32話 招かれざる客
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
【悟の一目惚れ 32話】
車に戻ろうとした2人の前に、男が立ち塞がった。
薄暗く、顔つきは分からないが、その男は、大柄な事は確かだった。
(デカい奴だ…威圧感がある…)
悟は、目の前の男に、恐怖感を覚えた。
「由紀…」
男は、由紀の名を呟き、声を聞いた由紀は愕然とした。
「し、将さん…」
「将? 由紀の元彼?」
悟の問いに、由紀は黙って頷いた。
悟と由紀は、一気に緊張が走った。
「由紀、今更ヨリを戻そうとか…」
将が、何やら話しかけつつ、由紀に近づこうとすると、悟が遮った。
「あなたを、由紀に近づけるわけにはいかない」
「誰だ、君は?」
「由紀の今の彼氏ですよ」
「チッ…」
将は、舌打ちし、止まった。
(由紀、君はひとまず車に行くんだ。相手は、何をしてくるか分からない)
悟は、由紀に耳打ちし、車のキーを渡した。
悟の手は、少し震えていた。
(悟も怖いのね…だったら…)
(いいえ、私も悟と一緒にいる!)
(ダメだよ、危険だ)
(私も、ずっとこの人から逃げ回るのは嫌なの…お願い)
(分かったよ…でも、危なくなったら真っ先に逃げるんだよ)
(うん)
「さて、あなたは何をしにここに来たんですか?」
「由紀に会いに…少しでも話したくて来た」
カラオケ屋で、由紀がすれ違った男は将で、1度は忘れようとしたが、結局、忘れる事ができずに、後をつけてきたのだった。
「会わせるわけにも、話をさせるわけにもいかない。警察から警告を受けたんでしょう?」
「君には関係のない事だ。由紀はどうなんだ?」
「わ、私は…私は、あなたに会いたくも話したくもありません」
由紀は、声が震えていたが、ハッキリと言った。
「何…!?」
将の眉がつり上がった。
だが、それ以上何も言わずに、立ち尽くした。
今の彼氏に遮られ、元彼女からもハッキリと拒絶された。
将は、追い詰められた。
将の由紀への、赤い愛の光がみるみるうちに小さくなっていく…
やがて、完全に消えた。
そして、新たな感情が芽生えた。
それは、ドス黒い炎…
憎しみだった。
由紀も、将の自身の心も、全てを焼き尽くす、憎しみの暗黒の炎が、激しく燃え上がっていく…
「由紀もそう言ってますし、僕もあなたの好きにさせるわけにはいかない。このまま、大人しく帰ってくれませんか?」
「……!!」
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。




