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お菓子の国とお菓子が好きな子  作者: さとう なつ
1/3

1.お菓子とお魚さん

絵本のような物語です。

ここはお菓子の国。

地面も流れる川も咲く花々やたくさんの緑も全て甘いお菓子。

もちろんここに暮らしているあの子達も…。


「ねえねえ、この辺の子達そろそろ生まれそうじゃない?」

「ホントだ」

「どんな子かな?」


道の脇にある大きな花の蕾をみて話すのは、


「プリンさんかな?最近生まれてないよね?」

まんまるな体がかわいいトリュフさん。


「チョコレートさんじゃない?チョコレートが1番よく生まれるよ」

同じくまんまるな体で、サクサクホロホロクッキーさん。


「意外とお煎餅さんとかおかきさんかも!」

中にゴロンとナッツが入ったマカダミアナッツチョコさん。


この国のお菓子さんたちはお花の蕾や木の実から生まれます。最初は小さな蕾だけど中で成長してどんどん大きくなるのです。そしてどんな子が中にいるのかは生まれるまで分かりません。

3人がお話をしていると蕾の先が開いてきました。


「あ!生まれる!」


どんな子が生まれるのか、3人はキラキラした目で新しい友達の誕生を見守ります。

蕾が開き、丸めた体を伸ばし新しい子が地面に降り立ちました。


「え?」


3人の声が重なります。


「え!何で!?」

「どういうこと?」

「ここはお菓子の国だよ!ご飯の国じゃないよ!」


驚いた様子の3人は戸惑いを隠せません。


「何でお魚さんが生まれたの!?」


そう、新しく生まれた子はお魚だったのです。

ピンクの体に光が輝くお魚。

お菓子しか生まれないはずの国に生まれたお魚。

3人が驚くのも無理はありません。


「道端で騒いでどうしたの?」


後ろの方から誰かが来ました。


「きのこさん!たけのこさん!」


3人に声をかけたのはきのことたけのこの形をしたお菓子さんです。2人はこの国にずっと昔からいるので何でも知っています。皆からとても頼りにされている力強い存在なのです。


「この国にお魚さんが生まれちゃって!」

「どうしたらいいの?」

「お魚さん?」


ひょいと2人がその子を見ると、


「おや、久しぶりに生まれたねえ」

「そうか、最近生まれなかったから皆は知らないんだね」


2人はニコニコしながら教えてくれました。


「この子は『口取り』っていうお菓子なんだよ」

「えーーーーー!」


皆に囲まれて恥ずかしそうにモジモジしていたお魚さんが口を開きました。


「あの、見た目はお魚だけど中身は餡なんだ」

「そうなの!?」

「ごめんよ、知らなくて騒いじゃって」


3人は囲んで大騒ぎしたことを謝りました。


「ううん、知らなかったんだからしょうがないよ」


口取りさんが3人にそう言いました。


「知らなかったならこれから知って仲良くなればいいさ」

「そうそう。新しい友達なんだから」


きのこさんとたけのこさんがニコニコしながら言います。


「3人とも、この辺を案内しておあげ」

「とても素敵な国だから口取りさんもきっと気にいるよ」

「うん!」


3人は口取りさんを連れて案内しました。

きれいな花が咲く広場。キラキラ光るジュースの泉。綿あめ雲に手が届く山。

途中色んなお菓子たちと会いましたが、皆最初は驚くけれどすぐに仲良くなれます。


新しいお菓子が生まれ仲良く過ごす、お菓子の国は今日も幸せでした。

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