28話 不審な影
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
【悟の一目惚れ 28話】
小豆色の軽自動車が颯爽と走っている。
運転手は悟で、その助手席に由紀が乗っていた。
その軽自動車は、駐車場に停車した。
行き先は、カラオケ屋だった。
2人は、受付を済ませ、部屋の中に入った。
そして互いに歌を歌い、喉が温まってきたところだ。
「悟、あなたの歌って、男性でも女性の歌でも聴き心地が良いね」
「ありがとう、聴き心地が良いって言われるのが一番嬉しいよ」
「うん、ほんとに。悟の歌は聴き心地が良くて、自然と耳から入って、歌詞が心に響くの」
由紀は、少し瞳が潤んでいた。
悟の歌声は、少し低くて落ち着いた曲調にピッタリだった。
「ほんとは、ロックな激しい歌も上手に歌いたいんだけどね」
「普通に上手だと思うけど…」
「ありがとう。ただ、どうも高い声と早口が苦手でね」
「そうなのね…私は逆かなぁ…高い声はどうにか出せるけど、低い声がどうやっても出せなくて」
「前に高い声は、練習次第で出せるようになるけど、低い声は練習しても難しいって音楽の本で見たような…」
「へぇ〜、そうなのね、物知りだね」
「いやぁ…」
悟は、褒められて後頭部をかいた。
(実は、悟が照れてる時の仕草好きなのよね)
由紀は、微笑んで見つめていた。
「あ、どっちのグラスも空っぽね、私注いでくる。悟は何がいい?」
「ウーロン茶でお願い」
「うん、分かった」
由紀は、グラスを2つ持ってドリンクバーに向かった。
そして、新しいグラスにウーロン茶とオレンジジュースを注いでいた。
(あれは…由紀か?)
クラスにドリンクを注ぐ、由紀の後ろ姿を見て、存在に気付いた人がいる。
そして、由紀が部屋に戻ろうと振り返ると確信した。
(間違いない、由紀だ)
由紀は、全く気が付いていない。
(まさかこんなところで見るとは)
由紀は、通路を曲がり視界から消えた。
(由紀…相変わらず綺麗だな…だが、もう過ぎ去った事だ、忘れよう)
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。




