3話 再会
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
【悟の一目惚れ 3話】
この日は、卒業試験運転の翌日である。
(豊原さん…もう会えないのかな?)
(前から可愛い人だと思ってたけど、本当に可愛い人だった…)
(連絡先を聞きそびれた事が悔やまれる…)
(うーむ…)
多村の頭の中は、豊原の事ばかり。
(ん? 運転試験は受かったけど、筆記試験がまだだ!)
筆記試験は、運転免許試験場で行われる。
(豊原さん、明日来ないかなぁ…)
筆記試験は、週に3回、月水金に行われる。
(別の日に受けに来ることも考えられるよな…)
(来い来い来い…こいこい…恋恋…恋!?)
(こ、これは…恋なのか!? そうだ、恋だ)
(一目惚れって奴か!?)
(てゆーか、彼氏いるんじゃ!?)
(フツーいるよな!?)
(あれだけ美人だし…)
(僕なんて相手されるわけ無い…)
(連絡先を聞いたら断られるかも知れない…)
(だけど…だけど…)
(後悔はしたくない…!!)
多村の目が、キリッと引き締まった。
(と、とにかく明日来てくれることを願うしか無い…今までのような事にはしたくない…)
しかし、すぐに不安そうな顔に逆戻りし、そんな事を考えながら、多村は、眠りについた。
ちなみに彼の初恋は、幼稚園児の頃で、同じ組の可愛い女の子だった。
小学生に上がると別の小学校に行ってしまい離れ離れになった。
小1の時に、バレンタインデーにチョコを貰った。
しかも、違う小学校なのにわざわざ、くれたのである。
しかし、当時の彼には、意味が分からなかった。
勿体ない話である。
その後、彼女はシスターの道を目指し、他県に行ったらしい。
次の恋は、小学生2年の頃だ。
やはり、同じクラスの可愛い可愛い、女の子だった。
お互いの家に、遊びに行くほど仲が良かったが、小3で別々のクラスになり、ませていた彼は、彼女を意識するあまり、話せなくなった。
その後、同じ中学を卒業するまで、同じクラスになる事も、話す事も無く、別々の高校に行った。
しかし、彼は、彼女を忘れる事ができずに、高校1年の時に、彼女の前に突然現れて告白! そして玉砕!!
そして、1年間忘れることができずに、再告白して、やはり玉砕!!!
彼の8年あまりの想いは、実ることは無かった…
3度目の恋は、高校3年の時だ。
高校1年時に同じクラスの清楚系の女の子で、3年の時にまた同じクラスになった。
今度は、少し話せる仲になったが…
あれは、忘れもしない…あれは、とある下校の時のバスだ。
彼女は、違う方向に帰るはずなのに、多村と同じバスに乗ったのだ。
しかも、男と手を繋いで。
友人に2人の関係を聞くと
「ああ、付き合って◯◯まくってるらしいぜ」
あっさりと告げられ、彼は、重い現実に突き飛ばされ「絶望」という名の深い谷底に、真っ逆さまに落ちていった。
後から聞いた話では、彼女は、その彼氏から卒業前に別れを告げられたらしい。
4回目の恋は、大学1年の時だ。
相手は、アルバイト先の、やっぱり可愛い可愛い、とても可愛い女の子だった。
ちなみに眼鏡っ娘。
今度は、話したり、時たま喧嘩したりもしたが、彼女がアルバイトを2〜3ヶ月で辞めてしまい、離れ離れになった。
そもそも違う大学で、バイトを辞めてしまい接点が無くなってしまった。
その後、彼女がどうなったのかは分からない。
以上が、彼の恋愛遍歴である。
話を現在に戻し、多村は、運転免許試験場にやってきた。
目的は、2つある。
(いないかな〜?)
彼は、着くなり受付もせず、彼女の姿を探した。
もちろん、豊原を。
(やはりいないのかな…?)
多村は、試験を受ける前から目元が熱くなった。
(いたーっ!!)
彼の目線の先には、それはそれは美しい愛しの姫がいた。
この日の豊原は、白い開襟の半袖シャツを着ていて、前にスリットがある、膝丈ほどのグリーンのスカートを履いていた。
また、薄黄色の女物のサンダルを履いていて、多村にとってトレードマークになりつつある眼鏡をかけていた。
縁は、今日は黄緑色。
相変わらずの色白の肌に薄化粧が映える。
この日は、リップの色は薄いピンクで、先日よりも控えめだったが、清楚さが増していた。
「と、豊原さん」
「はい? あっ!」
多村の顔を見た瞬間、豊原の笑顔が弾け飛んだ。
「多村さん」
豊原の笑顔が眩しい。
多村は、豊原と無事に再会できた。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。