表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

第1話 きっしょ

咲水(さみ)、今日もありがとう。気持ちよかったよ。好きやで」


「私も。刃銀(はがね)のこと大好き♡」



 ケンカした日の夜はいつもこんな感じ。

 普段よりも情熱的に求めてくる彼女が可愛い。


 ヤルことヤッた後はすごい眠気襲ってくるけど、この頭をなでながらのピロートーク、俺も結構好きなんよね。

 普段なかなか言えんようなこっ恥ずかしいことも言えるし。


「あのさ、刃銀......。刃銀は私のこと愛してる?」


「うん、愛してるよ」


「そっかぁ。嬉しい。私いろいろわがままやけど、いつも許してくれてありがと♡」


「好きやからワガママくらい聞くよ」


「そっか............」



 わがままなのは否定できへんからな。咲水のそれはなかなかやし。完璧メンヘラ入ってるし。


 実際、今日もかなりイラつかされたけどな。

 それでも、俺にも悪いとこあることも少なくないし、それに、彼女の見た目の良さでだいたいのことは許せるとこあるし。


 今も俺の胸に顔埋めてきて可愛い。

 肌に触れる彼女の焦げ茶色のウェーブかかった髪の毛がこしょばいけど、それも心地良い。


 いろいろひっくるめて、これからも仲良くやっていけたらいいな。








 とか余韻に浸ってたら、次の会話で一気に全部ぶっ壊された。





「あんな? 私のこと好きやったら怒らんといてほしいねんけどな? 刃銀のこと愛してるから言うんよ?」


「ん? どうしたん?」


「私、この間浮気してもうたねん」



 ..........................................?


「はぁっ? え、なに、どういうこと?」



 え、まじでどゆこと? どういう冗談? 咲水が言ってる内容も、それを言ったタイミングも意味わからんねんけど。


「先月さ、刃銀とちょっと喧嘩したときあるやん? あんときさ、友達に合コン誘われてさ。そこで会った人と1回だけヤッちゃったんよね」



 いやいや、意味わからん。

 どういうこと? なんで今? つーか、は? 浮気? え、何?


「ヤッたって......」


「うん。えっちした」



 冷や水ぶっかけられるっていうのはこういうコトか。

 さっきまでの甘い空間が急に地獄に変わったな。


「違うんよ。その人、私らの大学の卒業生らしくてな? お酒いっぱい入ってたのと、刃銀とケンカしてて落ち込んでたのもあって寂しくて、親身に相談のってくれてさ。それで向こうに強引に誘われて勢いでホテル行ってしまってさ」



 やばい、頭痛なってきた。あと吐きそう。

 なんでそんな話続けてんの? なんなんこの人。気持ち悪いんやけど。


「黙ってようと思ったんやけどさ。刃銀やったら許してくれると思って。けどさ、私、それで改めて思ったんよ。私、刃銀のこと愛してるなって。刃銀も私のこと、好きなんやんな?」



 よくわからんけど、ほんまに浮気してたんやったら許すわけないよね?

 え、もしかしてさっきまでの甘い雰囲気の流れで俺が許すとでも思ったん? なんでこんな平然とした感じで話してくんの?


 なにこれ、俺、なんか試されてる?


「まじでその人と浮気したん......?」


「うん、ごめん。でも、二度とせぇへんから! 私が好きなんは刃銀だけやから! だから、なっ? 許して?」




 きっしょ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ