ! ただこの紙に触れていいのは私だけデス。もし無理やり取ろうとするのなら・・・。」


ギロリと睨まれてしまった。


「ま、まさか。」


「嚙みつきます。」


彼女は二かッと笑顔とともに八重歯を見せつけてきた。


そっか。嚙まれてしまうのか。痛そうだなあ。なんて鋭そうな犬歯なんだ。


まあこのまま結婚してしまってもいいか。良い気がしてきた。なんせおれは彼女なしさらには結婚するツテも予定もなかったからな。


まさに棚から牡丹餅である。もうおれの人生どうにでもなれだ。


「ところであなたはどちら様ですか?」


「やだわ~。たくー。ほらあの子よヴェロニカちゃんよ!?」


だから誰だよ!? おれ知らないよこんな美女。


「フッフッフッフッフ。当時の私はお世辞にも可愛いとは言えなかったからデスネ。だがしかし! こうしてお婿を迎えに来たからには私は女の武器を磨いてきたのデス! まさに・・・。みにくいアヒルの子白鳥になるデス!」


「ええ・・・。あ、はい。」


「バストサイズこそ平均サイズのDですが・・・。形には自信がありますデス! ほらどうでありますか!?」


ふふーんとのけっぞってみせる彼女。


Dあるのか! いやでかいと思います! やめろやめてくれ・・・。視線が不覚にも胸に釘付けになる。


「どうですか。お義母さま。私の大人の魅力に息子さんはタジタジです。」

「あらまあ。すごいわ~。アツアツじゃない。」


「ああ。そうだな。たくーそこの醬油とってくれ。あと絶対結婚してもらううんだぞ。お前・・・。この機会逃したら一生縁がないと思うだよお父さんは。」


はいはいソーデスネ。おれもそう思う。


どうやらおれはイシシシッとはにかむように笑う彼女のお婿に出されてしまったようだ。


「あ、アタシたち明日から日本住むデス! もう部屋は借りて来ました。早く準備するデス。さーはやく!」


えええ・・・。


「ああお母さん嬉しいわあ~。うううううううう・・・。とうとうたくーがお婿に。ほんとにありがとう。アリスちゃん。」


「なーに言ってんのよ~。昔からうちの娘とたっくんとは気が合いそうな気がしていたのよ! こちらこそうちのおてんば娘もらってくれて嬉しいわあ。これこそが私たち親友の絆ね!」


「アリスちゃーーーーーーん。」

「まなみーーーーーーー!!!。」


茶番だ茶番。おれも寿司パーティーに参加させてくれ。


「はい。ダーリンあーんしてあげますデス。」


「お気持ちだけで嬉しいです。ヴェロニカさん。あなた箸持てないでしょう。おれがあーんをしてあげます。こっち向いて。」


「は、恥ずかしいデス!」


えええ・・・。


「じゃあスプーンで食べる?」


「なんてことを言うんデスカ!? 鬼、鬼畜! 落ち武者!いーですよ! さあ食べましょう! それとも・・・。この私の顔を直視できますかデスネ。まあ照れてできないなんてのはむぐぐぐぐっぐぐ。」


そんな悪口いうのかこの子。クッ。可愛いすぎるな。いやしかし。


小さな口に卵と卵と卵合計3巻を突っ込んだ。ハッ。しまったあまりの可愛いさについとんでもない速さで口に放り込んでしまった。


「どう?美味しい?」


「もぐもぐもぐ。た、卵はもう結構です!」


「おいおい。ゆっくり食べさせてやれよ。」


誘拐されたときのお返しにひよこみたいなもぐもぐ顔を見れたのでおれは満足した。






























読んでくれてありがとう♪

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