ふりだしに戻る
城から戻ったおれたちはすぐに薄氷に知らせにいった。
そして、一緒に住んだ方が都合がいいとヒメにいわれ薄氷も一緒に住むことになった。
ここで、ひとつ疑問が浮かんだ。
薄氷は1階層から戦いに参加していないが、2階層にいけるのかということだ。
「なあ、ヒメ」
「はい、なんですか心」
「薄氷は2階層にいけるのかな?」
「……」
「ちょっと試しにワープしてみようか」
「はい、では戦闘準備をいたします」
おれはこの間の宝石箱に入っていた戦闘服と剣を思いだした。
「ヒメ!」
「はい、何でしょうか?」
「これを着てくれ」
「え? これはこの間の」
「そうだ。ヒメが戦闘服と剣を持ったらもっと強くなれる」
「でも、こんな貴重なものをもらってもいいのでしょうか」
「ああ、ヒメに着てもらいたいんだ」
「はい、わかりました。ありがとうございます」
よし、これでヒメの戦闘力があがったはずだ。
「よし、いくぞ」
「はい」
「はい、お願いします」
おれと、ヒメと薄氷はワープの中に入った。
「薄氷、ついてこい」
「はい」
が……。
薄氷はなかなかでてこない。
これは……。
「ヒメ、戻るぞ」
「はい」
家に戻ると薄氷が困っていた。
「なんども入ったのですがここに戻ってきてしまうのですがこれは何なのでしょうか?」
「ごめん、どうやら薄氷は1階層からのようだ」
「そうですか」
ヒメも一緒に1階層からやりなおそうか。
でも、ヒメも早く成人したいだろう。
どうしようかな~
「心、わたしも1階層から一緒にやりなおします」
なんていい子なんだろう。
ヒメは名前まけしてないな、うんうん。
「ヒメ、いいのか?」
「はい。戦いの練習にもなりますし、3人の方が早く上の階に行けます」
「そうだな」
薄氷が嬉しそうにしていた。
「いいのですか?」
「ああ、3人で一緒に行こう」
「はい」
おれたちは1階層からやり直すことにした。
1階層だとワープするわけにはいかないので、洞窟まであるいていった。
すると2人の女性が洞窟に入っていくのが見えた。
成人しようと入っているのだろう。
なんとか、女性が成人して男性が増えてくれればいいんだが……。
「心さま、わたしが先にいきます」
薄氷がいってきた。
まあ、薄氷の強さもみたいしいいだろう。
「ああ、気をつけろよ」
「はい」
薄氷を先頭におれとヒメはついていった。
そして、スライムが現れた。
すると、薄氷は剣を取り出し戦い始めた。
おぅ!
ヒメより戦闘能力は高いのか。
いい、剣を持っているな。
なんなくスライムを倒した。
「薄氷、強いな」
「いえ、まだまだです」
そして、巨大スライムがいる部屋の扉が現れた。
「こんな扉いままではなかった」
「そうなんです。わたしも最初は驚きました」
「よかったな、ここからボス戦だ」
「はい」
扉を開けた。
中にはやはり大きなスライムが眠っていた。
「じゃあ、初めに小さいスライムをみんなで倒しちゃおうか」
「「はい」」
おれたちは小さいスライムを簡単に倒した。
ヒメも戦闘服と新しい剣のおかげでかなり強くなってスライムは簡単に倒せた。
「最後は、巨大スライムだな」
「はい」
「これもわたしにやらせてください」
「いや、でも」
「大丈夫です」
「そ、そうか」
いざとなったら助けるか。
「わかった。やってみろ」
「はい」
「心、でも」
「ヒメ、大丈夫だよ」
「はい、わかりました」
薄氷は巨大スライムに近づいた。
すると、スライムは目が覚めてすぐに薄氷に襲いかかってきた。
なんとか、よけれた。
そのあとも薄氷はよけはしているものの、なかなか攻撃ができない。
薄氷の息が少しあがってきたな。
これはきついかな……。
剣使いはすごいが体力がないようだ。
先ほどまでとは違って、スピードが落ちてきた。
きゃぁ!
薄氷が飛ばされた。
ここまでだな。
「ヒメ、いけるか?」
「はい」
「じゃあ、頼んだ」
「はい」
おれはスライム退治をヒメに任せて薄氷の治療に向かった。
「薄氷大丈夫か?」
「うっ! 大丈夫っです」
「まあ、これを飲めばすぐに治る」
回復薬を飲ませた。
すると、すぐに回復した。
「薄氷、大丈夫か?」
「はい、もう大丈夫です。スライムは……」
スライムをみるとちょうどヒメは倒したところだった。
「すごい、早い」
「ヒメも少しづつ戦闘になれ体力をつけて強くなったんだ」
「そ、そうですか」
「薄氷もこれから少しづつ体力をつけていけば強くなる」
「はい、わかりました精進します」
なんて、素直ないい子なんだろう。
でも、すこし負けず嫌いな感じを隠しきれてないな。
「大丈夫だよ、焦らないで」
「いっ、いえ焦ってなんか」
もう、可愛いな~
「心、終わりました」
「ああ、よくやったな」
宝石箱が現れ、宝石と回復薬を手に入れた。
そして、2階層への扉が現れた。
おれたちは2階層の扉を開け、中に入った。
そして、つぎは2階層だ。
「今日はここまでにしよう」
「「はい」」
お腹もすいたしな。
ワープして帰ろう。
「ワープ!」
はあ、ワープは楽だな。
「え? ここは家ですか?」
いいねえ~この反応。
「内緒だぞ」
「心さま、すごいです」
「そうか~アハハ」
なんか、うれしい。
「心、お腹すきましたね」
「ああ、そうだな」
「では、夕食の準備をしますね」
「わたしもお手伝いします」
「はい、よろしくお願いします」
ヒメと薄氷がふたりで夕食を作ってくれる。
なんていい光景なんだ。
そして、ふたりが作ってくれた食事を食べながら薄氷のことを詳しく聞いた。
薄氷の両親はもういないようだ。
父親は15年前に亡くなり、母親はつい最近あのお店を薄氷に託し亡くなったようだ。
薄氷はひとりであの店を守っていたようだ。
「ところで、薄氷はいくつなんだ?」
「12歳です」
えええ~12歳でこの体つきなのか。
結構いい肉付きでみずみずしいすべすべの肌をしているけど……。
おっと、いけないいけない12歳の体でなにを想像しているんだ。
でも、体力がないのはあたりまえか。
「そうか、まだ12歳だったのか」
「はい、でも焦ってしまって12歳になってすぐに洞窟に行くようになりました」
「そうだったのか」
「でも、無駄でしたね」
「そんなことはない。だって薄氷の剣さばきには驚いたよ」
「そ、そういっていただけるとなんだかうれしいです」
薄氷はもじもじしながら照れていた。
うぉ!!!!
可愛い!!!