4話 激闘! 本能VS理性!
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
【悟の一目惚れ 4話】
2人は、試験を受けた。
結果が出るまで、1時間くらい時間があった。
結果は、電光掲示板に試験番号が点灯すれば合格である。
2人は、電光掲示板の前にある長椅子にならんで、座っている。
(よし、ここでとにかく話しまくる! 恥ずかしいとか、話題が見つからないとか言ってられるか! ラストチャンスだ!!)
「豊原さん、試験どうでした?」
「はい。多分大丈夫だと思うんですけど、多村さんは?」
「はは…僕も同じです。」
早速、話が途切れた。
(も、もう話が途切れた!? な、何かあるはずだ…絞り出せ! 俺!!)
「あの」
「はい?」
「豊原さんは、大学生ですか?」
「はい。S大3年です。多村さんは?」
「僕は、K大2年です。年上だったんですね、下だと思ってました」
豊原は、目をまん丸くして驚いたが、すぐに微笑んだ。
「そう? 私、幼く見える?」
豊原は、いたずらっぽく笑った。
「い、いえ…! そんな事は無いです。」
「フフ…そんなに慌てて答えなくても大丈夫。良く言われるの」
豊原は、ニコニコと笑っている。
「ハハ…」
多村は、苦笑いした。
少しだけ間が空いた後
「失礼ですけど、年齢は20歳ですか?」
「そうよ。多村君は?」
「僕は19です」
「そうなの…あっ、敬語じゃなくても大丈夫よ」
「分かった。じゃあ…」
この後、2人はお互いの学部などを話し、時折、笑い声が漏れ、和やかなムードで会話を重ねた。
(そろそろ聞いてみよう、そろそろ試験結果が出るかも知れないし…う〜、ドキドキする…)
「豊原さん」
「うん?」
「連絡先を…交換しない?」
「全然良いよ」
豊原は、思いの外、あっさりとOKを出した。
(い〜っ! よっしゃーっ!!)
多村は、平静を装いつつも、内面の気持ちは、この上なく高ぶっていた。
多村は、とうとう豊原のLINEと電話番号を手に入れた。
その後も談笑は続き…
(ん? あっ…!)
この日の豊原は、前にスリットのあるスカートを履いているため、太股の内側が、多村のまなこに飛び込んできた!
(真っ白で、太すぎず細すぎず…い、いかん! 見たらダメじゃあっ!!)
(しかし、見れば見るほど、挟まれたくなる…いかんいかんイカァン!! な、なんてことを思うんだおれは!?)
(正気を保て! 俺!!)
多村の脳内では、男の本能と理性が戦いを繰り広げている。
今のところ、本能がやや優勢で、6対4だ。
少し、危ない領域に入り始めたようだ…
「そろそろよね」
「な、何が!?」
(俺の理性が吹っ飛ぶのがか!?)
「何って…試験結果よ」
「あ、そうでした…」
彼にとっては、最早、筆記試験に受かろうが落ちようが、目的は達成済みのため、ぶっちゃけどーでも良かった。
そんな事よりも、本能VS理性の戦いが、激しくなって死闘となり、それどころでは無かったのだ。
当然、豊原は、多村のアタマの中が、そんな事になっているとは知る由もない。
「受かるかなぁ…」
豊原は、呟き、電光掲示板を見つめた。
少し頬を赤く染めていて、ドキドキしてソワソワしているようだ。
(可愛いなぁ…)
多村は、電光掲示板などそっちのけで、豊原の横顔を眺めていた。
「あっ! ついた!」
「どこに!?」
「あそこよ」
豊原は、電光掲示板内にある、点灯した自分の試験番号を指差した。
(あ、電光掲示板の事ね…おりゃまたてっきり、脳内戦争の決着がついたのかと…)
「多村君は?」
「えーと…あ、あった」
「良かったねぇ!」
「う、うん」
(何という可愛い過ぎる顔…)
豊原の笑顔が眩しく、多村は見とれていた。
「行きましょ!」
「うん」
多村と豊原は、運転免許を受け取りに向かった。
また、試験番号順に並ばねばならず、多村と豊原は、試験番号が離れていて、距離が離れた。
それにより、本能と理性の戦いは終戦。
結果は、引き分け。
多村と豊原は、普通自動車運転免許取得した。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。