母との時間と手紙
ある日レティシアは、夕食を食べ終えるとエディットと一緒に、いつものようにリタに抱えられてエディットの部屋へと向かった。
部屋に着いてからリタは、レティシアをいつもレティシアが使っているソファーに下ろすと、手慣れた手つきで紅茶を入れ始める。
レティシアとエディットが普段からお美味しいと言うその紅茶をエディットとレティシアはゆっくり飲んでるいると、レティシアは目の前にある机の上に置かれたトレーに目が留まった。
そのトレーには、たくさんの手紙がのっていて、レティシアは何となくそれが気になったのだ。
『お母様、お手紙が多いですね』
そうテレパシーでレティシアがエディットに問いかける。
「そうね。今度レティの誕生日パーティーを身内だけで開く予定でしょ? それなのに何処かで、私がパーティーを開くという話が広がったみたいで、ご機嫌伺いの手紙が最近わ多いのよ…」
っとエディットは、そう言いながら困ったように頬に手を置いて、ため息をついた。
(貴族ってやっぱりどの世界でも大変なのね…面倒臭いのやだなぁ〜)
っとレティシアはそう思うが、レティシアが産まれたのは、貴族であるフリューネ侯爵家
そんな運命から逃げる事は出来ない事を、彼女もしっかりと理解している。
仮に逃げてしまった場合、困るのはフリューネ領に住む領民で、自分一人が貴族は嫌だからと、逃げ出す訳には行かない事をわかっているのだ。
(ゆくゆくは、政略結婚もあるだろうなぁ…浮気しない人なら良いかなぁ…)
なんてレティシアは考えながら、また手紙の山を見ると、一通の手紙に目が留まった。
エディットに届く手紙は、大抵領民からであっても綺麗なのだ。
それにもかかわらず、領民でもエディットに対して使わなそうな封筒を使ってきた相手が、レティシアは気になった。
『お母様、失礼ですが、そこのみすぼらしいような封筒は、一体どなたからでしょうか?』
そうレティシアが聞くと。
「…あら? 本当ね。誰からかしら…?」
そう言いながらエディットは封筒に手を伸ばし、裏面を確認するが何も書かれていなかったのであろう。
エディットは、首を傾げながら封筒をリタに手渡すと、封筒を受け取ったリタは、その封筒を丁寧にペパーナイフを使い開封し、中に危険なものが入っていないか確認した後、開封した封筒をエディットに手渡した。
受けとったその封筒からエディットが手紙を取り出し読み進めていく。
(内容が短くて理解できなかったのかな?)
困った顔をしながら、その手紙を何度も確認するかのように読んでいるエディットの姿を見て、レティシアはそう思った。
そして何度も手紙を読み直してからエディットは、重たい溜め息をついた。
「はぁ…リタ。今日はジョルジュがいないからパトリックを呼んでちょうだい」
「エディット様、かしこまりました。失礼します」
エディットに指示されたリタは、そう言って綺麗なお辞儀をし部屋を後にする。
レティシアは、手紙の内容が気になり聞くのもどうかと思ったがあえて聞くことにした。
『お母様、あまりよろしくない内容の手紙だったのでしょうか?』
レティシアがそうエディットに聞くと、エディットは溜め息をつき額に手を当て天を仰いだ。
「レティの…お父様からの手紙よ」
沈黙が部屋の中に流れ、やっと何かを決意したようにエディットがそう言うと、また深い溜め息をつく。
( あー… それは頭を抱えたくなる問題だ…)
レティシアは、そう思って飲みかけのティーカップを手に持ち、中に入ってる紅茶を一口飲んだ。
(リタが入れてくれた紅茶は、やっぱり冷めても美味しい)
「エディット様、お呼びでしょうか?」
部屋に入ってきた執事のパトリックが何事だろう? っと不思議そうな顔をする。
エディットがパトリックを直接呼び出すのは珍しい。
「パトリックには悪いんだけど、今日ジョルジュがいないでしょ? 帰ってきたらパトリックの所に行くからその時に、明日の朝、私の部屋に来てくれるように頼めるかしら? もちろんその時は、パトリックも来てちょうだい。突然呼び出して悪いけど要件は、それだけなのごめんなさいね」
って言い終わるとチラッと手紙を横目に見て、リタに新しい紅茶を頼む。
「畏まりました。ジョルジュ様にお伝えしときます。では、失礼します」
そう言って一礼したパトリックは、チラッと手紙の方をみてから部屋を後にした。
(手紙が誰からかは、聞いたけど内容は聞いてないんだよね…手紙の内容後で私も聞けるのかな? 厄介事じゃなければいいけど…)
そうレティシアは思いながら、リタに紅茶のおかわりをお願いしたが、そろそろ寝る時間ですよっと言われて、レティシアはおかわりが貰えなかった、子供は寝る時間が早いのである。