35話 追い詰められる悟
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
【悟の一目惚れ 35話】
「うわっ!!」
とうとう、悟はふっ飛ばされた。
「きゃあっ!」
車の中から由紀は、その姿を見て悲鳴を上げた。
「ど、どうして誰も来ないの!?」
由紀が悲痛な叫びを上げたが、夜で人がほとんどおらず、騒ぎに気づく人はいなかった。
「由紀ぃ…どこだ…!?」
将は、鋭い目付きで由紀の姿を探した。
だが、どこを見渡しても見つからない。
(由紀…逃げ延びたみたいだな…)
悟は、周囲を見渡し、自分の車の中に由紀が乗っているのが微かに見えた。
悟は、微笑を浮かべた。
「…!!?」
次の瞬間、突然、悟の体が宙に浮いた。
将に胸ぐらをつかまれて、持ち上げられたのだった。
「あぁっ! 悟!」
その姿を見て、由紀がまた悲痛な声を上げた。
「お前…由紀をどこにやったぁっ!?」
「あんたの手が届かないところさ…」
「ふざけるな!」
「ぐわっ!」
悟は、乱暴に投げ飛ばされて、地面に叩きつけられた。
地面に叩きつけれた瞬間は、痛みは無く、ただ何かに激突した感触だけがあった。
衝撃の激しさを物語っていた。
やがて、地面に液体が滴って染みていく。
それは悟の血液だった。
「もう止めて!」
由紀は、車の中から叫んだ。
由紀は、堪らず車から出ようと、ドアノブに手をかけた。
しかし…
「何があっても出てきちゃいけないよ」
悟の言葉を思い出し、車のドアノブをそっと離した。
(神様…悟を守って…)
由紀は、涙を流し、すがるように祈った。
「ぐっ…」
(いつかこんな日も来るかも知れないと覚悟はしてたけど…痛いし、怖いな、やっぱ…だけど、由紀が無事ならそれで良いか…)
悟は、夜の闇の中で、広角を少しだけあげて満足そうに微笑を浮かべた。
そして、再び将を見すえた。
遠くでパトカーのサイレンの音が聞こえる。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。




