18話 由紀の過去
読者の皆様、作者の大森林聡史です。
この度は、この小説を気にかけていただきありがとうございます。
よろしければ、内容もお読みいただけると幸いです。
宜しくお願い致します。
【悟の一目惚れ 18話】
12月のとある日、由紀にLINEが来た。
送り主の名前を見て、由紀は、驚愕した。
「あの時は、俺はどうかしてた。心から悪かったと思ってる…よりを戻したい」
送り主は、由紀の元彼からだった。
由紀の脳裏に、別れた時の記憶が蘇ってくる。
「由紀! 由紀! どうして会ってくれないんだ!?」
「今は、大学が忙しくて、時間が取れないの。もう少し待って」
「分かった。そういう事なんだね」
この時、元彼は、由紀の事情を理解したのだが…
その後のある日…
(あ、あれは将さん…他の女の人といる…)
由紀は、偶然、将(元彼)が別の女性と一緒にいるところを見てしまった。
更に、手を繋いで歩いていて、仲睦まじく、楽しそうに見えた。
(私といる時より楽しそう…)
由紀は、涙が溢れ、その場にいれなくなり、走り去った。
(あれは…浮気相手よね…将さんどうして…)
由紀は、家に帰ってから、涙が止まらなくなり、号泣した。
後日、携帯電話の呼び鈴が鳴った。
(だれ…? 将さんからだ…)
由紀は、取るか迷っているうちに携帯電話は切れた。
「ジリリリリリッ!!」
由紀は、驚いて、肩をビクッと震わせ、恐る恐る電話にでた。
「もしもし…?」
「由紀、まだ忙しい?」
「うん」
「そっかぁ…」
「将さん、あのね…聞いても良い?」
「何を? 良いよ」
「この間、別の女の人と手を繋いで楽しそうにしてるところを見たんだけど…」
「あ…あぁ、あ、あれは妹だよ、妹」
「妹と…手を繋ぐ…?」
由紀の声は、震えている。
瞳に涙が溢れてきた。
「俺を疑ってるのか?」
「……あの状況じゃ」
「……」
将は黙った。
「何とか言ってよ…」
由紀は、涙声になっている。
「チッ…バレちまっちゃあしょうがない。お前が会ってくれない間の埋め合わせのつもりだったんだがな…こうなった以上、仕方無い。切るのはお前の方だ。じゃあな、せいぜい大学を頑張りな」
将は、穏やかな口調から一変し、荒々しい口調になり、一方的に電話を切った。
ツー…ツー…と、電話の切れた音が静かに鳴っている。
「そんな…そんな事って…」
由紀は、電話を切ることもしないまま、ただ呆然としていた。
「う…うぅ……」
ただ、涙は溢れ、流しても流しても止まらなかった。
以上が、別れた時の記憶だ。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
長い文章に、お付き合いいただき、心より感謝申し上げます。
とうとう、由紀の元彼である、将が本格的に登場します。