21話 由紀の涙
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
【悟の一目惚れ 21話】
「うぅ…」
由紀の瞳から涙がこぼれ落ちた。
ひとまず、家に帰り付き、緊張の糸が切れたのだった。
そして、無意識に携帯を取り、電話をかけていた。
「もしもし、どうしたの? 急に?」
「あ…」
由紀は、声を聞くと、少しだけ安堵の表情をうかべた。
声の主は、悟だ。
「さとる…悟…」
由紀は、悟の名前を呟き、既に潤んでいる両方の瞳が、更に潤み、みるみるうちに、こぼれ落ちらんばかりの涙が溢れた。
次の瞬間、関を切ったかのように、涙が溢れ、一気に流れ落ちた。
「うぅ…こ、こわい…こわいよ…」
「ど、どうしたの!? 由紀! 大丈夫!? 大丈夫だよ!!」
由紀は、声が震るわせながら、わぁっと泣き続けた。
悟は、驚き動転した。
電話越しだが、こんな由紀は、初めてみる。
動転しつつも、悟は、由紀に声をかけた。
落ち着かせ、慰めようと。
「えぐっ…! えぐっ…!」
その後も、由紀の号泣は続いた。
(ぼ、僕がしっかりしなきゃ! わけが分からないけど、由紀を守れるのは僕しかいない!)
悟は、1度深呼吸し、呼吸を整えた後、ずっと懸命に励ましたり、安心させようと声をかけ続けた。
その言葉の一言一言が由紀の心に響いていく。
また、涙を流すうちに少しずつ、気持ちが落ち着いていき、やがて、由紀が泣き止んだ。
「ご、ごめんなさい…急に電話かけて、泣いたりして…」
「い、いや、それは良いんだけど…どうしたの?」
「実は…」
由紀は、元彼から連絡があってからの事を説明した。
「そんな事があったのか…ごめん、何も知らずに」
「いえ…良いの…話したら、落ち着いたから」
「そうか、とりあえず良かった…」
悟は、一呼吸おき、落ち着いた声で話し始めた。
「由紀、落ち着いて聞くんだ。それはストーカー被害だから、警察に相談しに行こう。僕も着いてくから」
「え…そんな…そこまでしないといけないのかな…それに悟に悪いし…」
「悪くない。それに何かあってからでは遅いよ。だから、一緒に行こう。僕も一緒に警察の説明を聞くし、今は1人で出歩くのは危険だと思う」
「そ、そうね…」
今の由紀は、状況判断ができる状態では無く、悟の言う事を素直に聞いた。
「じゃあ、明日にでも直ぐに行こう。なるべく早くが良い」
「う、うん。分かった」
「今は怖いと思うけど、なるべく僕も一緒にいるようにするから」
「うん…ありがとう…」
「また、怖くなったりしたら、いつでも連絡してきてね」
「ありがとう…」
「じゃあ、明日迎えに行くから」
「うん…」
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。




