表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

薄氷との出会い

今日はヒメと一緒に街へ出掛けた。

宝石の鑑定をしてもらうためだ。


「心、ここが宝石を鑑定してくれるお店です」


小さいお店でおれひとりだったら気がつかなかっただろう。

おれたちはお店のドアを開けた。


「こんにちは」


お店の中に入ると、カウンターに店主だろうか綺麗な女性が立っていた。


「こんにちは」

「はい、いらっしゃいませ」


おれは宝石を鞄から取り出した。


「この宝石の鑑定をお願いしたいのですが……」

「はい」


その女性は宝石を鑑定し始めた。


「失礼ですが、こちらはどこで手に入れた物なのですか?」


え?

ああ、これは昨日巨大ゴブリンを倒したあとの宝石箱の中にあった宝石だ。

言っちゃっていいのかな?

おれは迷っていた。


「これは、洞窟で敵を倒して手に入れたものだ」

「そ、そうですか」


ヒメがうまく話してくれた。


「こちらの宝石は剣や盾などを強化できる大変貴重な素材となります」

「そうなのか?」

「はい、ですからお売りにならずに鍛冶屋に行くことをお勧めいたします」

「ありがとう」


親切な人だ。

綺麗な人はこころも綺麗なんだろうな~なんて。


「この宝石以外は売ります」

「かしこまりました」


洞窟でたくさん魔物を倒したので、小さい宝石がたくさんあった。

どれくらいのお金になるのか気になっていたが、なんと金貨5枚と銀貨10枚にもなった。

金貨がもらえるとは思わなかった。

当分、食べ物には困らないな。


「ヒメ、帰りに食材を買って帰ろう」

「はい、心」


おれたちは宝石店をでた。


「ありがとうございました」


店主の綺麗な声に送りだされ気分がいい。

つい、また来ますといいたくなってしまいそうだ。


「心、今日の夕食は何が食べたいですか?」

「え~何がいいかな」

「ふふふっ、なんでも作りますよ」

「そうか、ヒメは料理上手だからな」

「ふふっ、ありがとうございます」


おれたちは食材を買い、家にもどった。


「ヒメ、少し休んだら洞窟に行こうか」

「はい、わかりました」


すると、ドアをノックする音が聞こえた。

トントンッ!


「はい、どちらさまですか?」


おれはドアを開けた。

すると、先ほどの宝石店の店主が立っていた。

何度見ても綺麗な人だ。

少し、見とれてしまった。


「心、どなたでしたか?」

「あ、あ、ごめん店主さん」

「あの、突然押しかけて申し訳けありません」

「どうしたのですか?」

「あの、わ、わたしも一緒に洞窟に連れていってください!」


えええええええ!

まずは事情を聞かないとな。


「とりあえず、中に入ってください」

「はい、ありがとうございます」


おれとヒメは、店主の話を聞くことにした。


「あの、店主はどうして洞窟に行きたいのですか?」

「わたしの名前は薄氷といいます」


うぉ!

やっぱり、綺麗な人だと思った。

おれは多肉植物の中でも薄氷は好きだったんだよな。

名前とは違って肉厚でなんといっても見た目が美しい。

確か、グラプトべリア属だったな。


「心、どうかしたのですか?」

「いや、なんでもない」


つい、我を忘れて興奮してしまった。


「先ほどのあなたがもってきた宝石をみて、2階層まで行けたのではないかと思いました」


するどい!


「わたしも何度も洞窟に入り挑戦してきましたが、1階層までしかいけません。その先にはいけないのです」

「はい、わたしもずっといけませんでした」


ヒメが話始めた。


「やはり、あなたも挑戦していたのですね」

「はい、でも今回心と一緒に洞窟に入り魔物を倒していくと今までなかった扉があったのです」

「やはり、あの噂はほんとうでしたか」


噂ってなんだ?


「噂?」

「はい、『殿方と洞窟に入らないと2階層の扉は現れぬ』という噂です」

「そんな噂が」

「でも、本当だったのですね」

「まあ、そうみたいだな」

「わたしも成人したいのです!」


ヒメが立ち上がった。


「そうですよね、わたしもずっと成人したかった」


ヒメまで一緒になって、意気投合しちゃってるじゃん。


「わかった、わかった!」


でも、王さまに相談してみないと勝手に返事はできないな。


「でも、おれもある人の依頼でヒメと洞窟に行くことになったから勝手には承諾できない。依頼主がいいというなら薄氷も連れて行くということでいいか?」

「はい、ありがとうございます」


薄氷は帰っていった。


「ヒメ、さっそく王さまのところにいくぞ」

「はい」


おれとヒメは王さまのいるお城に向かった。


「これは、心さまとヒメシュウレイではないか」


プロリフィカが声をかけてきた。


「プロリフィカさん!」

「今日はどうなされたのですか?」

「はい、それが……」


おれはプロリフィカさんに薄氷の話をした。


「わかりました。ただいま王さまにお伝えいたしますのでお入りください」

「はい、よろしくお願いします」


おれとヒメはお城に通された。

そして、ふかふかのソファーに座って待っていた。


「お待たせいたしました」


プロリフィカさんが戻ってきた。


「王さまにお伝えいたしました。こちらにお越しくださいとのことです」

「はい、わかりました」


なんか、怖いな~


「こちらにどうぞ」


案内された部屋は先ほどの部屋よりも広く、そしてキラキラ輝いていた。

なんだ?

まぶしい!!


「よくきたな、心!」


この声はカンテ王さま!

よくみると窓際にカンテ王さまが立っていた。

すごく白く輝いていた。


「王さま」

「話はプロリフィカから聞いた」

「はい」


どうかな?

やっぱりだめだろうな~

まだ、ヒメも成人させてないのに……。


「心、そなたはすごいな!」

「え?」

「ヒメシュウレイも薄氷も成人させてくれるとは」

「え? じゃあいいんですか?」

「いいもなにも、とてもありがたいことだ」

「そ、そうですか」


よかった~

なんだかよくわからないが、いいことをしているってことだな。


「ぜひ、薄氷もお願いしたい」

「はい、わかりました」

「引き続きよろしくたのむぞ」

「はい」


おれとヒメは顔を見合わせて喜んだ。

そして、城を後にした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ